fc2ブログ
動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
プロフィール

つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

フリーエリア
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
動物達の不思議な生態の秘密
リンクフリーです。
バナー
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR


ヤギとハヤブサと新宿


高層ビル群、世界一の繁華街のある新宿、
そこにある小学校で
“ハッピー”と“スマイル”
2頭のヤギの親子が飼育されています。
娘は新宿生まれ、新宿育ちです。

周りの木にはツキノワグマの爪跡が残り、
庭のカリンの木ではマムシが日向ぼっこ、
イタチが毎朝、玄関の前に糞をしていくような、
長野の山の中に住んでいた僕。
東京で動物病院を始め何年もたちますが、
新宿に行くと、
いまだに高層ビル群の高さにびっくり、
新宿駅では迷子になります。
そんな田舎者の僕が
都会の“ヤギ”の飼い方指導と健康チェックをしてきました。

彼女らのおうちは校舎の中庭にあり、
庭付きの小屋の他、
3~4メートル離れた場所に、
もう一か所日向ぼっこ用の離れの部屋とお庭をもっていました。
新宿にです。
日当たりもよいうえ、風通しもよく、
その上静かで、ここは本当に新宿?と思わせるようなとってもいい環境です。

お世話は子供たちと、近隣のボランティアが行っています。
毛の艶もよく、人が大好き、
とっても愛されていることがわかります。

1万年以上前から人間と共に暮らし、
優しく、おっとり、のんびり屋のイメージのヤギ、
実はすごい運動能力を持ったアスリートです。
ロッククライマーが“やっとこさ登った崖”の途中に、
なんでもなかったようにヤギが立っていたりすることも、
木登りも得意です。
その秘密は蹄にあります、それぞれの足に2本の蹄(指)があります。
蹄の裏は外側が固く、真ん中が柔らかく、
それぞれの蹄自体が大きく開くなど柔軟性があるため、
凹凸の岩場や木に引っ掛けやすいのです。
またバランス感覚もすごい、
ゆらゆら揺れる細い枝の上でも落ちることなく葉をムシャムシャ。
あんなにまん丸で垂れ下がったお腹なのに、
インナーマッスルは鍛え上げられ、
柔軟で鍛え上げられた脚力を持っています。
動物園で飼育していた時も、
角材で橋を作ってあげると平均台のような橋を上手に上っていました。

ヤギは横長の独特の瞳をしています。
横長瞳と目が顔の横につくことによりとっても広い視野となり、
ヤギは振り向かなくても後ろが見えます。
素早く天敵を見つけやすい目です。
もっとすごいことに、この瞳が50度近く回転できるので、
下を向いて草を食べている時も、地面と水平に保ち広い視界を確保します。

紙を食べるの?
ヤギは食いしん坊で食べることが大好き。
目の前に紙を出すとムシャムシャ食べてしまいます。
ヤギは本来、葉や草を食べます、葉には糸のような硬い繊維があり、
これが消化しにくく、その繊維を消化するため
ヤギはお腹で微生物をたくさん飼っています。
その微生物が葉や草を分解して栄養に変えてくれます。
ヤギは微生物たちが食べやすいように、
胃のなかにある未消化の草や葉を再び口の中に吐き戻し、
奥歯でスリスリ小さくして胃の中に再び戻します。
紙は植物の繊維からできているので、
食いしん坊のヤギたちは食べ物と間違えて食べてしまいます。
しかし、日本古来からの和紙を除き、
現在の紙は、印刷したものはインク、
その他いろいろなものがまざっているので微生物が食べてくれず、
お腹を壊してしまいます。
あげてはダメ。

お腹が痛い時の治療はマッサージ
動物園時代、朝ヤギが倒れて動けないと連絡があり、
急いでヤギ舎に行きました。
ヤギ舎の飼料庫で、
パンパンにお腹の膨れたヤギがハアハアしながら倒れていました。
食いしん坊のヤギが夜中に寝室を逃げ出し、
飼料庫で一晩中、餌を食べていた様子。
食べすぎにより胃腸が動かなくなり、
お腹のなかで異常発酵、お腹にガスがたまり倒れてしまった様子。
あまりのガスで呼吸も苦しそう。
まずは立たせてお腹をマッサージすると
上から下から
“ブウ  バッフ ゲッフォ”
出るわ出るわ“げっぷ”と“おなら”
呼吸も落ち着き
自力でたてるようになったので、
次は散歩、ひたすら歩かせました、
その間も“ブウ  バッフ ゲッフォ”
あのまま倒れたままだと命の危険もありました。
食べすぎで命を落とすこともあるほど、
食いしん坊です。

ヤギは歩きながらウン〇ができる
ヤギのウンコは“チョコボール”と同じ大きさと形。
これにはとっても深いわけがあります。
僕がウン〇するのはトイレ、
壁に囲まれ、静かで、踏ん張れる環境です。
山を歩いている時、
どうしてもしたくなった時も、
必ず草むらや木の陰など囲まれた場所でなくては出来ません。
見渡しのいい草原では絶対できません。
囲まれた場所で止まって、座ってします。
しかし、ヤギは歩きながらでも、
ご飯を食べながらでも、
ウン〇をします。
チョコボール型ウン〇はとっても便利で、
踏ん張らなくてもポロポロと、
いつでも好きなだけ、どんな場所でもだすことができます。

僕がウン〇をしている時は全く無防備、
途中でとめることもできず、
意識は肛門に集中しているため、
目は開いてはいるものの全く情報収集の役を果たしていません。
もしそんな最中に“敵”襲われたら
あっという間に食べられてしまいます。
トイレの個室の鍵は“敵”に襲われないためにあるのです。


子供たちが見守る中、
僕は軽快に柵を飛び越え、
“ハッピー”を素早く捕まえました。
ハッピーもすごい速さで抑えたので、
暴れることもなく、おとなしく僕の横に座り込みました。
さっそく健康チェック、聴診器を当てました。
子供たちは“いつも気を付けてそっと近づくように”
と注意をされてきたため、
僕の大胆な触れ方に尊敬の眼差し。
「お~すげえ」などの歓声。
「先生、危ないよ、大丈夫」の声も
それに対し、
「先生ぐらいになると、
気配を消し、相手を怖がらせないことができる、何でもできる・・。」
すっかりムツゴロウさん気分で“ハッピー”を操っていました。
子供たちに目を見せて、
目について説明をしている時に、
僕のお尻をド~ンと、
“スマイル”が頭を下げて、
角で僕のお尻に体当たり、
僕は見事に転びました。
そういえばムツゴロウさんも蛇に巻き付かれていたな~。
「このように、ヤギちゃんたちは気まぐれ、
絶対油断しないように」
僕に対する憧れの目が、
信用できないという目に変わりました。

学校の帰り道、お尻をさすりさすり、
新宿を歩いていると、
高層ビルの間を1羽の鳥が颯爽と飛んでいました。
ビルの風を利用してクルクル回りながら上昇していきます。
カラスぐらいの大きさ、
お腹の黒い横じまから、この鳥は“ハヤブサ”
ビルを崖に見立てて、
大都会で暮らすたくましき鳥です。

新宿でヤギとハヤブサ
とっても楽しい1日でした。




<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 〒143-0012 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

スポンサーサイト





この記事へのトラックバック URL
http://tukimaru532.blog.fc2.com/tb.php/155-49aa91c9
この記事へのトラックバック:
この記事へのコメント:
Name
Title
E-MAIL
URL

password
管理者にだけ表示を許可