動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2012.10.06_15:40
熊が出たぞー!

2012年10月5日早朝
秋の行楽シーズン、長野駅のホームに一匹の「熊」が電車を待っていました。
熊さんはどこに行くつもりだったのでしょうか?
しかし、そんな熊さんは警察に通報され、熊さんの旅行は中止となりました。
ウソですよ。
だけど熊が出たのは事実。
長野駅をよく知っている撲としては、こんな所にまで出るなんて・・・。
 
 「5日午前6時10分ごろ、長野市のJR長野駅の在来線ホームに熊1頭がいるのをJR東日本社員が見つけ通報したが、熊は逃げた」というニュースがありました。
ビックリするニュースです。
さすが長野、駅にまで熊がいるなんて自然いっぱいなどと思うかもしれませんが、
長野駅周りはやっぱり市街地、森はありませんし、けっして熊が生息する、出没する環境ではありません。
ましてや旅行のために出てきたりしません。

「テツ」と「ミヤ」
「クマ、クマ」。哺乳瓶を持った撲を小さな2頭が呼びます。
彼女たち撲は見ると「クマ、クマ」と鳴くのです。
いや正確には違うかもしれませんが、
撲にはそう聞こえました。
この呼び声の主は、動物園にやってきた2頭の雌の子熊「テツ」と「ミヤ」です。
来た時は生後2ヶ月、体重は2キロ少し超えたところ、
まだしっかり歩けず、ミルクしか飲めない小さな赤ちゃんでした。
撲と女性飼育員が母親代わりとなりました。
ミルクは犬用を使用
最初の1週間は母熊のおっぱいと程遠い「味」と「乳首」を嫌がり、
ミルクのたびに大暴れして噛みつきました。
彼女らはまだほんの赤ちゃんなのに、鋭いつめと犬歯を持っていますから、
撲らはあっという間に傷だらけになりました。
 けれども、どんなに噛まれ引っ掻かれても、
つぶらな瞳とフカフカの毛、
そして胸にある小さな月の輪にメロメロ。
撲たち“母”の奮闘で2頭の体重はあっという間に10㎏を超え、離乳完了しました。
 彼女らは動物園で産まれたのではなく、
親からはぐれた‟迷い熊“として保護されてきた野生のツキノワグマでした。


 
生き残ったツキノワグマ

日本にはまだツキノワグマのような大型哺乳類が生息しています。
アメリカでは激減し、ヨーロッパでは絶滅しています。
この小さな島国に熊のような大型食肉目が生息していることは、
世界に誇れる素晴らしいことです。
 なぜ日本で生き残ったかというと、日本人は昔から森を利用し森と共に生活
してきました。そして、そこに棲む生き物たちを大切にしてきました。
森を守りながら生活する知恵と文化があったから、
大型動物も生き残ってこられたのです。
 以前の日本は、自然林と人家の間に、薪炭林  杉植林地   畑  水田  があり、
すべてがよく手入れされていました。
手入れの行き届いた里山は、見通しもよく、
本来は臆病なツキノワグマが人里に出てくることを防ぎ、
人と熊は上手に住み分けていたのです。
 また、人間は里山から熊の住む奥山に入るときは、
鈴を持つなど最新の注意を払っていました。
 しかし、昭和以降の日本人は森と生きる文化を捨ててしまいました。 
その結果、里山の荒廃が進み、薪炭林の木は使用されなくなり大きく育ち、
たくさんの木の実、ドングリを実らせました。
ドングリは奥山から里山に熊を呼びました。
荒れた里山には下草が生え、見通しが悪く、臆病な熊の隠れ場や通路になりました。
里山と人里の間にあった、田や畑もなくなりました。
熊の本来住む奥山と人里の間にあった里山や畑はなくなり、森と人家が近くなりました。
人家から出るごみは熊にとって簡単に手に入る最高のごちそうになりました。
そして、人間の怖さを知らない熊は、人の住む町にでてくるようになりました。

着床遅延
ツキノワグマは草食動物です、好物は木の実“ドングリ”です。
昨年のドングリは豊作でした。
しかし、今年は凶作、森の食糧が足りない様子。
冬ごもり中に出産するツキノワグマは“着床遅延”といい夏に交尾し受精しても、
秋にドングリなどをしっかり食べないと
着床しない(赤ちゃんにならない)ように体ができているのです。
今年のように餌が少ないと子供を産まないのです。
昨年は豊作だったため、熊の数が増え、今年は凶作のため餌が足りず、
人間の怖さを知らず、生きていくすべも未熟な若い個体が餌を求め、
町に出てきているのでは・・。

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今回長野駅に出てきた熊は、駅から1km程の山から川にそって町中に出てきた様子。
残念なことに、射殺されてしまいました。
 
オオカミ・カワウソは日本から消えました。
森の分断による駆除のため、九州のツキノワグマは絶滅、
四国からも消えようとしています。
ツキノワグマが昔話の中だけの生き物にならなければいいのですが。



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
 休診日 月曜日



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