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動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
プロフィール

つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2018.12.28_17:24

猪突猛進


イチョウの葉が黄色く色づき始めると、
いよいよ楽しみな収穫の季節、
僕は鍬とスコップをもって畑に向かいました。
あれ、何か変、
今までは畑一面を覆っていた葉っぱと蔓が、
ずたずたに切れて茶色い土が見えていました。

昨日、葉っぱが枯れ始めたので、
そろそろかなと試し堀をすると、
ソフトボール大から2リットルのペットボトル大の
見事なサツマイモが採れました。
僕は畑を借りてサツマイモを作っていました。
「明日はいよいよ収穫だ!」
朝日とともに起き、鍬とスコップを持ち畑に向かいました。

畑を目の前に僕は立ち尽くしてしまいました。
畑は見事に掘り起こされ、
サツマイモが盗まれていたのです。
苗を植え4か月、
お芋に栄養が行くように試行錯誤しながらの肥料、
日照りの時は近くのため池からのバケツでの水やり、
立派なお芋ができていたはずなのに、
収穫の喜び、
焼き芋好きの愛する奥さんの笑顔、
冬の薪ストーブでの焼き芋、
全てが奪われてしまいました。

憎っくき泥棒め!
絶対捕まえてやる。
畑で泥棒の証拠を見つけるための捜査を開始しました。
畑には小さな小山がいっぱいできていました。
これだけのパワー、複数犯だ、
足跡らしきものが、
特殊な靴を履いているのか、
Vの字の足跡、
畑で捜査活動をしていると、
近所のおじさんが軽トラック止まりました。
「お前のところもやられたか・・・。」
「おじさんのところも?」
「俺の所は電気柵やっているから大丈夫」
「隣の畑は全部食われちまった」
食われた?
「生で?」
「当たり前だろ・・・。」
「猪が火を使うわけないだろ」
「猪!」
犯人は猪でした。

日本に生息する猪は、
本州・四国・九州の日本猪と、
奄美大島や沖縄の琉球猪です。
近年豚の交配によって生まれた猪豚も増えてきました。

猪と人間の戦いは、
はるか昔、人が作物を作りだすとともに始まりました。
日本人も猪から畑を守るため
猪垣を作るなど対抗してきました。
その猪たちが最近生息数を増やし、
生息地も山間部だけにとどまらず都市部にも出てきて、
人間たちを驚かしています。
我が畑のある場所も、
以前は、猪がいませんでした。
雪が降る地方には生息できないのですが、
最近の温暖化により生息地を北に広げ、
僕のサツマイモ畑の周辺でも暮らし始めたのでした。

猪突猛進
とにかく運動能力がすごい
猪は直進しかできないかというと、急な方向転換もできます。
しかし、100kg近い体で、時速45kmで野山をかけめくるため、
猪突猛進のイメージができました。
ジャンプ力もすごく助走なしで1.2mぐらいはらくらく飛び越えます。
助走をつけたらもっともっと飛び越えます。
噛む力も強く、噛まれると指ぐらいなら簡単にかみ切られてしまいます。
そして、とにかく鼻がすごい、
鼻が強く鼻先だけで70kgの物を軽々持ち上げます。
この鼻を使い硬い地面でも穴を掘ります。
それなのに先は柔らかく、鼻を左右上下に自由に動かすことができます。
視力は弱く視力0.1もありません。
餌や敵の発見も嗅覚に頼っています。

そんな大きく強い猪も、
実は怖がりの小心者、
非常に神経質で、見慣れないものなどは出来るだけ避けます。
本当は昼間に行動するのですが、人に会わないように
夜に行動したりします。
そして、人と出会ってしまったときは
基本逃げようとするのですが、
近い距離で突然出会ってしまったときは、
背中の毛を逆立てて、クチャクチャと謎の音を発し、
後ろ脚で土を蹴り上げ“猪突猛進”の準備、
一気に体当たりをしてきます。
100kgの時速45km、まともにぶつかると飛ばされて大けがとなります。

翌年、猪と僕の戦いの始まりです。
サツマイモの苗を畑に植え付けた後
畑を見ながら、僕は考えました。
石を積み上げ猪垣でも作ろうか、
電気柵で回りを囲おうか、
それともワナを仕掛けようか、

そんな時、近くの林から何かまん丸のフォルムの動く生き物が顔をだしました。
それも8匹も、
30~40cmほどで垂れた目
上を向いた小さな鼻、
大きな耳とふかふかの毛、
背中の縞模様、
短い脚で“ぴょこぴょこ”と
みんなでぶつかりながら走っています。
可愛い
うり坊です。
その後ろから70kgはありそうな大きなお母さんが出てきました。
猪の家族です。
僕のサツマイモがこの“うり坊”たちになったのでした。

長野にいた時の僕と猪の思い出です。




年末年始休診のお知らせ


12月30日(日)~ 1月4日(金)は休診となります。


臨時休診のお知らせ

2月10日(日)
都合により休診いたします。


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2018.12.18_17:32
その話は『 後ほど』

「先生助けて~」
タオルに包まれ
顔面血だらけの猫ちゃんが運ばれてきました。
すぐに診察室に入ってもらいました。
真っ黒でまるまる太った猫ちゃんが
診察台の上でタオルにくるまれ、震えていました。
「お名前は?」
飼い主さんにたずねます。
「“さくら”」
「5年前にね、花が散り始めた桜の木の下で
段ボールに入って捨てられていて・・・。
その時ひたいに
桜の花がくっついていたのが可愛くて・・・。」
「名前の由来は“後ほど”聞きます、どうしました。」
「杏ちゃんとケンカしたの」
「杏ちゃんは雄のネコちゃんで家に来て10年は経つかな・・・。
完熟の杏を近所の人からもらったから、
ジャムを作っている時に家にきたから・・・。」
「名前のことは“後ほど”聞きますから・・・・。」 
「いつケンカしたの?」
「30分ほど前」
「“さくら”が寝てばかりで寂しそうだったので
杏のいる部屋に連れていったの、
そしたらいきなり“杏”がシャーって怒って、
さくらの頭を左右の手で
それぞれ1発それぞれ1発づつ“パンチ”、
杏ったら、頭を下げたサクラの頭を
さらに続けざまに5発、殴ったのよ、
杏は普段からちょっと暴れん坊でね、
爪も切らしてくれないし・・・。
その時、止めようとしたあたしの足もパンチしたの・・・。」
「見て、ちょっと赤く傷になってしまったの・・。」
飼い主さんはおもむろに自分のズボンのすそをあげだし、
僕にパンチされたところを見せようと・・・。
「飼い主さんの足の傷はまた“後ほど”診ますから、
まずはさくらちゃんを診察します。」
さくらちゃんの顔の血液を拭きとってみると、
右目の上がぱっくりと裂けていました。
杏ちゃんの爪が見事に食い込んだ様子。
すぐに傷口を洗浄し、縫合しました。

治療終了後飼い主さんと“後ほど”の話をたっぷりと聞きました。
飼い主さんの話をざっくりまとめると、
さくらちゃんは推定5歳の去勢済みの男の子。
人と食べることは大好きだけど、
杏ちゃんのことは苦手の様子。
とってものんびりや。
杏ちゃんは推定10歳の不妊済みの女の子、
家族のなかで、息子さんにだけ懐いていて、
息子さんが会社から帰ってくると
お膝の上にのってゴロゴロ。
しかし、他の人にはいっさい触れさせないとのこと。
さくらちゃんのことは大嫌いな様子。
5LDKの大きな家に住んでいて、
普段はそれぞれ別の部屋で暮らしている。
そんな、さくらちゃんと杏ちゃんを、
飼い主さんは、いつも寝てばかりで退屈そう、
離れ離れで寂しそうと思い、
時々、今までも杏ちゃんの部屋に
さくらちゃんを連れていっていたそうです。
そのたびにサクラちゃんはパンチをされていた様子。
今まで怪我をしたことはなかったらしく、
こんな傷は初めてといっていました。
「いつもは、しばらくすると仲良くなるの?」
僕がきくと、
「パンチの後は、杏は、タンスの上に行ってしまい、
さくらは反対側の本棚の隙間に隠れてしまうの、
そこから引っ張り出すのが大変」
全く遊ぶどころか近づきもしなかった。

猫はひたすら眠る。
猫は一日のうち16時間以上寝てすごします。
特にお年寄りの猫はトイレとゴハン以外は
ほとんど寝て過ごします。
これはネコの本能。
完全肉食の猫は狩りをして餌を得ていました。
狩りはとっても体力を使うため、
エネルギーを温存するために寝て過ごします。

猫は一人が落ち着く
猫は本来、単独行動する動物です。
ネコ科のなかでライオンだけは群れをつくって生活します。
そんなライオンでも血のつながらない雄同士は一緒にいません。
野良猫たちも、生まれて半年ぐらいすると母親から離れ、
一人での生活を始めます。
猫たちは待ち伏せ型の狩りをするため、
仲間といるより一人の方が気配を消しやく、
狩りがしやすいのです。
そのため、仲間と一緒にいて助け合って暮らすより、
自分のペースで気ままに安心する場所で
自由に暮らしたいのです。
猫は一人でも寂しくありません。

ただし、家ネコは1万年前に野性を捨て
人間と一緒に暮らし始め、
狩りの代わりに
人からゴハンをもらうようになりました。
狩りの能力を、人に甘える能力に変えてきました。
ゴロゴロ喉を鳴らす、
ごろっとお腹を出してニャ~、
頭をスリスリ
つぶらな目でこちらを見ながら顔を傾げる、
ざらざらした舌で顔を舐めてくる、
全てこれは、狩りの代わりに、ゴハンを得るための戦略です。
他の猫に甘えてもご飯をもらえないので、
一人が好きなのです。
でも人間と暮らして長いので、
人間たちは、
猫同士でくっついて寝ていると
可愛く思いゴハンをもらいやすくなる、
他の猫とくっつくとあったかいなどの理由で
他の猫と仲良くする子もいます。
あくまでも戦略です。

さくらちゃんと杏ちゃんは同じ部屋にいることはストレス。
杏ちゃんは本来の狩りをする、
猫の本能を持っているネコちゃん。
1人縄張りでじっと獲物を待ちたいのです。
その縄張りにさくらちゃんが入ってくると、
その縄張りを守ろうとパンチをして追い出します。
さくらちゃんが杏ちゃんの部屋に入るということは、
自分の縄張りで獲物を待っているところに、
じゃまものが来たことになります。

さくらちゃんと杏ちゃん、それぞれの部屋があるのでしたら、
それぞれの安心する場所で、
別々に暮らさせてください。
寂しくありません。
一緒にしてもストレスを感じるだけ、
一緒にするのはやめましょう。
相性が悪い猫同士同じ部屋で飼わなければならない時は、
段ボールなどで隠れる場所を作ったり、
高い場所に逃げる場所をつくるなどすると、
ストレスを減らすことができます。

杏ちゃん、さくらちゃんが初めてやってきた時の話、
息子が家出した時の話
旦那さんの行動があやしい話
などなど、“後ほど”の話はもりだくさんでした。
しかし、これは個人情報保護法のため、
残念ながらここでは書けません。







臨時休診のお知らせ

12月23日(日)午後休診となります。

午前中は診療します。

年末年始休診のお知らせ

12月30日(日)~ 1月4日(金)は休診となります。