動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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新潮と乙武と僕とゾウ

桜のニュースが流れ始めた3月下旬。
「先生、業者から電話です。出られますか?」
看護師の●●さんの声が、
奥の診療台で採血をしていた僕、
「ちょっと待ってもらって、どこからか確認して」
受付に向かっていいました。
「週刊新潮の○○さんだそうです。」
え・・・⁉
週刊新潮といえば今週号で乙武さんの女性5人と不倫を報道。
僕のもばれた?
確かに僕も乙武さんに負けないぐらい“モテモテ”
“変態獣医師の異常な生活”
“変態獣医師 北澤功の裏の顔”
雑誌の見出しが浮かびました。
いやいや、もし僕が変態でも、世の中の人はだれも興味がないはず。
それと、抱っことキスはするけどそれ以上は・・。
あと相手は尻尾があるうえ、男の子も多い。
あ~変態か・・。

ドキドキしながら電話にでました。
「お忙しい中、申し訳ありません」
「いやいや、僕は何もしてませんし、何も知りません。」
最初に僕はガツンと言ってやりました。
「あの、井の頭自然動物園のゾウ“はな子”についてお聞きしたいのですが」
「あ~不倫疑惑ではなくて」

はな子は68歳のゾウ、お婆ちゃんです。
日本の動物園、最長老です。

今回の取材は、はな子の食欲がないことに関して
ゾウさんの生態・性格・行動についてでした。
ゾウのはな子といえば、
最近、海外の動物愛護団体が、
「はな子を適切なゾウの保護区に移すか、
適切な施設で仲間のゾウとコミュニケーションを取れる環境に置いてあげたい」
という署名活動を行ったというニュースがありました。
確かに現在のはな子の飼育環境はコンクリートで囲まれた狭いところで、
良い環境ではありません。

はな子が日本にやってきたのは1949年、
日本はまだ戦争の爪跡があちこちに残っていた時代です。
そんな日本の子供たちにゾウを見せたいということで
タイ政府がはな子を送ってくれました。
移動動物園で日本各地をまわり、
その後 井の頭自然公園で飼育されました。
井の頭自然公園では、深夜に侵入してきた酔客とその後は飼育員を踏み殺してしまい、
殺人ゾウと呼ばれ、鎖につながれる生活となり、
ストレスであばら骨がうきでるほど痩せこけてしまいました。
人間不信になり凶暴化したはな子を、
飼育員の山川さんが鎖を外し付きっきりで世話をしました。
山川さんとの出会いにより、はな子を以前のやさしいゾウにもどりました。
山川さんが定年した後も、山川方式で狭い範囲ながら飼育員の努力と愛情により、
今も元気で暮らしています。

ゾウは賢いですが、とっても神経質。
信頼関係を得るためには何年間もかかります。
何年間かけても、愛情を持たず“仕事として”だけ接していると、
信頼を得ることはできません。
昭和時代のゾウ担当者は、少人数で何十年と付き合っていました。
ゾウの飼育方法も直接飼育といい檻の中に担当者も入り、お世話をしていました。
この飼育方法をするには絶対的な信頼関係が必要です。
しかし現在は、勤務状態の変更、週休2日、1日8時間労働となり、
休みを取るため多人数でチームを組み飼育することになりました。
その上、数年ごとの飼育担当替えをおこなうようになりました。
昔のゾウ担当者は、職人気質のうえ信頼関係をえるために、
休みも取らず、動物園に住んでいるのではと思われるぐらいの人もいました。
山川さんは職人そのものだったそうです。
現在そんなことをしたら、上司に怒られてしまいます。
ゾウと過ごす時間が短くなるため、信頼関係が築きにくく、
事故防止のため、直接飼育からオリの中には入らない
オリ越しにお世話をする間接飼育が多くなってきています。
事故は減りましたが、ゾウのストレスは増えたような、
病気の治療はとっても難しくなりました。
そんな中でも、井の頭自然園のゾウ担当者は山川さんの意識を受け継ぎ、
あの環境のもとはな子にストレスを与えないため最大限の努力をしています。
その結果が長生きです。

ゾウさんはあんな大きな体をしながらとっても神経質です。
いつも何もないところに小さなビニールの袋が落ちていただけで、
展示場に出ないこともあります。
できるだけ同じ環境で、同じ行動をとることがとっても安心します。
もし、保護団体の提案通り、新しい環境に移動させたら、
移動の疲れ、新しい環境のストレス、初めて見る担当者、初めて会う仲間、
間違いなく体調を崩すでしょう。
まずそれ以前に移動のための箱に絶対入りませんが。

今いる場所を広くしたり、木を植えたらのリフォームをしたらどうか、
工事の音や見慣れぬ機械で体調を崩します。

新しい仲間を入れたらどうか、
同じゾウだったら誰とでも気が合うなんてことはありません。
体長を崩します。

はな子の幸せは、今の環境で信頼おける人間との生活が一番です。
希望としては、飼育担当者を人間の都合による人事異動で変えないでください。

今回の保護団体の提案は、とっても大事です。
はな子に対してではなく、今後ゾウを飼うにあたり、
単独飼育はしない・コンクリートではなく自然に近い環境の再現を試みる
広い飼育場、水浴びの出来る大きな池などなど・・。
目標はそこで自然繁殖をすることです。
子供ができる環境とはゾウにとってもっともストレスのない環境です。
日本でもゾウの家族、群れが見ることができる
世界に誇れる動物園を作ってほしいです。

奥さん、
僕はモテモテですが、あなた一筋です。
‟安心してください”
あれ、安村も、おまえもか・・・。


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

ゴールデンウイークのお休みのお知らせ
5月1日(日)午後から6日(金)午前まで休ませてもらいます。
6日(金)は午後1時から診療します。
 
  

  ★ もう一つのお知らせ

  辰巳出版の 日本犬専門マガジン!
  Shi-Ba(シーバ) 
  に連載始めました。
 “毎日事件発生!? マニアな視点で診察中
  北澤先生のおもしろ動物病院”
 
 本屋さんで見つけたら読んでください。


 ★またまたお知らせ


 やっとできました。

  『 獣医さんだけが知っている 動物園のヒミツ 人気者のホンネ』

 2月15日に発売されました。
 僕が動物園で知り合った愉快な仲間たちのお話しです。
 動物のあやしいウンチクまんさい!
 この本をもって動物園に行ってください。
 動物園が100倍楽しめます。
 
 犬養ヒロさんの絵がとってもかわいいですよ。






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