動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2014.06.18_16:44


誘拐?

「先生この子助けて?」
ウサギの“ぴょん吉”の飼い主、小学三年生の陽菜ちゃん、
彼女の胸の前には、両手の掌で優しく包まれたハンカチが、
そのハンカチがかすかに動いていました。
ハンカチの中から「ピィピィ」と大きな鳴き声がしました。
僕がそっとハンカチを開くと、
まだ頭に産毛が残る小さな雀が鳴いていました。
「この子どうしたの?」
「○×公園で落ちてたの」
「飛べなくてバタバタしてたの」
「まわりにお母さんらしき鳥もいないし」
「巣も見当たらなかったの」
「先生助けてあげて!」

日本には四季があります。
春から秋にかけては、
木の実、芽、虫、食べ物が豊富な季節。
日本の野生動物はこの時期に子育てをして、
餌の乏しくなる冬になる前にできるだけ大きく成長させます。
虫喰いの鳥たちは、冬になると餌がなくなってしまうため、
何千キロという旅をして餌のあるところにいかなくてはなりません。
そのため冬が来る前に渡りができる体力をつけなければなりません。
日本の野生動物は冬の前にできるだけ大きくなれるよう
春に出産や産卵をします。

陽菜ちゃんの連れてきた雀は、今春に生まれた雛。
怪我はなく、元気もありました。
羽もすっかり生えそろっていました。
夕方で外は雨が降り出していたため、
病院で預かることにしました。
餌のミルワームをあげると大きな口を開けすごい勢いで食べました。
翌日も大雨のため僕がお母さん代わりにせっせとミルワームをあげました。
昼ぐらいになると僕の顔を見るだけで、
餌を求めて「ピィピィ」と鳴くようになりました。
次の日は雨も上がり、空には太陽が、
早朝、“ピィちゃん”を連れて公園にいきました。
※“ピィちゃん”名前を付けてしまいました。
公園で僕は手のひらに“ピィちゃん”をのせ待つこと10分。
僕は気配を消しじっとしていると、
となりの木から「ピッピッピッピ」雀の鳴き声が、
その声を聞くと“ピィちゃん”も「ピィピィピィ」と、
そして、ピィちゃんは僕の手の上で羽を広げ
鳴き声のする方向に羽ばたいていきました。
無事お母さんのもとに帰れた様子。
ピィちゃんは巣立ち雛だったのです。
ピィちゃんは飛ぶ練習をしていたのです。
地面から飛び立つのはテクニックが必要、
ピィちゃんは地面でバタバタしていたのではなく、
飛びだとうとしていたのですが、
まだ上手に飛べなかったのでバタバタとなってしまったのです。
そこを陽菜ちゃんに拾われたのでした。
お母さんがいなかったのは、
お母さんはその時も木の上か、空にから“ピィちゃん”をみていました。
しかし、その時間帯公園には人間がたくさんいた上に、
ピィちゃんを見ようと
陽菜ちゃんの周りに友達や、散歩に来ていた大人が集まっていたため、
ピィちゃんのお母さんは怖くて近づけなかったのです。
巣はなかった、
雀の巣は子育て専用、
天敵に見つからないように作ってあるため、
僕たち人間には簡単には見つけることはできません。

僕が公園に連れて行った時は、
早朝で僕以外誰もいませんでした。
僕は気配を消して立っていたのでお母さん雀の警戒心も薄れていました。
お母さんはピィちゃんを捜していたため、
ピィちゃんの姿を見つけ呼んだのでした。
地面から飛び立つのとは違い、
手の上のように高い位置から飛ぶのは楽のようで、
バタバタなしで飛べたのでした。
今の季節、鳥が落ちていたと保護されるケースのうち、
健康な巣立ちの雛の場合が結構あります。
そっとその場においておいたほうがいい時も多いのです。
それでも、猫が心配、車が心配と思われるかもしれませんが、
僕たち人間は雛の体を大きく育てることはできますが、
餌のこと、天敵のことなど、生きていく術を教えることは出来ません。
本当の意味での成鳥にすることができるのは、親だけなのです。

フクロウは木の洞に巣をつくります。
雛は羽も生えそろわず全く飛べないのに巣から飛び出します。
地面の雛に親はせっせと餌をはこんだり、
雛は鋭い爪とくちばしを使って、木を登り巣に戻ります。
フクロウの雛は全く飛べないのに地面にいても普通なのです。

日本に生息するニホンノウサギは、
生まれたての仔ウサギを草むらに隠し育てます。
母親は1日に数回、授乳のための数分だけしか仔に近づきません。
目立つ親が近づかないことで敵から逃れる戦力を取るのです。
この草むらに隠れている仔ウサギは隠れているつもりなので決して動きません。
草むらに隠れていた、隠していたウサギを我々人間がみつけると、
「一人ぼっちでかわいそうに」と、
助けてあげようと連れてきてしまうことがあります。
これは母ウサギからみたら“誘拐”になってしまうのです。
ニホンノウサギの乳は、少ない回数の哺乳ですますためにとっても濃いのです。
人間の手によって育てるのは濃度が難しく下痢をすることが多くとっても大変。
うまく大きくなったとしても生きていく方法は教えられないため、
放獣(野生にもどすこと)しても自分の力で生きていくことはほとんどできません。
僕が以前育てたノウサギの“ピョン”は、
草原に離したとたん、鷹に襲われてしまいました。

ペットとして飼っているウサギはニホンノウサギではなく、
ヨーロッパアナウサギです。
ヨーロッパアナウサギの出産子育ては穴の中でします。
またニホンノウサギの赤ちゃんは目も開き毛が生えて生まれてきますが、
ヨーロッパアナウサギの赤ちゃんは目は閉じて、毛がない状態で生まれます。
ニホンシカも仔を草むらで隠します。

これからは巣立ちの季節もし地面でバタバタしているひな鳥を見つけたら、
できるだけ早くそこから離れてください。
それでは道の真ん中にいたらどうしたらいいの?
答えは簡単、そっと抱き上げて近くの安全な場所に移してください。
だけど人間の匂いがつくとお世話しないのでは、
全然平気です。
親子の絆は少しぐらい匂いがついたって「大丈夫」
必ず親鳥は雛の世話をします。
手にとって連れて帰ると“誘拐”になってしまいますよ。
もし巣立ち雛を連れてきてしまった時は
できるだけ早く見つけた場所に返してください。
きっとお母さん雀がさがしていますよ。


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日
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