動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2016.06.03_16:23

 
ゴリラの悲しい事故


パソコン画面に恐ろしいニュース画像が・・。
ゴリラが人間の子供を優しく守っている様子・・。
が、突然子供の足を掴み走り始めました。
その後は報道があった通り、射殺という残念な結果に。

“米オハイオ州のシンシナティ動物園で5月28日、
ゴリラの囲いに転落した3歳の男児を救出するためゴリラが射殺された“
ニュース映像です。

射殺されたゴリラは、ハランビ・男・17才
この映像の第一印象は、彼は男の子を“守っていた”のではと感じました。
彼らは、小さく弱いものを守る行動をよくとります。
男の大人ゴリラが小さい子を優しく抱っこしたり、遊ぶことはごく普通の行動です。
ゴリラは草食のため、他の動物を食べるために襲うことはしません。
自分や家族を守るために、戦うことはしますが、
戦うといっても、いきなりおそいかかることはしません。
できるだけ体を大きく見せて、胸を力強くたたき、
大きな音を立てたりしながら威嚇をします。
できるだけ直接の戦いをさけます。
いかつい顔に似合わず、とっても平和主義者です。
ハランビも決して、男の子を襲うつもりはなかったように思えます。
それが証拠に、男の子の手を優しく握っていました。
彼の握力を考えれば男の子の手を握りつぶすなど簡単。

ただ、彼は目の前にいるはずのない男の子が、そこにいたことに戸惑い、
また周りの雰囲気がいつもと違ううえ、
人間たちが騒ぐため、とっても不安だったのだと思います。
もしかしたら、周りの邪悪な人間から子供を隠すために
引っ張っていたのかもしれません。

どうすればよかったか
本当は周りにいた人間は全員、静かにいなくなり、
見える範囲には1番信頼している担当者だけにして、
そして、普段通りに接して落ち着かせ
命令して、男の子から離れさせる、
もしくは担当者の所に連れてきてもらう。
とにかく落ち着かせることができれば、
賢いゴリラは飼育担当にしたがったと思います。
しかし、ちょっとでも彼が恐怖を感じたり、パニックなったりすると、
守っていた男の子を振り回したり、投げたりすることも可能性がありました。
男の子の命が危険にさらされます。

その万が一のリスクのために、射殺されました。
麻酔銃を使えばという意見もありますが、
絶対ダメ、麻酔銃はすぐに効かないため、
たまがあたった瞬間、興奮しパニックになります。
麻酔がきく前に子供に危険がおよびます。
子供を確実に助けるには射殺しかなかったと思います。

射殺を判断した園長、担当者も悩んだと思います。
ゴリラの担当者は何頭と呼びません、何人と呼びます。
飼育ではなくお世話させてもらっている感覚です。
飼育担当者とゴリラは家族となります。
家族を射殺しなければならなかったとは・・・。

僕もゴリラではありませんが
チンパンジーとオランウータンの担当をしていたことがあります。
彼ら彼女らと付き合うと、飼育者と動物の関係ではなく家族のような感覚でした。
そんな中、チンパンジーが一度逃げたことがありました、
別の飼育員のミスにより、本来いるはずのない飼育員が作業する場所に
男の大人チンパンジーが逃げ込んだのでした。
この時僕はすでに担当をしていなかったのですが、
そのチンパンジーとは非常に仲がよかったので僕が呼ばれました。
現場についた僕は、周りにいた動物園職員に全員出てもらい。
僕と彼、二人にしてもらいました。
そしていつものように声をかけ背中に優しく触れ落ち着かせました。
その後、彼の唇に触れ、(彼はリラックスすると唇を触らせてくれる)
リラックスを確認後、僕の後についておいでと
本来のチンパンジーの部屋に連れて行きました。

今回の一番の可哀想なのはハランビです、
全く悪くないのに、
人間たちの都合により射殺されてしまったのですから。
でも子供を助けるためにはこの方法しかなかったと思います。

・子供をちゃんと見ていなかった親が悪い、
・助ける方法が悪い、
・動物園の安全対策が悪いなど、
たくさんの意見があります。

僕は、動物の獣舎をいくつか設計しました。
その時、いつも考えた問題ですが、
あまりに安全策をとりすぎると、
動物園の魅力がなくなるということです。
究極の展示方法は全くさえぎるもの(檻や柵)がなく、
動物たちにストレスを感じさせず、
近くで匂いや体温を感じることができるような施設です。
安全策とは頑丈で高さがある檻、
そしてその檻にちかづけないように、
周りには乗り越えることのできない高い柵、
非常に見えにくく、動物たちの魅力を伝えられません。
理想は、動物が逃げない檻や堀はしょうがないのですが、
せめて、柵をつくらなくてよくなればいいなと。
ただし、柵がなくすということは
見てるかたが柵のかわりに約束(ここから先は入らない、檻の中に手を入れない)
を守らなければなりません。
これが一番難しいのですが。
今回の事故も安全策として、柵を高くするのではなく、
来園者が約束を守ってくれるようになればいいなと感じました。

ちなみに僕が設計に関わった獣舎は、長野市茶臼山動物園のレッサーパンダ舎と、
長野市城山動物園の飯綱の森(日本リス舎)です。
理想に近い施設です。
見に行ってください。

<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日


今週発売の週刊新潮に僕のゾウのはな子のコメントのってます。
読んでね。




  ★ お知らせ

  辰巳出版の 日本犬専門マガジン!
  Shi-Ba(シーバ) 
  に連載始めました。
 “毎日事件発生!? マニアな視点で診察中
  北澤先生のおもしろ動物病院”
 
 本屋さんで見つけたら読んでください。


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