動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2012.01.22_23:30
ノミは怖い

昼休み、お弁当のハンバーグを口に入れようとした時電話がなりました。
「先生。ウンチの上で、何か動いているのですが、ぎゃー
「すごい、動いてる、動いてる。ママ見てみて」
「ギャー、触っちゃダメ、こっちに持ってこないで」
電話の向こうでは、子供がその何かをいじっている様子。
お母さんは、パニック状態。
「襲ってはきませんから大丈夫、落ち着いてお母さん」
落ち着かせるため僕は声をかけました。
「まず、飼い主さんのお名前お願いします」
「由佳」です。
できれば苗字も教えていただけますか。
「○○です」
「それで誰のウンチですか
「小太郎です。」

お互いにトンチンカンな会話をしていると、お母さんは少し落ち着いてきました。

「ネコちゃんですか、ワンちゃんですか」
「ワンちゃんです。」
「動いている物の形と色と大きさを教えてください。」
「気持ち悪くてよく見てないので・・・。○○(子供の名前)どんな形」
「かりんとうみたい」元気な男の子の声が聞こえます。
 うんちの上で動く かりんとうが動く 
そんなもの、見たことがないし、何か想像もつかない。
新しい生き物?
「バカ、うんちじゃないよ、動いている方だよ」お母さんの怒鳴り声
かりんとうはウンチのことみたいです・・・。
お米みたい」
「そのお米が伸びたり縮んだりしているよ」
あーなんとなくわかりました。
「いつもワンちゃんが寝ているところも見て下さい」
「あ~白いゴマが落ちています」
はっは~  なるほど。
「とりあえず、米粒をウンチごとラップに包み持ってきてください。」

持ってきてもらった動くお米は、予想通り瓜実条虫の体の一部でした。

瓜実条虫は腸に寄生する生き物、寄生虫です。

別名 サナダ虫、
長さは数センチから時には50センチにもなります。
瓜実君の体はたくさんの節がくっ付いてできており、
そして、自分で一番端の節を切り離しウンチと一緒に外に出します。
この節が米粒にも似ていますが、
きゅうりの種に似ていることから瓜実条虫の名前となりました。
この米粒の中にはたくさんのが入っています。

米粒はやがて乾燥し白いゴマとなり、破裂してたくさんの卵をまき散らします。

そして、まき散らされたこの卵をノミの幼虫が食べるのです。

食べられた卵はノミの中で、感染力をもつ幼虫となります。

ノミはお腹で瓜実君を育てながら自分も成虫となり、

ワンちゃんの体でを吸います。

ワンちゃんは痒いので、ノミが血を吸っているところを、噛んだり舐めたりします。

するとその時にノミを食べちゃうことがあります。

これが瓜実君の作戦、卵の形でまずはノミに食べられ、ノミの中で幼虫となり、
そして、もっともっと大きくなるためには、
たくさんの栄養と大きなお部屋をもつ、大きな生き物の中に入りこみます。
ワンちゃんの腸・・・という大きな部屋を得た瓜実君は、
吸盤と鈎でくっ付いてたくさんの栄養分を吸い取りながら
せっせと節を増やしながら大きくなります。

それにしても、瓜実条虫の生き方はすごい。
犬や猫のお腹に入るため、まずはノミに食べられるなんて、
よくこんなこと考えついたものです。

このようにワンちゃんの腸に入るため瓜実君にはノミ君が必要なのです。
ということは、瓜実君がいたワンちゃんには、必ずノミもいたということです。

退治するときはノミの駆除も一緒にしないとまた感染します。

ちなみに瓜実条虫はネコにも感染します。

恐ろしいことに人間にも感染します。

ノミが自分の体につき血を吸われて痒い時、決して噛んだり舐めたりしてはダメです、
万が一ノミをたべちゃうと感染してしまいますよ。
そんな人はいないか。
実際の感染は犬や猫のノミを発見し、指で潰した時、
その手を洗わず物を食べたり、口に持っていったりすると
口から幼虫が入ることにより感染がおこります。
 
電話を切ったあと、食べかけのハンバーグを食べようとしたら、
ちぎれたハンバーグの上に米粒がのっていました。

さすがに、これは食べられませんでしたね・・・

<東京都大田区大森東 五十三次どうぶつ病院 獣医師 北澤 功>



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