動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2012.09.04_17:50

「環境のカナリア」

「おい見つけたか?」山の上にある池の中で、網をもって何かを探し求める怪しげな中年男が3人、
小雪の舞うひどく寒い2007年3月のある日のことです。
震えながら池の底をさらっていた3人組の1人は撲です。
3人のおじさんの姿は、まるで池に沈めた「盗んだ金塊」をさがしているサスペンスドラマ、
もしかしたら死体もでてくるのでは・・・。そんなわけはありません。
何をさらっていたかというと体長15cmほどのヌルヌルした生き物の
「クロサンショウウオ」を探していたのです。
決して、売って一儲けしようとしていたわけではありません、
れっきとした動物園の仕事なのです。

「たけし君」は撲が飼うひさしぶりのサンショウウオ。
今回は撲とサンショウウオの出会いと恐るべき生態や現状について、経験から書きます。







地球では今まで経験したことのない速さで生き物の絶滅が始まっています。
特に両生類は毎日のように地球上から消えていっています。
両生類が誕生したのは3億5000万年前、
カエルに代表されるように水上と陸上の両方に適応し全世界に生息しています。
そして、現在生息している両生類5743種のうち、半数は個体数が減少しており、
4分の1は絶滅に向かっており、
この状態は「Amphibiancrisis-両生類の壊滅-」と呼ばれています。
両生類は水と陸の両方で生活するため、どちらか一方の環境が汚染・破壊されても生きていけません。
また、毛やうろこもなく、薄い浸透性の皮膚は、汚染物質(農薬、環境ホルモン)を吸収しやすく、
オゾン層破壊による紫外線の増加による影響も、哺乳類をはじめとする他の哺乳類より受けやすいのです。
さらに5年ほど前にツボカビというおそろしいカビが両生類を襲いました。
両生類がこのカビに感染すると皮膚呼吸ができなくなり窒息死してしまいます。
感染力もすさまじくわずか3か月で地域の1群を絶滅させました。
このツボカビによるカエルの激減はオーストラリアと中米がひどく、
オーストラリアの動物園関係者が日本に来た時、田んぼのカエルを懐かしそうに見ていたそうです。
そこでこの緊急保護策として、「両性類の箱舟計画」が立案されました。
これは「ノアの方舟」になぞられて、
消え行く両性類を動物園という船に乗せ、危機が去るのを待つというものです。
まずは世界中のすべての動物園が1種以上の両生類を飼育、
繁殖させ個体数を確保することにより種の絶滅を防ぐことにしました。
現在の動物園は動物を展示して見せるだけではなく、
このような「種の保存」は動物園の大事な役割の1つです。
この一環として、クロサンショウウオを箱舟にのせることにしました。
皆神山のクロサンショウウオは市の天然記念物に指定されていますが、
近年、生息数が減少し絶滅が心配されています。
そこで市の許可を得てクロサンショウウオを保護飼育することにしました。
そして前述のあやしい3人組が出現したというわけなのです。

どうして「カエル(両生類)がいないと困るの?」と思うかもしれませんが、
両生類の減少は自然環境にとってもマイナスなのです。
例えばオタマジャクシ、藻類を餌としているので、
オタマジャクシがいなくなると藻類は異常に増え池を覆いつくし中の酸素量が減少します。
その結果、魚が死んでしまいます。
禽類・ヘビなど両生類を餌としている生き物達もカエルがいなくなると生きていけません。
インドでは、カエルの減少で爆発的に蚊が増え、マラリアの感染が増え人間にも影響しました。
このように生き物達は複雑に絡み合い環境をつくっています。
その1部(1種)が抜けただけで、その微妙なバランスが崩れ、すべての生き物に影響がでます。

両生類は環境汚染に敏感なため「炭鉱のカナリア」になぞらえて

「環境のカナリア」と呼ばれています。

「炭鉱のカナリア」とは昔は炭坑に入る坑夫さんの先頭の人は、
必ずカナリアの入った鳥籠をぶら下げていたそうです。
炭坑はガスがでることが多く、そのガスは目に見えないため、
ガスに敏感なカナリアを連れていき
“カナリアがぐったり”したら、
危険なサインとしてすぐに逃げました。
カナリアはガス探知機の役割をしました。
「環境のカナリア」の両性類が死んでいく地球、
どんなガス(環境破壊物質)が出ているのでしょうか。
そして、現在日本においてただでさえ減りつつある両生類に、
放射能という新たな汚染が襲ってきました。

「環境のカナリア」この両生類が絶滅していくことの意味を考えると撲はおそろしい・・・。


※その後のツボカビはどうなったか?
2008年に日本のカエルを捕まえツボカビの調査をしました。
撲もこの調査に参加しました。
その結果、日本には昔からツボカビが存在しており、
日本の両生類はツボカビ抵抗力があることがわかりました。
よかったよかった。

<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
 休診日 月曜日



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