動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
プロフィール

つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

フリーエリア
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
動物達の不思議な生態の秘密
リンクフリーです。
バナー
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

--.--.--_--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


2015.07.04_17:05
光の舞

「あっ、光っているよ」
小学生の娘が揺れ動いている光を指さした。
「違うよ、あれは消えないから、月が水辺にうつっているんだ」

6月の下旬の暑い日、早い夕食を済ませ夕涼みがてら、
僕と妻と娘は、家の横の川沿いを歩いていました。
水を張った棚田には、太陽が沈み、代わりにのぼった月が、
それぞれの田んぼに浮かび上がっていました。

「あそこ あそこ!」
再び娘が、
指の先を見ると、
川の上流に、ユラユラとゆっくりと点滅する光が・・・。
今度は間違いありません。
この日の夕涼みの目的は“蛍”
一つの光がやがて、2つに、そして3つ4つと増えてきました。

蛹から孵化した”蛍”はパートナーを求めお尻を光らせます。
あの光は僕たちを楽しませるために光っているのではなく、
パートナーにアピールするために光っているのです。
愛のささやき、求愛の光です。
成虫になった蛍は、
餌も食べず、愛のためだけに生きます。

蛍の一生は、
“風の谷のナウシカ”の王蟲のような姿の幼虫で、
ほとんどを水の中で過ごします。
この時の餌はカワニナという巻貝を食べてます。
その後蛹となり2週間ほどすごし、
そして、僕たちの知る成虫“蛍”となります。
成虫になって初めて空を舞うことができるようになります。
成虫になると水は飲みますが、一切食事をしません。
お尻を光らせパートナーを探すことに全精力を注ぎます。

太陽が沈むと、まず雄が舞い上がりお尻を光らせます。
今度は雌が葉の上で光ります。
それを見つけた雄は雌の周りをふわふわと舞います。
相手を選ぶ権利は雌にあり、
交尾できる雄は全体の1割程度と言われています。
気に入った相手を見つけた雌は交尾をします。
最低2時間、長い時は一晩中くっついて離れません。
交尾が終わると光りはだんだん弱くなり、雄はやがて一生を終えます。

雌は卵を産む場所を探し、
苔の中、木の枝、葉の裏、草にたくさんの卵を産みます。
無事、産卵を終えた雌は、草の陰などでひっそりと死んでいきます。
空を舞い綺麗に輝く“蛍”の寿命は3日ほど、長くても2週間。
パートナーと出会い、愛を育むほんの短い一瞬の時ため
蛍は生きます。

最初の光を見つけ数分もすると、
いつの間にか川に沿ってたくさんの“蛍”の光が揺れていました。
そして、僕たちの周りにもたくさんの蛍が舞っていました。
敵を襲ったり、逃げたりするために飛ぶわけではない“蛍”
彼らはパートナーのために舞います。
ゆっくりと ゆ~ら ゆ~ら と飛ぶため、
手を伸ばすと簡単に捕まえることができます。
いけない、いけない
彼の貴重な時間を僕の手の中で過ごさせては可哀想。

田にはたくさんの月がうつり、
まわりからはカエルや虫の鳴き声、
そんな中をゆっくりと舞う求愛の光、
その空間にいる人間は僕たち家族だけ、
時間は止まっていた。

僕は娘と妻の手をぎゅっと握り、
「僕たちは、何のために仕事をして、
何のために生きているのだろうね?」

妻は優しく手を握り返し

「あなたは、 あたし と 子供 たちのために生きてるの、
あんまりくだらないこと考えないでね」






<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

臨時休診のお知らせ
 7月19日(日)は 臨時休診となります。
 


スポンサーサイト


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。