動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2016.07.21_16:00

常識が変わる

「え~」
ニュースで娘が以前通っていた小学校が映っていました。
何があったの?
ニュースの内容は
“長野市内の住宅街にイノシシがあらわれ、
付近を走り回って通学途中の小学生など合わせて3人に次々と体当たりをして、
3人が軽いケガをしました。”
体当たりされたのは小学校6年生の男の子とのこと、
娘の同級生だった子ではないか。

最近、あちこちで野性動物の出没事件が多く起こっています。
一番恐ろしかったのは、
“秋田県鹿角市の山林で、タケノコ採りの男女4人が相次いでツキノワグマに襲われ、
死亡した。現場近くで駆除されたクマ1頭を解体して詳しく調べた結果、
人の体の一部が見つかった。”

これは今まで考えられていた常識を覆す事例です。
今までの僕の認識では“ツキノワグマ”は、
ハチやアリなどの昆虫や、死んだ動物を食べることはあるが、
基本的に草食だと思っていました。
動物を襲ってまで食べることはほとんどないと思っていました。
実際、動物園で飼育している時の餌も野菜・果物・木の実・クマ用ペレット
動物食としては煮干しを少々与えていただけでした。
その餌の内容で元気に長生きしていました。
大好物はハチミツとどんぐりでした。
ためしに、生の馬肉を与えたこともありましたが、見向きもしませんでした。
そんなことから、
北海道にいるヒグマは動物を“食べるために襲う”
もし出会ってしまったら、逃げても追いかけ襲ってくる、
命を奪うから恐ろしいと考えていました。
それに対して、ツキノワグマは、
食べるために、襲うことはなく、
人が怖くてビックリして襲ってくるだけだから、
最初の一撃さえかわせば、何とかなる、
大けがのおそれがあるが命までは奪われないと考えていました。

ツキノワグマは“食肉目”クマ科
食肉目の仲間のライオンなどの大型ネコ科は完全な肉食。
クマは同じ食肉目でも、進化の過程で植物を含めさまざまな食物を食べるようになり、
肉食から雑食に変わって行きました。特に日本に生息する日本ツキノワグマは、
クマの中でも草食に近い雑食となりました。
クマは、雑食化の道をたどり植物を食べるようになりましたが、
完全草食の牛のように食物繊維を消化するために特化した消化器官(肉は消化することはできない)をもっていないので、草のような繊維質の多い植物は食べても消化できません。
歯も肉食の特徴である犬歯があり、爪も獲物を襲うためのかぎ爪です。
草食に近い雑食ではありますが、肉を食べるための消化器と歯と爪を持っています。

お~そうだ、肉食だったのだ、
日本の森に棲んでいたツキノワグマは、
進化の過程で狩りを必要とする大変な肉を食料にするよりも、
周りにたくさんあり、手に入れやすいドングリなどの木の実や芽を
を食べることにしたのです。
簡単に肉が手に入れば肉を食べていたと思います。
逆に、植物がほとんど手に入れることのできない北極に住む
ホッキョクグマは、ほとんど肉食の雑食です。

我々人間も雑食ですが完全なベジタリアンの人もいれば、
お肉大好きな人もいます。
今回のツキノワグマ、
動物の死骸、弱った動物で肉の味をおぼえ、
肉がおいしいと思い、肉が食べたいなと思っていたところ、
たまたま、出会った人を攻撃したら、動かなくなったので、食べたのか?
それとも、人を食べたいために獲物として襲ったのか?
はっきりわかりません。
しかし、1件ではないなどから、人を獲物と認識した可能性があります。

生きていくためには食性や生活様式を変える生き物はたくさんいます。
ハヤブサは一時絶滅の危機がありましたが、
都会のビルに棲み、ドバトを餌にすることにしました。
人間の生活にうまく適応したことにより、生息数が増えました。
イノシシもツキノワグマもニホンシカもカモシカも、
一時は人間により生息数が激減しましたが、
しかし、最近は環境の変化に対応することにより生息数が増えました。
逆に、ニホンカワウソ、オオカミのように
人間が変えてしまった環境に対応しきれず消えていった生き物もたくさんいます。

今回のクマやイノシシ、危険だから駆除すればいいのか、
駆除するのは、かわいそうだから人が近づかなければいいのか、
日本人は本来、山を利用し、山を守り、山に住む生き物との付き合い方、
自然と共存する知恵がありました。
私の長野の家の周りにもツキノワグマが生息しています。
近くのリンゴの木にはツキノワグマによる爪跡があります。
ツキノワグマを飼育の経験もあり、保護してあげたい気持ちもあり、
しかし、わが小学生の娘が事故にあうことを考えると駆除しなければという考えも・・・。
これは自然保護を考えるうえの永遠のテーマです。










<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

8月の臨時休診のお知らせ
8月1日(月)から3日(水)午前まで休診とさせていただきます。
8月11日(木)午後から8月17日(水)午前まで休診とさせていただきます。
17日(水)は午後1時から診療します。
 
  

  ★ もう一つのお知らせ

  辰巳出版の 日本犬専門マガジン!
  Shi-Ba(シーバ) 
  に連載始めました。
 “毎日事件発生!? マニアな視点で診察中
  北澤先生のおもしろ動物病院”
 
 本屋さんで見つけたら読んでください。


 ★またまたお知らせ


 やっとできました。

  『 獣医さんだけが知っている 動物園のヒミツ 人気者のホンネ』

 2月15日に発売されました。
 僕が動物園で知り合った愉快な仲間たちのお話しです。
 動物のあやしいウンチクまんさい!
 この本をもって動物園に行ってください。
 動物園が100倍楽しめます。
 
 犬養ヒロさんの絵がとってもかわいいですよ。





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