動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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僕は 元動物園獣医師
現在は東京都大田区大森東の五十三次どうぶつ病院獣医師です。
動物園時代からたくさんの生き物を飼い、そして咬まれ、踏まれ、蹴られてきました。
こんな楽しい自分の経験からありとあらゆる生き物の秘密にせまります。
今回はハムスターの秘密です。 
ハムスター
 

夜中の怪音
 僕が電気を消し、布団に入ると、カラカラゴロゴロと謎の音が響きわたります。
最初は風の音だと思っていたのですが、電気をつけると止まるのです。
どうしても気になった僕はある晩、電気を消したまま、こっそり音のする方に近づきました。
すると音の主は、わが家の一番小さな家族、ハムスターの「海ちゃん」でした。


海が「回し車」を回す音です。

昼間はもちろん夜でも僕が起きている時には、彼女はほとんど寝ているため
「うちの子はぐうたら娘で回し車なんて使わない」と思っていたので、ちょっとびっくり。
午前2時過ぎまで、じっと観察していると、餌を食べたり毛づくろいをする時以外は、
ほとんど回りっぱなしでした。


ハムスターはネズミの仲間で夜行性。ですから、暗くなるのを待って動き出していたのです。
野生のハムスターは、餌を求め一晩に20キロ近くも走り回るといわれています。
2㌢あるかないかの短い足ですから、人に例えたら毎日ウルトラマラソンをやっているようなもの。
だけど野生下で餌を求めて走るのはわかりますが、わが家ではたっぷり餌を与えているので、
走る必要などないはずです。

調べてみると、食生活に秘密がありました。
生きていくためには、必須アミノ酸と呼ばれる栄養素をバランスよく取らなければなりませんが、
げっ歯類が食べる穀物にはそれが少量しか含まれていません。
それで、必要十分量のアミノ酸を取るためには大量の穀物を食べる必要があります。
しかし、その結果、脂肪・炭水化物など他の栄養素を多く取りすぎることになってしまいます。
それでこの余分なエネルギーを放散するために、夜中に走るというわけです。
うちの海ちゃんは、ダイエットのためにせっせと走っていたのです。
uma


体格は大きく異なりますが、馬も同じです。
馬が走るのは「食べ過ぎた余分なエネルギーを捨てる」という意味があるのです。
同じ草食動物でも、牛は走り回らず寝てばかりですね。
なぜかというと、大きな胃の中に莫大なバクテリアを飼っているので、
食べた草はこのバクテリアの食物となり、
そしてすごいのが、このバクテリアが発酵によって草からアミノ酸を合成してくれます。
そのうえ牛は、このバクテリア自体も消化してエネルギーとして利用しています。

つまり、草食動物として馬よりも進化したすぐれた消化器を持っており、
効率よく草を利用し、過食の必要がないので走る必要もないというわけです。
人間は、馬よりもっと肉食獣に近い消化器をもっているため、
野菜だけで生きていくには、やはり過食にならざるをえません。

「せっせと野菜を食べているのに、ちっともやせないなぁ」
僕も過食。「海」を見習って走ります。                      
                           〈獣医師 北澤 功〉



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