動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2012.07.29_01:32
母性に目覚める

「ジャイアントパンダの赤ちゃんが死亡」
というニュースが。
あらら・・・、残念。
飼育担当の人はどんなにか悲しいことでしょう。
死因は肺炎、母乳が気管支に入ったことによる、誤嚥性の肺炎だそうです。
ジャイアントパンダの赤ちゃんは、
ハツカネズミぐらいの大きさで非常に未成熟な状態で生まれてきます。
大人の1000分の1の大きさです。
私たち人間に例えると、50kgの母親が50gの赤ちゃんを産んだぐらいです。
そのためか、生まれて1週間で60~70%が死んでしまうというデータがあるそうです。

僕も自分の手で育てていた仔を、同じ病気で死亡させてしまったことがあります。
小学生2年生の女の子が、両手でやさしく包みこみ、
生まれたばかりのアブラコウモリを連れてきました。
どうも、小学校の体育館の裏で拾ったようで、
女の子は「コーちゃん」という名前を付けていました。
大きさは小指ぐらい。
体温が下がっていたため、まずは暖めました。
少し動きだしたため、注射器を使いゆっくりと特性ミルクをあたえました。
“チュウチュウ”と飲むわけもなく、口の中に入った数滴を舐めるだけ、
口の外にこぼれる方が多いぐらいでした。
0.2mlを飲ませるのに30分以上かかりました。
2日程すると“コーちゃん”はミルクの味にもなれ、
僕のあげ方にも慣れたのか、
自分からチュウチュウ飲むようになりました。
飲み終わるとお腹がぷくっと膨れてしっかり飲んでいることがわかります。
タオルでお尻をマッサージ、オシッコとウンチをします。
そして、5日目には、
ぐいぐい飲むようになっていました。
ミルクの時間が楽しみとなりました。
そして、僕のもとにやってきて1週間、
いつものようにミルクをのんでいると、
「ゴフゴフ」と鼻と口からミルクを吹き出しました。
そして、その日の夜、“コーちゃん”は静かに動かなくなりました。
いっきに飲み込んだミルクが気管に入っていまい
肺炎を起こしてしまいました。
僕のミルクを与えるスピードが速過ぎたのか、
原因はわかりませんが、とっても悲しく悔しい経験でした。

その後も何度かコウモリの人工哺育を経験しました。
アブラコウモリはミルクの次は離乳食。
さて、アブラコウモリの離乳食は何かというと、
ミルワームという、ゴミムシダマシの幼虫を与えます。
ただそのままあげると、ミルワームの外皮は硬いため、
消化不良や便秘を起こして死んでしまいます。
そのためミルワームの内臓だけをあげます。
幼虫の先をパツンと切りおとし、中の内臓を絞りだしそれをあげます。
その内臓をコウモリはクチャクチャと食べます。
食べる物はグロテスクですが
食べている姿はとってもかわいいのです。
ここまでくると、あともう少しで野生に帰せます。
その前にできるだけいろんなものを食べさせます。
主に蛾やイモムシ、小さい体のくせに大食漢、
体の半分ぐらいの量を食べます。
この時期は、毎日虫探しで大忙しです。
そして、夕方コウモリの舞う仲間の元に帰してあげました。

ジャイアントパンダはないのですが、
レッサーパンダの人工哺育をしたことがあります。
3つ仔で誕生したのですが、一番小さい子の栄養状態が悪かったため、
僕たちの手で育てることにしました。
この子はちょっと飲むと飲むのをやめ寝てしまい、
哺乳の時間がやたら長かったのを覚えています。
灰色からだんだん親と同じ色と模様になった時は、
まるで動くヌイグルミとってもかわいかったです。

ノウサギの人工哺乳をしたこともあります。
ノウサギの仔は生まれた時に、
すでに毛が生えておりとってもかわいいです。
親は生まれてすぐ仔を草むらに隠します。
仔はそこにずっと隠れて決して動きません。
あまり頻繁にその場に親がいくと、
敵に見つかってしまうため、母ウサギはできるだけ隠した場所に近づきません。
そのため、母ウサギは1日1回から2回しか哺乳しません。
そんな、隠れている所を人間が見つけると、
“動かないため弱っている”とか、
“周りに母親がいない”
“親に捨てられた”と
勝手に思い込み連れてきてしまうことがあります。
これは誘拐ですよ。
母ウサギは子供を隠していただけですから。
ノウサギのミルクは哺乳回数が少なくてすむように、
とっても濃いのです。
人の手で育てる時も哺乳回数は少なくてすむのですが、
ミルクの濃度がとっても難しいのがウサギの人工哺育です。
薄いと栄養がたりず、濃すぎると下痢をするなど大変気をつかいます。

ネコちゃんワンちゃんは専用のミルクがあるため、
昔に比べ大変、育てることが楽になりました。
昔は牛乳で育てたため栄養不良や下痢で、
なかなかうまく育ちませんでした。
最近のミルクは大変良くできています。

今、生後1週間のネコちゃんを預かり育てています。
哺乳瓶でミルクをあげていると、
ネコちゃんは、フカフカした肉球で哺乳瓶を持っている僕の手をモミモミ、
そして、飲みながら「ミャァ ミャァ ミイ ミイ」とってもおしゃべり。
とっても幸せを感じるひと時です。

夜中にこっそり僕のオッパイを
ネコちゃんの口もとに持っていってみました。
首を左右に振りながら、イヤイヤのポーズ
そして、伸び始めて尖った爪で“ガリ”
僕のオッパイが出るのなら、
僕のオッパイを飲ませてあげたい。
すっかり母性に目覚める僕です。
ミルクの後は、
赤ちゃんネコは自分で排泄が出来ないので、
排泄を補助してあげる必要があります。
ママネコがお尻を舐めるように、
飲ませた後はお尻をチィッシュやガーゼでそっと刺激して、
オシッコとウンチをだしてあげます。
これはミルクの前でもいいですよ。

鳥の赤ちゃんもたくさん育てました。
ほとんどの鳥はミルクではなく虫で育てます。
僕をみつけると餌をねだり、
大きな口をあけてピーピー鳴きます。
あの大きな口を見るとついつい餌をあげたくなります。

ミルクをあげるのは特別なこと、
僕は1回でもミルクをあげると
すっかりお母さんの気持ちになってしまいます。
僕は“赤ちゃん”を育てることが大好き、
これが趣味といってもいいぐらいです。
僕が女性だったらいいお母さんになるのになあ。

ジャイアントパンダのニュースを聞いたとき、
僕の手は“コーちゃん”の一生懸命ミルクをのんでいる時の
あの感触を思い出しました。


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
 休診日 月曜日



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