動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2012.11.17_23:20

毒蜘蛛

「川崎市は12日、特定外来生物に指定されているセアカゴケグモが、
川崎市多摩区長尾の民家で見つかったと発表した。
市健康安全室によると、12日午前10時過ぎ、
住民が庭に設置されている散水栓の中で雌1匹と卵を見つけ市に通報した。
環境省関東地方環境事務所に画像を送ったところ、セアカゴケグモと判明した」
11月こんなニュースがありました。

このニュースを見て撲が最初に思ったことは
非常に不謹慎でありますが、
「捕まえて、飼ってみたい」でした。
このような考えが、この恐ろしい蜘蛛の生息域を
広げることがあることを考えもせずに・・・。

セアカゴケグモは毒蜘蛛です。
うわぁ~恐ろしい。

毒蜘蛛というと“タランチュラ”

小学生の頃テレビで見た“007”の中で
毛の生えた太く大きい足のタランチュラがショーンコネリーの
体の上を這っているシーンが撲に強烈なインパクトを与えました。
タランチュラは、
その後何度も夢の中で撲を襲ってきた恐ろしい生き物です。

ほとんどの蜘蛛は毒をもっていますが、
これは虫を殺す程度で、
人間に害を与えるほどの毒を持っているものは
ほんの少ししかいません。
その代表が“タランチュラ”です。
しかし、本当はこのタランチュラの毒もハチの毒より弱いらしく
噛まれた場所が赤く腫れる程度であり、
死に至らしめることはありません。

クモの中で一番毒性の強いと言われているのは
“クロゴケグモ”です。
このクモの毒は
ガラガラヘビの15倍もの毒性があると言われますが
量的に非常に少ないので健康な人間を死に至らしめること
はほとんどありません。
高齢者や幼児は重症化することがあります。
このクモの本当に恐ろしさは、
英名の「Black Widow(黒い未亡人)」の由来にあるように、
雌が交尾後に雄を食べてしまうことです。

さて“セアカゴケグモ”はどうなの?
クロゴケグモの仲間で強い毒性をもってはいますが、
健康な人間を死亡させるほどの毒ではないようです。
そして、毒をもつのは雌で、雄の毒はほんの少しで問題ありません。
このクモに刺された時の一番の症状は痛みです。
とにかく痛いそうです。
全身症状になることはほんのわずかですが、
全身症状になると腹痛に似た症状がでるそうです。
子供や高齢者は特に注意が必要です。

セアカゴケグモは 
オーストラリアなどの熱帯に生息しており、
本来日本には生息していない生き物です。
しかし、平成7年に大阪で初めて発見されました。
熱帯の生き物のため、
最初日本では越冬できないのではと思われていましたが、
温暖化は、日本でもこのクモの越冬を可能にしました。
そして、生息地域をジワジワと広げ、ついに川崎にまできました。
これだけ生息域が増えていることはどうも繁殖もしているようで、
確実に日本に定着したようです。
なんで飛べることもできないクモが海に囲まれた日本にくることができたかというと、
輸入した建築資材に混ざってきたためと思われます。
撲たち人間が運んできたのでした。

このクモのように人間によって本来の生息地から移動させられた
生き物を外来生物と言います。
このような生き物は日本でわかっているだけで2000種以上います。
以前は日本の気候に合わずに生きていくことができなかった
暖かい地方の生き物が、温暖化のため生きていけるようになり、
繁殖までしてどんどん生息数を増やしているものもでてきました。
動物園勤務時には
田んぼにいた40cm超える大きなカミツキガメを保護したこともあります。
捕獲され駆除される運命のアライグマを
不妊手術をして飼育もしたこともあります。
公園にいるたくさんのドバトも実は外来生物で
奈良時代に日本に持ち込まれたものと言われています。

外来生物はなんで問題なの?
外来生物として日本に定着できた生き物は、
適応能力や繁殖能力も強く、
その土地の生態系に大きな影響を及ぼしてしまいます。
そこに生息していた固有種の生息地や餌を奪ってしまったり、
固有種が餌となってしまうこともあります。
小笠原諸島で、
米軍物資に紛れ込んだり、ペットとして持ち込まれて定着した
“グリーンノアール”は、
父島・母島のオガサワラシジミ・オガサワラトンボ・シマアカネを
絶滅に追い込み、
オガサワラトカゲは食べ物を争ったり、
幼体を食べられるなど生活を脅かされています。
このように外来生物によって絶滅させられてしまった生き物がたくさんいます。
そのほか、セアカゴケグモによる毒、
アルゼンチンアリによる噛みつきなど
人間に対しての直接被害もあります。

このように書いていると、外来種がすごい悪者のように思いますが、
でもね、外来生物が自分の意志で日本にやってきたものはいません。
それぞれ本来の生息地では生態系の一部として
重要な役割を持っていたのです。
そんな生き物を人間が運ぶことによって
悪者に変えてしまったのです。

そして、珍しい生き物を飼ってみたいという興味だけで、
たくさんの種類の外国産の生き物を捕まえて連れてきました。
アニメ“ラスカル”で人気者になった、
アライグマもたくさん輸入されました。
アライグマの小さい時はとっても愛らしく可愛いのですが、
大人になるとけっこう凶暴で力もあるため、
飼い続けるためには頑丈で広いケージが必要となります。
そのため飼いきれず捨ててしまう人がたくさんいました。
それが野生下で増え、
現在、農作物の被害や
日本の固有の生き物の住み家を奪っています。
お祭りで売っている“ミドリガメ”も同様に
飼いきれずにたくさん捨てられています。
このため日本の固有種の“イシガメ”などの
棲家がどんどん奪われています。
今、撲が個人的に一番心配しているのが外国産のクワガタです。
飼い方もわからないまま飼育している人が多いように思われます。
餌の品質も良くなってきたので長生きするようになってきました。
4年以上も生きるのもいます。
世話が面倒だから、臭いから、あきたからと
絶対に捨てないでください。
日本のクワガタにどんな影響を与えるかわかりませんから。
日本の森にあんな大きなクワガタが住みついたら、
日本産のクワガタは負けてしまいます。
ミヤマクワガタ・ノコギリクワガタが
幻の生き物にならないことを願います。

セアカゴケグモのニュースを見て
「捕まえて、飼ってみたい」というのは、安易な撲の考えでした。
生き物を飼うのだったら、きちんと最後まで、
寿命をまっとうさせるまで飼うことが基本です。
それができないのでしたら飼うのはやめましょう。
ましてや飼い始めたはいいが、
飼えなくなったから捨てるは絶対やめましょう。
その影響はどのぐらい大きいかわかりませんよ。

まだまだ謎の多い生き物のクモ
ぜひ飼ってみたいと思う撲でした。


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
 休診日 月曜日



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