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動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
プロフィール

つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2019.02.15_17:03

LGBT

「ただいま~」
手術を終え、夜の10時過ぎに帰宅。

玄関のドアを開けると
“ぱーていー いず おーばー
それでも 踊りたかった~“
甲高い、女の子の歌声が
響いていました。

この声の主は“女王蜂”のボーカル「アブちゃん」
どう聴いても女の子、
でも実際は男の子らしい。
女王蜂は日本のロックバンド
年齢、性別不明のアブちゃんがあやしく歌います。

キッチンから、
「お帰り、ゴハンどうする?」
ノリノリの妻の声が聞こえます。
女王蜂を聴いているのは、娘ではありません。
我が妻です。

一昨年、僕は妻と平井堅のKen's Barに行きました。
「やっぱり座ってゆっくり聴けて、
ドリンクまでつくライブはいいね、大人よね」
「ノリノリのライブはね・・・。」
「今度はジャズバーなんかもいいね」と話しました。
「部屋も落ち着いた雰囲気にして
『いい音』聴きながらすごすのもいいよね」

それなのに、現在、我が家に流れる音楽は、
“女王蜂”“ふぉ~りみてっどささびーず”
“わんおくろっく”“すーぱーびーばー”
“うーばー・・なんちゃら”
激しいロックが・・・。

昨年、妻は娘と渋谷に行きました。
その時たまたま、女王蜂の路上ライブがあったそうで、
その時、娘は妻に
「私は最前列に行くけど、
お母さんは絶対前の方に行ったらダメだからね」
と、言われていたのに・・・。
いわれた通り、最初は後ろに立っていたのですが、
後ろにどんどん人が増えてきて前に押され、
いつの間にか、前から六番目ぐらいになっていたそうです。
女王蜂が出てきて演奏が始まると一斉に周りの人が
手をあげてジャンプ、
妻が言うには、
「ここでは立っているだけの方が危ないから、
しょうがないから一緒にジャンプしたの、
おかげで疲れちゃったは・・・。」
その時はとってもいやいやそうに言っていました。

女王蜂のアブちゃんは
身体は男の子で心は女の子
トランスジェンダーらしいのです。
人間以外の生物にLGBTはあるのか?
★性別がない
細菌や単細胞生物にはそもそも性別がありません、
★環境によって雌雄が決まる。
ウミガメの性別は卵の時の温度で決まります。
温度が高くなれば雌になります。
★雌雄同体生物。
ウナギは成長過程で雄になったり雌になったりします。
カクレクマノミは生まれた時は全てオスで、
群れの中で一番大きいヤツがメスになります。
ナメクジ・ウミウシ・ミミズは1個体で両性を持っています。
★植物の性別
同一個体、同じ花の中におしべとめしべの両方の性を持っているものがほとんどです。
ほんの少数ですがイチョウやクワのように雄花や雌花を別の個体にもつものもいます。

地球上の多細胞生物の99%は植物、
そのほとんどが、同じ花の中におしべとめしべを持つ「両性花」
性別がある人間の方が少数派なのです。
LGBTを問題となる方が、
“マイノリティ”ということ

先日、妻は“ふぉ~りみてっどささびーず”
のライブに行きました。
ライブ後に感想をきくと、
2階席で見ていたらしいのですが、
「1階では人の上に人が転がっていた!」
興奮気味に僕に語りました。
「危ないよね」
あの目つきは、絶対興味がある目。
御願いです、あなたの年齢と体力を考えてください。
ライブに行くのはいいですが、
絶対「ダイブ」はダメ。
怪我します。

今度は女王蜂のライブに行くらしいのですが、
どんなお化粧していこうかなやんでいる様子、
行ってもいいですが、
普通のおばさんの化粧で行ってください。

以前の僕はユーロビート、ヘビメタ、ハードロック
などなど、重低音がきいた音楽が好きでした。
最近は出来るだけシンプルな音楽が好みに、
ジャズやクラシックにも興味が、
そこで、クリスマスプレゼントとして自分に、
ハイレゾ対応のちょっと高級なスピーカーを買いました。
部屋全体に優しい音が広がり、
柔らかく響くのがとってもいいのです。
大人のおしゃれな空間を作るためのスピーカー。
これでいい音楽を聴きながら、動物たちのお世話。

我妻はそんなスピーカーで、
重低音をドンドンきかした激しいビートをならしています。
寝る前に静かに音楽を聴くはずが、
女王蜂で寝ることに、
でも毎日聴いているとつい口ずさんでいる僕が、
来年ぐらいにはもしかして、
濃いめのお化粧で、チャイナドレス、ジュリ扇もって
2人でライブにいくのかも・・・。


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 〒143-0012 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

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カンチャンと茂雄さん



「先生、みなさん、おはようございます」
パナマハットをかぶり、上質なツイードのジャケット、
背筋のピンと伸びた、
とってもおしゃれなお爺ちゃんの声が病院に響き渡ります。
“茂雄さん”が柴犬の“カンチャン”を連れてやってきました。
カンチャンはリードを2本つけています。
1本は茂雄さんのベルトに縛り、
もう1本は右手で握っています。
受付の前に来ると、
茂雄さんはポケットから、
お金の入った封筒とメモ用紙を取り出し、
メモを大きな声で読み上げます。
「予防の薬、心臓のくすり、爪切り・肛門、お願いします」
自分の孫ぐらいの看護師さんに深々と頭を下げます。
そして封筒とメモ用紙を看護師さんに渡します。
封筒の裏には、
奥さんのやさしい字で
「足りないときは、次回もたせます。
 病院を出たら、私に連絡お願いします」
カンチャンは、茂雄さんの横に座り、
茂雄さんの顔をじっと見ています。

順番になり、診察室に入ってもらいます。
「カンチャン、元気ですか?」
少し耳も遠いため、僕ははっきりと大きな声でたずねます。
「はい 元気です」
「何か心配なことありますか?」
「ありません」
2人の大きな声が病院中に響きわたります。

茂雄さんは72才、
4年ほど前から物忘れが始まりました。
病院に来たけど、何しに来たか忘れてしまい照れながら帰ったことも、
一度は、茂雄さんだけきて、カンチャンがいない、
ビックリして外を探してみると、
自動車の行きかう交差点を
カンチャンがリードをずるずる引きずりながらポツポツと歩いてきました。
あわてて、病院に連れて行きました。
茂雄さんを見つけると、尻尾を振り振り、茂雄さんの横にお座り。
この時以降は奥さんと相談して、リードは2本、
1本はベルトに結びつけることにしました。

最近の茂雄さんは、だんだんと感情の起伏が激しくなり、
時々癇癪をおこすようになってきたそうです。
お嫁に行った子供の顔と名前も、忘れてしまったことも、
子供がたまに来ると「どちら様?」・・・。
「私のことも時々忘れ始めている」と、
奥さんはぼやいていました。
外出は必ず奥さんと一緒に出掛けるのですが、
動物病院に来るのだけは、カンチャンと2人で大丈夫だそうです。
カンチャンと一緒の時は、
怒ることが一切ありません。
いつもニコニコしています。
名前もしっかり覚えているし、
病院でもカンチャンと一緒だとしっかりしていました。
家でもカンチャンのゴハンとお水は茂雄さんがやっているそうです。

以前は、茂雄さんの前を元気いっぱい好き勝手に歩き回るカンチャンを、
茂雄さんがリードで引っ張って散歩をしていました。
今のカンチャンは散歩中の茂雄さんの横、
車道側にぴったりと寄り添い、
いつものコースを歩きます、
違う道に行きそうになると、
カンチャンはお座りをして動かず、
「ワン」の一言
正しい道を教えます。

ある朝、奥さんが庭の鉢植えに水をあげている時、
いつもは必ずかける玄関の鍵をかけ忘れてしまい、
茂雄さんが一人で、家から出てしまいました。
あわてて、奥さんが家の周りを探しますがどこにもいません。

そんな時、カンチャンも家を飛び出してしまいました。
奥さんはパニック、
近所のスーパー、海辺の公園を探しましたが、
2人とも見つかりません。
動物病院にも探しに来ました。
警察に届け出をして
警察、御近所さん、散歩仲間、みんなで探しました。
奥さんは家で待ってもらうことに、

いなくなって3時間ほどたった昼すぎ、
家でじっと待つことができない奥さんは、
玄関の前でオロオロしていました。
そんな時“ワンワン”カンチャンの声が、
声の方向を見ると、
カンチャンが、茂雄さんとお坊さんを引き連れて歩いてきました。

お坊さんの話によると、
お寺の境内で、
茂雄さんが「かんちゃ~ん、かんちゃーん」
名前を呼びながら、ウロウロしていたそうです。
大きな声と、はだしのままの茂雄さん、
お坊さんが心配になり声をかけると、
「カンチャンがいない・・・」と、
とりあえず、お坊さんの雪駄を貸して、
一緒にカンチャンを探しました。

そこに、大きな柴犬が走ってきました。
「カンチャン」
お父さんが呼ぶと
カンチャンは尻尾をブルンブルン振りながら、
お父さんのまわりをグルグル走り回りました。
「カンチャン、探したぞ」
お父さんはカンチャンの頭をナデナデ。

14年前の暑い夏の朝、
お寺の縁の下で“く~んく~ん”
やっと目が開いたばかりの子犬がないていました。
いつも境内でお参りしてから会社に向かうお父さん。
子犬を抱き上げると、チュウチュウ指を吸い出したそうです。
とりあえず住職さんに預け、会社に向かいました。
その日会社は早退、ペットショップでミルクと哺乳瓶を買って、
「かんちゃん」を迎えに行きました。

お寺は2人の散歩コースとなりました。
しかし、家から歩いて30分、
お寺に行くためには大通りを超えなくてはいけないため、
最近はお寺に来ることはなくなりました。

お坊さんは植木用の麻紐をリードの代わりにかんちゃんの首輪に結んで、
茂雄さんにもってもらいました。
カンチャンと会えた茂雄さん、
落ち着きを取り戻し少ししっかりしました。
そして、カンチャンが茂雄さんを引っ張りながら、
2人でお寺を出て行きました。
心配のためお坊さんも一緒についてきてくれたのです。

認知症と肝臓病のお父さん、
白内障で目があまりよく見えず、
心臓の病気のカンチャン。
毎日2人はお互いに助け合いながら散歩をしています。


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 〒143-0012 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
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臨時休診のお知らせ

2月10日(日)
都合により休診いたします。