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動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
プロフィール

つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2015.04.06_10:05

威嚇

僕が入院室の前を通ると「ニャー ニャー」
チョビ太がケージの入り口に近づいてきました。
そのあとに、いきなり「シャー シャー」
チョビ太は猫のマンチカン。
「シャー シャー」言いながら、
僕から目を反らし、なぜか頭を僕に向けます。
ネコちゃんの「シャーシャー」は、
背中を丸め、毛を逆立て、こちらを凝視、
完全なる戦闘体勢“威嚇”です。

犬の威嚇は大きな声で“ワンワン”か、“ウ~”とうなる。
ウサギは足でダンダンと地面を蹴る。
ニューカレドニアに住む鳥のカグーは、頭の上の冠羽をぱっと立て、
胸を膨らませ肩を揺らしながら歩いてきます。
その歩き方は街のチンピラにそっくり。
ゴリラは2本足で立ち上がり、大きく胸を膨らませて、
その胸を太鼓のようにたたく。
それぞれ、威嚇の方法が違います。
“威嚇”はとっても大事、
“威嚇”は「これ以上近づくと攻撃するぞ!」のサインです。
このサインを出すことにより無駄な戦いを避けることができます。
そして、戦う必要がある時は“威嚇”を無視して、
ある一定の距離に近づき、戦いが始まります。

ネコの「シャーシャー」は威嚇行動。
ネコはライオンのように吠えることができないため、
「ニャーニャー」では迫力にかけ威嚇にはなりません。
そこで、猫は考えました。
ネコの祖先はリビアヤマネコ、
アフリカ大陸のリビアの国土はほとんど砂漠、
砂漠で強い生き物は蛇、
リビアヤマネコが蛇に近づくと、
蛇は「シャーシャー」と威嚇しました。
その時、リビアヤマネコは思いつきました。
吠えることはできないけど、
蛇のマネをしてみると、
「シャーシャー」できました。
ネコの威嚇は、蛇をまねた「シャーシャー」となったのです。
「シャーシャー」の最中はけっして相手から目を反らしません。
相手の一挙一動に注目し、
少しでも近づこうものなら、
ものすごい速さで猫パンチを飛ばします。
しかし、チョビ太は「シャーシャー」言いながら僕に近づき
僕から目をそらし、
頭をすりつけてきます。
どう見ても甘えてきているのです。
普通のネコちゃんだと、
甘えるときは喉を「ゴロゴロ」ならすのに?
頭を撫ぜ撫ぜしてあげると、目を閉じて「シャーシャー」。
チョビ太は「シャーシャー」の使い方を完全に間違えていました。
普通のネコはご機嫌の時「ゴロゴロ」と喉を鳴らしますが、
チョビ太の場合は「シャーシャー」なのです。

チンパンジーの“威嚇”は物を投げて大きな音を出したり、
肩をいからせ、身体を大きく見せながら足踏みをします。
こんな時はお尻を見せて、戦う意思がないことをアピールしましょう。
こんな激しい威嚇以外にも、
体を揺らしながらの「あくび」をした時も要注意なのです。
僕が「あくび」をするときは“眠い時”、
もしくは、退屈な時にします。
どちらかというと、あまり頭が働かず“ぼ~”としている状態。
この時の僕に近づいても全く安全。
しかし、大事な会議の前なども、難しい手術の前も、
緊張の「あくび」をします。
「あくび」は極度のストレスや緊張の時も出ることがあります。
チンパンジーも眠い時、リラックスした時も「あくび」をするのですが、
ストレスを感じたときもあくびをします。
長い時間、調教している時など、
だんだん命令をきかなくなり、
上半身を左右に揺らしながら、
何度も大きな「あくび」をはじめます。
これはイライラしている証拠、
もうやめたい、集中力がきれた、お前の言いなりはもう飽きた、
早く自由にしろ、これ以上続けると攻撃するよ、の合図です。
ワンちゃん、ネコちゃんも必ず、その子ならではの威嚇があります。
それに気づいてあげると良好な関係が築けます。

僕の奥さんが、
「あなたの気持ち、よ~くわかりました。」の一言を発したあと、
片方の口角を上げて、笑った時は、
猫のシャー、犬のウ~、ウサギの足踏みと一緒、
そんな時の僕はその場から静かに立ち去るようにしています。



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

GW休診のお知らせ
 5月2日(土)午後~7日(木)午前 臨時休診となります。
 2日(土)の午前と7日(木)の午後は診療します。


2014.10.18_16:11

神社の主 ドラちゃん

家族みんなが寝静まった夜中
「ピチャ ピチャ ピチャ」
怪しい音が響き渡りました。
「カラカラカラ」
これはハムスターの「キンちゃん」が回し車で回っている音。
「ブーン ブーン バン」
カブトムシがケースの中を飛んでぶつかった音。
カナヘビは音がしないはず。
「ジュン」は庭の犬小屋で寝ている。
怪しい音はどうも台所から聞こえる。
あ!まずい、もしかして、昼間捕まえた蛇が水槽から逃げ出したのか、
蛇を捕まえたのが、ばれてしまう、
また怒られる。
小学生だった僕は、
眠い目をこすりながら、
押入れに隠した水槽を確認すると“シマヘビ”はいました。
タオルケットを頭から被り、懐中電灯をもって台所に、
僕が近づくと“トン”何かが飛び降りる音、
「ガラガラガラ」 勝手口の引き戸の音が。
確かに何かいた。
勝手口から逃げた様子。
子供の頃の実家は勝手口のカギはかけていませんでした。
翌日、僕は台所で張り込みをしました。
特に何も起こりませんでした。
それから4日後、
この日の夕食は“かつ丼”
卵であえずに甘辛い醤油べースで味付けたものです。
卵であえる時は、半熟がいい・・・・。
かつ丼の話は関係ないか。

子供部屋で寝ていると再び「ピチャピチャ」。
懐中電灯を持ち台所のドアを開けると、
「ガチャーン」
勝手口から逃げていく尻尾が、
そしてガラガラガラ 勝手口のドアが閉まりました。
台所の電気をつけると、コンロの上の天ぷら鍋がひっくり返っていました。

勝手口のドアで見えたあの縞々模様の尻尾は、
近所の神社に住む体重8kgを超えるデブネコの「ドラ」。
ドラはいつも神社の軒下にある決まった沓石の上にいました。
ほとんど動かず、僕はデブすぎて動けないのだと思いこんでいました。
ドラの前にはいつも、お供えもののように“サンマ”“サバ”“アジ”“イワシ”など
お魚が置いてありました。
僕はドラにみそ汁のだしを取った後の煮干しをあげていました。
だしを取る前の煮干しをあげたときだけ、片目を開けニヤッと
あいつ動けたのか!
「ドラ」はどうも鍋の油を舐めていた様子。

化けネコは行灯の油を舐める昔から“化け猫は行灯の油を舐める”と言われています。
「ドラ」は行灯の油の代わりに、天ブラを揚げた後の油を舐めていました、
ということは「ドラ」は化け猫?
ネコは完全な肉食動物。
昔の日本人は基本的に菜食でした。
動物性たんぱくは魚を食べるぐらいで、肉はほとんど食べません、
手に入ったとしても高級品、ネコの口に入ることはほとんどありません
飼い猫にとってはどうしても物足りない食事でした。
ネコたちは足りない分をネズミや小鳥を捕って補っていました。
しかし、年をとってネズミを捕れないネコたちにとって
行灯の油はとても魅力的で栄養たっぷりに見えたのでした。

魚だけ食べていると病気になる
以前の日本にはネコのお腹に触れると痛がる病気がありました。
これは栄養の偏りが原因です。
「♫お魚くわえたどら猫、追いかけて・・・
  はだしでかけてく陽気なサザエさん♫」
ほとんどの日本人は、ネコは魚を食べるイメージ
しかし、本来ネコは魚を食べない体になっています。
魚、特に青身の魚には飽和脂肪酸が多く含まれ、
これを多く摂りすぎると
“黄色脂肪症”
ネコの脂肪が黄色に変性し炎症をおこす病気がありました。
また、魚を主体とした食生活を続けていると、
ビタミンB1も不足しがちになります。
赤身の魚にはビタミンB1を分解してしまうチアミナーゼが多く含まれているためです。
ビタミンB1欠乏症はフラフラ歩くなど神経症状がでます。
ネコはもともと人や犬に比べ、ビタミンB1をはるかに多く必要としています。

最近のキャットフードはよく研究されているため、
このような栄養障害の病気がとっても少なくなりました。
そのかわり栄養過多の肥満はすごく増えました。

ドラは、我が家で天ぷらや揚げ物などをすると、
翌朝まで天ぷら鍋を出しっぱなしにしていることを知っていたのでした。
この間、久しぶりに実家近くの神社に行きました。
軒下の沓石の上に魚が置いてありました。
あれから30年以上はたっているのに、まさか・・・?
そういえばドラはいつも勝手口のドアを閉めていました。
ドアを開けるネコはたくさんいますが、
ドアを閉めることはありません。
ドラは“ 化けネコ”?



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
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2014.08.01_21:14

広がるオデコ

時々病院でお預かりする、ミニチュアダックスの「ポン太6歳」。
病院にいる時はいつもお気に入りの場所、僕の足下で寝ています。
彼は、どんなワンちゃんが来ても片目を開けるだけ、
寝ることが大好き、とってもおっとりしているワンちゃんです。
ただし、おやつの時だけ豹変します。
おやつの袋の音がしただけで、パッと飛び起き、僕のほうに走ってきて、
短い足でピョンピョン跳ねてほしがります。
特に牛皮でできたのがお気に入り。
「お座り、待て」の後におやつを渡すとそれを加えトイレの前で“カジカジ”。
半分まで食べるとそれを咥えて、冷蔵庫の横に行き、隠します。
その後は思い出したように秘密の隠し場所に行き“それ”を取り出し
少しずつ“カジカジ”
そして、僕が冷蔵庫に近づこうものなら走ってきて「ウ~」
ポンちゃんは、大好きなおやつ、
食べきれない分は隠しておいて、後で楽しみながら食べるのです。
ポンちゃんのように、ワンちゃんは餌を隠す行動をよくします。
これは餌がない時に困らないための本能です。

ネコはどうなの?
ネコたちはエサを隠しとっておく行動をとりません。
どんなに好きなエサの時でも満腹になると、
ごはんを残したままその場を離れてしまいます。
家猫だからいつもエサをもらえるから隠さないのでは?
いやいや、いつも空腹気味の野良ネコちゃんたちもお腹いっぱいになると、
その場を離れてしまい、残ったごはんをしまっておくことはありません。
この理由はオデコにありました。
「猫の額のような庭」のように「猫の額」は狭いたとえにつかわれます。
実際に猫のオデコは狭いのです。
このことに“ごはんを隠さない”秘密がありました。
ワンちゃんがなぜ食べ物を隠すかは、
時間がたって、お腹が空いたとき食べるためです。
「将来、餌がないと困る」
これはお腹が空いて困った経験から、
こうなるかもしれないという想像をするのです。
ポン太も大好きなおやつが、
いつでも食べられるわけではないことを経験しており、
あとで食べられるように隠すのです。
「あとで困らないように餌を隠しておこう」という考え、
この想像力はちょうどオデコの場所にある大脳の前頭葉という器官で行われます。
ワンちゃんはオデコがあるので、このように将来を考え隠す行動ができるのです。
しかし、猫はオデコが狭いということはこの前頭葉が小さいのです。
結果として、猫は将来どうなるか想像することができず、
今さえ満足であればいいという生活をしているのです。
ネコは「宵越しの銭は持たない」江戸っ子気質なのです。

人間のオデコは?
人間は、どうかと言いますと広いオデコを持っています。
このオデコ、前頭葉が発達したため、
とっても想像力が豊かな生き物になりました。
よく博物館にある人間の進化の絵をみると、
だんだんと腰が伸びていくとともに“オデコ”が大きくなっていくのがわかります。
これは前頭葉が大きくなってきたということで。
ちなみにもっとも人間に近く、とっても賢いチンパンジーでも
前頭葉の大きさは人間の1/6しかありません。
いかに人間のオデコが大きいかということです。
オデコが大きくなるとともに
人間は本当に頭がよくなり
何十年先のことを想像することができるようになりました。
結果としてどんどん人間社会は発展し、便利になり、良い社会になりました。
のはずなんだけど、
想像力があるために将来の夢よりも自分の老後を心配して
悲観的に生きている若者、
地球上は紛争ばかり、
そして、オゾンの破壊、温暖化、化学物質による汚染、
地球は人間生活によってどんどん破壊されているようで、
本当に想像力があるの?

必要な分だけ食べて、
今、お腹いっぱいになれば幸せ、
“明日のゴハンは明日心配すればいい”
前頭葉の小さいネコのほうがなんだか幸せそう。
その上、ネコは地球を破壊することをしません。

獣医師の仕事で大事なことは想像力。
動物たちはしゃべらない上に、我慢するため症状をなかなかだしません。
情報がとっても少ないのです。
うんちやおしっこ、食欲などの少ない情報から
今までの経験と想像力をフルに働かせ、
いろいろな病気を探しだします。
咳をしていたるからといって風邪とは限りません。
心臓が悪い時や寄生虫がいるときも咳をします。
いつ咳がでるか、こもった咳か、乾いた咳か
年齢は、太っているかから
いろいろな病気を想像し治療します。
最近年齢とともに僕の想像する力が増してきたような感じがします。
何といってもオデコが広がっているのがその証拠、
きっと前頭葉が大きくなっているに違いありません。
奥さんにこの話をすると、
そういえば髪の毛薄く・・・・。
それ以上は言うな!




<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
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2014.07.05_10:24

マグマと杏


ピチピチピチピチピチピチ・・・。
「あちっ」
僕の腕に、鍋から飛び出た液体が!
大鍋の中は噴火口のマグマのような状態。
そのマグマが僕の腕に。
僕は鍋の噴火を抑えるためにマグマを必死にかき回します。
マグマは“杏”。
僕は杏ジャムを作っていたのでした。
木で完熟した杏の実を収穫し、
大きな鍋で大量のジャムをつくっていたのです。
鍋の杏がマグマのようにならないと美味しいジャムになりません。
ジャム作りはやけどとの戦いです。
梅雨のこの時期が杏の収穫。
杏はすぐに腐ってしまうため、
杏が熟すとどんな大事な用事があろうとも、
ジャム作りが優先です。
今年もたくさんの杏を収穫し大鍋でジャムをつくりました。

杏

杏はバラ科サクラ属の一種で、
4000年以上前から栽培されています。
ビタミンやミネラル・食物繊維などが豊富で、
昔は食用というよりも薬用として栽培されていました。
現在も、鎮咳・去痰・緩下などの薬効があり
漢方薬として利用されています。
杏と僕の出会いは、
小学校の下校の途中にあった大きな木、
6月になりピンポン玉ぐらいの青い実がオレンジ色に変わると、
友達に肩車をしてもらい採り、毎日味を確かめながら帰りました。
最初は酸っぱい実が日に日に甘味が出てきます。
地面にポトポト落ち始めたぐらいが完熟、
酸っぱさの中に甘味がのり、とっても美味しくなります。
そうなるとポケットいっぱいに詰め込み、
ランドセルにまで詰め、
口いっぱいに頬張りながら家に帰ります。
その結果、ポケットは熟してつぶれた杏の汁でベタベタ、
ランドセルの中も恐ろしい状態になって、
母に怒られました。
そのうえ、繊維質が多く緩下作用のある杏、
おバカな僕は必ず食べ過ぎによる下痢をしました。
杏は便秘予防や治療にききますが、
食べ過ぎると下痢、
身をもって知りました。

猫の便秘
猫の祖先は砂漠で生活したため、
水を飲む量が少なくても生きていけます。
高齢になったり、太ったりし動くのが面倒なると、
いっそう水分を摂りません。
そのため水分のない固いうんちになります。
そのうえ体を動かさないため、胃腸の動きもわるくなり、
便秘になりやすいのです。
たかが便秘と侮っては行けません。
猫ちゃんはとっても苦しいうえに、
最悪の場合は命にかかわります。
便秘は急になるわけではありません。
トイレの掃除が減ってきたら要注意。
これは、便の量が減ったこと。
以前は長く太く艶があったのが、短くコロコロした便に変わってきた。
何度もトイレに行く、トイレの時間が長い。
うんちをしながら鳴き声を上げる。
などは便秘のサイン。
10歳以上の高齢・あまり水を飲まない・肥満・あまり動かない
このような猫ちゃんは便秘になりやすいので要注意です。
また、長毛やあまりブラッシングをさせない猫は、
毛繕いの時、毛を飲み込んでしまいお腹のなかに毛の塊ができ、
それが詰まることによる便秘の毛球症になってしまうことがあります。
便秘の予防は、
繊維質の多いフードを与え・太らせず・水をたくさん飲める環境・
適度な運動をさせ・まめなブラッシングです。
便秘の治療は便秘の状態を改善させるだけで、
根本的な治療は飼育方法の改善(予防)しかありません。
便秘の時、杏もいいのですが、猫ちゃんは肉食です。
便秘にとっても効果あるフードがありますので動物病院に相談してみてください。

鍋で煮ること1.5時間、
腕と顔をやけどしながらジャムが出来上がりました。
滅菌したビンに入れた杏ジャム、とっても美しく大満足。
大鍋を洗い、コンロに飛び散ったジャムをふき取り、
僕は完璧なジャム作りを終えました。
大量にビン詰めのジャムを眺めながら、
綺麗になったキッチンでおいしいコーヒーを入れ、
冷たいバニラのアイスに、
まだ熱々のたっぷりな杏ジャムをかけ食べました。
“おいしい” 
最高の贅沢です。
ジャム作りの苦労が報われる瞬間です。

しあわせな時間を過ごしていると、
「ただいま」うちの奥さんが帰ってきました。
「今ね、おいしそうな完熟の“杏”たくさんもらったの」
手に持った大きなバケツの中には大量の杏。
すぐ腐っちゃうから、今日中にジャムにしといてね。
今日は寝れないのか





<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
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2014.06.26_15:31

おじさんの青白い足

梅雨の晴れ間 久しぶりの休日
僕は短パンに素足、カットソーを着てワンちゃんの散歩をしていました。
僕は短パンが大好き、夏はほとんど短パンで過ごしています。
散歩のあと、自転車で靴下とパンツを買いに“ユ○クロ”にでかけました。
その“ユ○クロ”で試着用の鏡の前を通り過ぎると、
短パンから青白い足に汚いすね毛の生えている親父が写っていました。
動物病院を開業して3年、日中はほとんど病院で過ごすため、
陽にあたることがほとんどありません。
動物園時代はほとんど外で仕事、休日は“まき割り”“畑”“採集”
この時期はすでに日焼けで真っ黒でした。
休日、短パンから青白い足を出したおじさん達をみて、
カッコ悪いと思っていたのに、
僕の短パンから出た足が青白いなんて・・・。

シロちゃんと日光
真っ白い上品な猫 シロちゃんがやってきました。
シロちゃんの耳は真っ赤で、皮膚は厚くなりボコボコ、
痒きすぎて血が、先端はかさぶたができていました。
シロちゃんは毎年この時期になるとやってきます。
シロちゃんは『日光過敏症』
毛の薄い耳に強い日光を浴びると、耳が赤くなり痒がります。
毛の色が薄い猫は、紫外線から皮膚を守るメラニンがあまり作られないため、
紫外線を浴びると毛の少ない耳や鼻などで症状がでます。
最悪の場合は癌化することもあります。
この病気を防ぐのは陽に当たらないこと、
だけど、シロちゃんはベランダで寝るのが大好き。
炎症を抑えるお薬をだし、
日焼け止めクリームを塗ってもらうことにしました。

猫の耳が落ちる
東北地方では、『春先にアワビの内臓を食べさせると猫の耳が落ちる』
という言い伝えがあります。
アワビの肝は濃い緑色、
その緑はアワビが食べた海藻の中に含まれる葉緑素です。
この肝を猫が食べると、葉緑素が吸収され全身に運ばれ皮膚に蓄積されます。
特に春先のアワビにこの成分が多いそうです。
葉緑素自体には害がないのですが、
葉緑素の代謝物質ピロフェオホルバイドに日光があたると、
周りの細胞を破壊してしまうのです。
頭のてっぺんについている耳は、日光が一番あたるところ。
そのうえ毛が少なく、色素も薄いため、
日光が直接あたりやすく、
葉緑素が蓄積すると細胞の破壊がおこります。
すると細胞の破壊がおこり、
悪化すると“耳が落ちて”しまうのです。

人と日光
耳は落ちませんが、人間もアワビを食べなくても、
葉緑素の代謝産物フェオフォルバイトにより、
日光過敏症が多発しました。
原因がわかったのでフェオフォルバイトの規制をおこなったため、
それ以降は少なくなりました。
また、ある種類の痛み止めの湿布を貼ったあとに、
日光を浴びるとやけどのような症状や湿疹が出ることがあります。
湿布を貼ってから半年たってもおこることで知られています。
夏に短パンを履いて足を出すと、
冬に貼った湿布のあとに見事に四角い皮膚炎がおこったりします。

爬虫類は日光が必要
昼行性で草食のリクガメ・イグアナなどの爬虫類は日光が不可欠です。
生き物の骨や甲羅はカルシウムでできています。
またカルシウムを吸収するためにはビタミンDが必要です。
骨や甲羅を維持するために、いくらたくさんのカルシウムをあたえても、
ビタミンDがないと利用されないのです。
そして、ビタミンDは日光の紫外線にあたることにより体内で作られます。
日光浴もせず、紫外線照射もしないで飼育していると、
ビタミンD不足、カルシウム不足になり、
甲羅の継ぎ目が薄く、ペラペラの亀になってしまいます。
骨も弱くすぐ骨折したり、曲がった足になったりします。
夜行性の爬虫類は紫外線なしでもビタミンDの合成ができます。
日光を必要としないこれらの種は、
地球に衝突した隕石の粉塵による太陽光の遮断によりおきた、
白亜紀の恐竜の絶滅の時も生き延びることができたと言われています。
ちなみに人間は週2回・10~30分の日光浴で、
必要なビタミンDがつくられるそうです。


買い物から帰った僕はあわてて、
一番短い短パンを履き、
太陽の下でお昼寝をしました。
1時間ほどするとあまりの暑さと、
たっぷりの悪い汗で目を覚ましました。
危ない・・。これでは熱中症になってしまう。
家に帰って鏡の前に立ちました。
あれまだ“青白い”まま?
あっ!
足の後ろが“真っ赤”
ずーとうつ伏せで寝てたため、
“青白い”表、“真っ赤”な裏、
僕の足は見事な2色となりました。


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
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