動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
プロフィール

つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

フリーエリア
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
動物達の不思議な生態の秘密
リンクフリーです。
バナー
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

2015.06.13_23:03

舐められる僕

“ペロ ペロ ペロ”
“レロ レロ レロ”
診察台の上、聴診器で心音を聴いている僕の口を舐めまくる
生後4か月のビーグルの“大輔”
尻尾はどこかに飛んでいきそうなほど振っています。
今日は健康チェック。
そんな、診療中の僕を“とってもすまなそうに”飼い主の上品な若い奥さんが見ていました。
「いいんですよ、僕は舐められても、お化粧落ちないから大丈夫」

顔を舐められながら、たずねました。
「食欲は?」
「すごくよく食べます」
「おしっこは?」
「いっぱい出ています」
「ウンチは、どうですか?」
「おいしそうです・・・・。」
「ん?」
「どんな形、硬いとか?柔らかいとか?とっても臭いとか?」
「とっても食べやすい形で、匂いはわかりません」
頓珍漢な会話。

「先生、実はこの子、自分のウンチ食べちゃうんです」
「病院の前でも大きなウンチしたんだけど、
先生に見せようととろうとしたんだけど、
ものすごい早さで食べちゃったの」

どうも“大輔”は、食糞癖があるようで、
それも心配で病院に来たようでした。
早く行ってよ!

何でワンちゃんはウンチを食べるの?
大輔ちゃんのような子犬が、ウンチを食べちゃうのは比較的自然な行動です。
子犬はとっても好奇心が旺盛、周りにあるものは何でもとりあえず口に入れます。
そんな子犬にとってウンチは形といい匂いといいとっても魅力的なようです。
確かに健康なウンチの匂いはそんなに臭くありません。
下痢のウンチはとっても臭く、そんなウンチは、子犬は食べません。
また、母犬は子犬のウンチをよく食べます。
これはとっても自然な行動で、
母犬は生まれたての子犬の肛門を舐めて刺激してウンチを出させます。
またその出たウンチを母犬は食べてしまいます。
巣を汚さないためと、
本能として、子犬は一番敵に襲われやすいため、
その居場所がわからぬよう母犬が食べて匂いを消すのです。
そんな母親を見ていた子犬は、同じように自分のウンチを食べてしまうのです。
子犬の時の糞食は大人になると自然にやめることが多いです。

しかし、子犬でもなく母犬でもないのに、糞を食べてしまうワンちゃんがいます。
その理由はいろいろあります。
●食事量が足らずお腹が空いて、足りない分をウンチで補う。
 お腹いっぱいに食べさせればいいのだけど、
 それでは、太りすぎで病気になってしまうので、
少ない食事でお腹をふくらませる必要があります、これが難しい。
どうすればいいかというと、
時間をかけて食べさせます。
時間をかけて食べると、少ない量でも比較的満足感が得られます。
時間をかけさすために、食べにくくすればいいのです。
小さく仕切られた大きな餌箱で食べさせる。
ドックフードを粉のようにして食べにくくする。
コングなどのおもちゃの中にぎゅうぎゅうにドックフードを詰める。
などなど、工夫が大事です。
●飼い主さんに注目してもらいたい
ウンチを食べると、飼い主さんは大騒ぎをします。
“僕に注目している”それが楽しくてウンチを食べます。
ウンチを食べていても、静かにそっと見守ってください。
これはとっても難しいですが。
●ウンチをすることが悪いと思い、ウンチをしたことを隠したいために食べてしまう。
 小さい頃、トイレ以外でウンチをした時に強く叱られたために
このような行動をとることがあります。
このワンちゃんは怒られた理由が、ウンチをした場所がではなく、
ウンチをしたことが悪いと思ってしまいました。
飼い主さんに怒られないように、
ウンチを食べてなかったことにしよう考えました。
ウンチを失敗しても怒るのをやめ、
トイレでウンチをしたらほめてあげましょう。

このようにまだまだいろいろな理由がありますが、
本当のところ、何で食べるのかわかりません。
一番の予防は、ウンチをしたらすぐに片づけるしかありません。

●ウンチを食べてはいけないの?
自分の新鮮な健康なウンチを食べても、病気になりません。
健康面では全く問題ないのです。
ただし、他のワンちゃんのウンチはダメですよ。
寄生虫などの病気がうつることがありますから。
自分のウンチでも古いウンチはダメ、
体からでて時間がたつと、いろいろな菌がついたり、腐ることがありますから。
下痢のウンチもだめ、せっかく体が下痢として体の中の悪い菌を出しているのに
再び体の中に入れることとなってしまいます。
ウンチを食べていけないのは、私たち人間の都合なのです。

●ウンチを食べる生き物たち
ウサギは栄養素のたくさん詰まった食べるためのウンチをします。
栄養を取るためにそのウンチは食べます。
チンパンジーも結構食べます。
あんなにも賢いチンパンジーすらウンチを汚いという認識はありません。
足りない栄養分を補うため、などなど言われていますが、
食べている姿や回数などを見ていると、
どうも栄養補給のためではないような感じがします。
食べるのはまだいいのですが、壁に絵を描くようにウンチを塗りたくります。
それも、高い位置の壁に塗ったりします。
壁についた乾いたウンチはなかなか落ちません。
まず水で濡らしふやかしてから、デッキブラシで落とします。
高い位置のためデッキブラシからの液体やカスが
顔や頭に飛んできて苦労したことが思い出されます。
チンパンジーはウンチを汚いと思わないのに、
僕たち人間はウンチが嫌いだということを間違いなく知っています。
届きにくい壁に塗るのはいやがらせ、
そして、時にはウンチを手にもって嫌いな人に投げつけることもありました。
ハムスター・モルモットは自分のウンチを食べることより、
腸内の微生物が作り出したビタミンBやKを再摂取しています。
ゾウは、赤ちゃんの時に母親や群れの大人のウンチを食べます。
ウンチの中には餌となる植物を消化するために必要な微生物がいます。
生まれてすぐのゾウのお腹の中にはこの微生物がいないため、
大人のウンチを食べることにより初めて植物を食べることができます。
竹を食べるパンダも同様の理由からウンチを食べます。
コアラはユーカリの葉を食べますが、この葉には毒が含まれており、
コアラとフクロムササビ以外は食べることができません。
盲腸がとっても長くその中にたくさんの微生物がいて
ユーカリの葉を発酵させ毒素を分解することができるのです。
コアラの赤ちゃんはこの微生物をもっていないため、
お母さんの糞をせっせと食べてこの微生物を自分の盲腸にいるようにします。
フンコロガシは、動物たちのウンチに含まれている未消化の食物を餌として食べます。
食べるばかりではなく、ウンチでお家をつくったりもします。
フンコロガシの雄はいいウンチを見つけると、
逆立ちをして、後ろ足でコロコロと転がしてウンチを運びます。
途中でお気に入りの雌を見つけると、
彼女をウンチの上に乗せ一緒にお気に入りの場所まで連れて行きます。
雄は地面を掘り、その上に運んできたウンチを乗せお家をつくります。
雄は雌を誘いウンチの下の小さな部屋に入ります。
そこで二人は愛を交わし、ウンチのお部屋に卵を産みます。
卵からかえったフンコロガシはウンチのお家の中で育ちます。
フンコロガシにとってウンチは生きていくためにもっとも大切なものなのです。



こんなにも大事なウンチ、
もしかしたら、ウンチが嫌いなのは人間だけ?
もしあの匂いさえなかったら、こんなにも嫌われなかったのかな。

相変わらず僕の顔を舐めまくる“大輔”
せめてお水を飲んでからにして・・・・。




<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

臨時休診のお知らせ
 7月19日(日)は 臨時休診となります。
 

スポンサーサイト

2015.06.04_15:28

魔法のクリップ

「ポッキー~」
コンビニに弁当を買いに病院の階段を降りた僕は、
道路の反対側を、お母さんと散歩していたヨーキーの“ポッキー”を見つけました。
僕はいつものように大きな声で呼びました。
いつものポッキーなら、僕の声を聞くなり尻尾をフリフリ、
抱っこ抱っこのはずなのに。
この時のポッキーは尻尾をお尻の間に挟み込み、
腰を下げ僕から逃げようと必死、
小さな体の中のどこにあんな力があるのか、
びっくりするほどの力で飼い主さんを引っ張りました。
4月、5月、6月は狂犬病、フィラリア予防の時期、
間違いなく病院からは恐ろしいオーラが出ています。
ワンちゃんたちは病院に近づこうとしません。
病院だけではなく、僕からも危ないオーラがでていて、
僕の姿を見るなり逃げる子が多いこと・・・・。

フィラリア検査のための採血は、飼い主さんから離れた奥の診察室で行います。
採血台の上に乗せるとほとんどの子は、緊張のあまり全く動かず、
素早く気づかないうちに血を採ることができます。
キャバリアの“パット”は、
こんな状況なのに、僕の顔を舐めまくり尻尾をフリフリ、
注射針が刺さり血を採っている間も尻尾をフリフリ、
こんな子もたまにいます。

採血が難しいのはネコちゃん、
ワンちゃんは前肢に触れられることになれているので、
比較的すんなり注射できるのですが、
ネコちゃんは、前足を持っただけで振りほどこうとすることが多く、
その上、僕の手を“ガブ”ということも、
また、採血中に動いたりすると、
血管壁が薄いため、ちょっと傷つけただけであっという間に出血、
血管の周りが腫れ上がってしまいます。

そんなネコちゃんをおとなしくさせる秘密の方法があります。
ネコちゃんの首の後ろにクリップをつけるのです。
どうもこれは、母猫が子猫を移動するときに
首の後ろをくわえて移動することに関係があるそうです。
移動の時は危険がいっぱい、できるだけ敵に気づかれず素早く移動する必要があります。
くわえられた子猫は、背中を丸め、呼吸もゆっくり、目を細め、
時にはゴロゴロのどを鳴らしたりします。
この時の子猫は、とってもリラックスして気持ちのいい状態の様です。
あまりの気持ちよさのため“じっと”することで
母猫が運びやすくなり、素早く移動できます。
そこで、僕は猫の治療の時は首をくわえて治療をしています。
しかし、これでは猫を虐待しているように見えてしまうのと、
とてつもなく顎が疲れてしまうので、
くわえる代わりにクリップで皮膚をつまむことにしています。
するとネコちゃんは魔法をかけられたように、
目を細め、身体を丸めその場でゴロっと横になります。
母親がくわえるのと、同様な効果が得られます。
恐怖で動かないのではなく、とっても気持ちいいようです。
それも子猫だけではなく、老猫でも効果があります。
ただし、興奮していたり、怖がっている時は効果がありません。

ネコちゃん以外にも、
レッサーパンダも同様な効果がありました。
多分ライオンも自分の子供をくわえて運ぶので同様な効果があると思いますが、
残念ながら試みたことはありません。
人間はどうかと思い、
家の奥さんが怒っている時、僕は奥さんの首をつまんでみました。
すると何と!
ピタッと怒鳴り声がとまりました。
すごい効き目です。

その後、彼女の手のひら僕が頬に向ってきましたが。
怒りで興奮していたからきかなかったのかな・・・?

2足歩行の僕たち人間は、自分の子を移動するときは、抱っこやおんぶです。
首の後ろをくわえることはありません。
首の後ろをくわえる、つまむことには全く意味がないのです。
人間の赤ちゃんは抱っこして歩き回ると同様な効果があります。

今後奥さんが怒っている時は、
“抱っこして、歩き回ります”



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

臨時休診のお知らせ
 7月19日(日)は 臨時休診となります。