動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2012.12.03_09:37



目を合わせない


その日の患者さんは、なぜか撲の顔を見ません、

顔を見ないというか、“目を合わさない”のです。
それも来る人、“みんな”がです。
お話をしている最中、時々顔を見るのですが、
その時も、けっして目があいません。
どうも僕の顔の下の方を見ているようで・・・。

おかしいなと思っていると、
ケンちゃんの肛門嚢をしぼっている撲に、
飼い主のサキおばあちゃんが衝撃的な一言を

「先生、鼻毛出ているよ!」
肛門嚢をしぼったあと、あわてて鏡をみました。
右の鼻の穴から、ねじれながら太く長い毛が一本、4ミリほど飛び出していました。
みんなこれを見ていたのでした。
一生懸命治療の説明をしても
鼻毛をだしながらでは、信頼性が・・・・・・。


動物に鼻毛はあるのか?
馬の鼻には鼻毛らしきものがあったように覚えています。
でも鼻毛といっても、入口付近に産毛のようなものがあるだけで、
撲の鼻の穴のように、中には生えていませんでした。
チンパンジーとオランウータンとウサギもやっぱり入口付近に産毛が生えていました。
しかし、穴の中に生えている動物は僕の知る限り人間だけです。

鼻毛は何のためにあるのか?
空気と一緒に『ゴミ』や『ウイルス』  『小さな虫』を吸い込まないためにあります。

鼻毛はさらに、においを嗅ぎ分けるという重要な働きもあります。
鼻毛のなかには嗅毛と呼ばれるものがあり、
この鼻毛に“におい”の微粒子が粘液に溶けて刺激すると、
“におい”は電気信号となって脳に伝わり、
僕たちは“におい”として感知できるというわけです。
その他、鼻の穴の中の温度や湿度を保つことにも役立っています。
このように人間にとって鼻毛はなくてはならないものなのです。
それなら人間以外の動物にも鼻毛があってもいいと思うのですが、
人間以外の動物は鼻の穴自体が比較的小さく、
また、穴の大きな動物は自分で閉じたりすることができるので必要ないようです。
例えば、人間よりもはるかに嗅覚が発達している犬など、
あんなにクンクンしていたら
鼻毛なしでは、さぞかしゴミを吸ってしまうと思うのですが、
犬の鼻の穴は丸ではなく線のようになっていてとっても小さいため大丈夫なのです。
もしあんな小さな穴で鼻毛が生えていたら呼吸が苦しくてしょうがありません。
それでもゴミが入った時は、クシャミをして鼻のごみを出します。
人間のクシャミは口でしますが、犬は鼻でクシャミをします。
そう言えば鼻の穴の小さな人は、穴の大きな人より鼻毛が少ないように感じます。

鼻って何
 脊椎動物の臭いをかぐ感覚器ですが、
両性類以上では呼吸をする役割もあります。
そして鼻はその動物の役割によってさまざまな構造や形態をしています。
鼻といったらやっぱりゾウ、ゾウの鼻にはさまざまな機能があります。
ゾウの太く長い鼻には骨がなく、筋肉でできています。
そのおかげで丸めたり、伸ばしたり、回したり自由に動かすことができます。
以前ゾウを解剖したことがありますが、鼻を輪切りにしてみると見事に強靭な筋肉でした。
そして、筋肉の中央には、2つの穴が開いていました。
あんなにも長く太い鼻ですが、鼻先でピーナッツをつかむこともできるぐらい器用です。
力もすごく木の枝など簡単に絡みつけ引っ張って折ってしまいます。
食事の時は鼻で草を絡みとり口に運び、
水を飲む時はストローがわりに使い
暑い時は、鼻にいっぱい水を吸い込み、その水を体に掛け体を冷まし、
水の中を進む時はシュノーケルがわりに、
仲間のゾウとは握手がわり、
時には“こん棒がわり”に戦いの武器として、
“パオーン”雄叫びも、鼻に共鳴させることににより
遠くまで響かせることができます。
このようにゾウの鼻は究極に進化したものです。

水の中で生活するアザラシは鼻の穴を閉じることができます。
水の中に潜る時はしっかりと閉じて水の侵入を防ぎます。
同じ水の中で生活するカバは穴を閉じることができる上に、
頭の上部についているため、体が全部水の中に入っても
鼻だけ水上に出すことができます。

人間も含めほとんどの動物の鼻の穴の2つですが、1つの動物がいます。
その動物はイルカです。
そのうえ鼻の穴といったら普通口の上ですが、イルカはなんと頭の上にあります。
イルカは水の中で生活していますが、
魚ではなく僕たちの仲間哺乳類のため、肺で呼吸をします。
そのため呼吸するには海の上に出なければなりません、
頭の上に穴があるため、目は水の中にあるのに、
鼻の穴だけ水上にだして呼吸ができるのです。

サルの仲間は、
中南米に生息するサルを広鼻類、
アジア・アフリカに生息するサルを狭鼻類と分類されています。
その名前の通り、鼻の穴の間隔が広く上に向いているのが広鼻類、
間隔が狭く下に向いているのが狭鼻類です。
生息地によって鼻の間隔が違うなんてとっても不思議です。
広鼻類はリスザルと北島三郎、狭鼻類はニホンザルと小泉今日子、
ちょっと画像をググって鼻の穴をみて下さい。

鼻毛が出ている姿ははっきり言ってとっても間抜けです。
だったら鼻毛なんて抜いてしまえば、と考える方もいると思いますが、
鼻毛をすべて抜いてしまうと、
自転車に乗っている時に鼻の穴から虫が飛び込み、体の中に・・・。
恐ろしい!
ウイルスなどを防げず、風邪をひきやすくなります。
また鼻水は鼻毛に絡んで“鼻くそ”になり流れ出ないのですが、
鼻毛がないと垂れ流しになるそうです。
鼻毛がでているよりかっこ悪いし、とっても不便。
僕たち人間にとって鼻毛はとっても大事なものなのです。

ゲッ! 
鼻毛の手入れをするため目いっぱい鼻の穴を広げ、鏡をみたら、
穴の中に白い毛が・・・・。





<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
 休診日 月曜日



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今度診療に伺った時に、先生の顔を凝視してしまいそうです…。
花山葵 | 2012.12.03 22:05 | edit