動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2014.06.26_15:31

おじさんの青白い足

梅雨の晴れ間 久しぶりの休日
僕は短パンに素足、カットソーを着てワンちゃんの散歩をしていました。
僕は短パンが大好き、夏はほとんど短パンで過ごしています。
散歩のあと、自転車で靴下とパンツを買いに“ユ○クロ”にでかけました。
その“ユ○クロ”で試着用の鏡の前を通り過ぎると、
短パンから青白い足に汚いすね毛の生えている親父が写っていました。
動物病院を開業して3年、日中はほとんど病院で過ごすため、
陽にあたることがほとんどありません。
動物園時代はほとんど外で仕事、休日は“まき割り”“畑”“採集”
この時期はすでに日焼けで真っ黒でした。
休日、短パンから青白い足を出したおじさん達をみて、
カッコ悪いと思っていたのに、
僕の短パンから出た足が青白いなんて・・・。

シロちゃんと日光
真っ白い上品な猫 シロちゃんがやってきました。
シロちゃんの耳は真っ赤で、皮膚は厚くなりボコボコ、
痒きすぎて血が、先端はかさぶたができていました。
シロちゃんは毎年この時期になるとやってきます。
シロちゃんは『日光過敏症』
毛の薄い耳に強い日光を浴びると、耳が赤くなり痒がります。
毛の色が薄い猫は、紫外線から皮膚を守るメラニンがあまり作られないため、
紫外線を浴びると毛の少ない耳や鼻などで症状がでます。
最悪の場合は癌化することもあります。
この病気を防ぐのは陽に当たらないこと、
だけど、シロちゃんはベランダで寝るのが大好き。
炎症を抑えるお薬をだし、
日焼け止めクリームを塗ってもらうことにしました。

猫の耳が落ちる
東北地方では、『春先にアワビの内臓を食べさせると猫の耳が落ちる』
という言い伝えがあります。
アワビの肝は濃い緑色、
その緑はアワビが食べた海藻の中に含まれる葉緑素です。
この肝を猫が食べると、葉緑素が吸収され全身に運ばれ皮膚に蓄積されます。
特に春先のアワビにこの成分が多いそうです。
葉緑素自体には害がないのですが、
葉緑素の代謝物質ピロフェオホルバイドに日光があたると、
周りの細胞を破壊してしまうのです。
頭のてっぺんについている耳は、日光が一番あたるところ。
そのうえ毛が少なく、色素も薄いため、
日光が直接あたりやすく、
葉緑素が蓄積すると細胞の破壊がおこります。
すると細胞の破壊がおこり、
悪化すると“耳が落ちて”しまうのです。

人と日光
耳は落ちませんが、人間もアワビを食べなくても、
葉緑素の代謝産物フェオフォルバイトにより、
日光過敏症が多発しました。
原因がわかったのでフェオフォルバイトの規制をおこなったため、
それ以降は少なくなりました。
また、ある種類の痛み止めの湿布を貼ったあとに、
日光を浴びるとやけどのような症状や湿疹が出ることがあります。
湿布を貼ってから半年たってもおこることで知られています。
夏に短パンを履いて足を出すと、
冬に貼った湿布のあとに見事に四角い皮膚炎がおこったりします。

爬虫類は日光が必要
昼行性で草食のリクガメ・イグアナなどの爬虫類は日光が不可欠です。
生き物の骨や甲羅はカルシウムでできています。
またカルシウムを吸収するためにはビタミンDが必要です。
骨や甲羅を維持するために、いくらたくさんのカルシウムをあたえても、
ビタミンDがないと利用されないのです。
そして、ビタミンDは日光の紫外線にあたることにより体内で作られます。
日光浴もせず、紫外線照射もしないで飼育していると、
ビタミンD不足、カルシウム不足になり、
甲羅の継ぎ目が薄く、ペラペラの亀になってしまいます。
骨も弱くすぐ骨折したり、曲がった足になったりします。
夜行性の爬虫類は紫外線なしでもビタミンDの合成ができます。
日光を必要としないこれらの種は、
地球に衝突した隕石の粉塵による太陽光の遮断によりおきた、
白亜紀の恐竜の絶滅の時も生き延びることができたと言われています。
ちなみに人間は週2回・10~30分の日光浴で、
必要なビタミンDがつくられるそうです。


買い物から帰った僕はあわてて、
一番短い短パンを履き、
太陽の下でお昼寝をしました。
1時間ほどするとあまりの暑さと、
たっぷりの悪い汗で目を覚ましました。
危ない・・。これでは熱中症になってしまう。
家に帰って鏡の前に立ちました。
あれまだ“青白い”まま?
あっ!
足の後ろが“真っ赤”
ずーとうつ伏せで寝てたため、
“青白い”表、“真っ赤”な裏、
僕の足は見事な2色となりました。


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

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2014.06.18_16:44


誘拐?

「先生この子助けて?」
ウサギの“ぴょん吉”の飼い主、小学三年生の陽菜ちゃん、
彼女の胸の前には、両手の掌で優しく包まれたハンカチが、
そのハンカチがかすかに動いていました。
ハンカチの中から「ピィピィ」と大きな鳴き声がしました。
僕がそっとハンカチを開くと、
まだ頭に産毛が残る小さな雀が鳴いていました。
「この子どうしたの?」
「○×公園で落ちてたの」
「飛べなくてバタバタしてたの」
「まわりにお母さんらしき鳥もいないし」
「巣も見当たらなかったの」
「先生助けてあげて!」

日本には四季があります。
春から秋にかけては、
木の実、芽、虫、食べ物が豊富な季節。
日本の野生動物はこの時期に子育てをして、
餌の乏しくなる冬になる前にできるだけ大きく成長させます。
虫喰いの鳥たちは、冬になると餌がなくなってしまうため、
何千キロという旅をして餌のあるところにいかなくてはなりません。
そのため冬が来る前に渡りができる体力をつけなければなりません。
日本の野生動物は冬の前にできるだけ大きくなれるよう
春に出産や産卵をします。

陽菜ちゃんの連れてきた雀は、今春に生まれた雛。
怪我はなく、元気もありました。
羽もすっかり生えそろっていました。
夕方で外は雨が降り出していたため、
病院で預かることにしました。
餌のミルワームをあげると大きな口を開けすごい勢いで食べました。
翌日も大雨のため僕がお母さん代わりにせっせとミルワームをあげました。
昼ぐらいになると僕の顔を見るだけで、
餌を求めて「ピィピィ」と鳴くようになりました。
次の日は雨も上がり、空には太陽が、
早朝、“ピィちゃん”を連れて公園にいきました。
※“ピィちゃん”名前を付けてしまいました。
公園で僕は手のひらに“ピィちゃん”をのせ待つこと10分。
僕は気配を消しじっとしていると、
となりの木から「ピッピッピッピ」雀の鳴き声が、
その声を聞くと“ピィちゃん”も「ピィピィピィ」と、
そして、ピィちゃんは僕の手の上で羽を広げ
鳴き声のする方向に羽ばたいていきました。
無事お母さんのもとに帰れた様子。
ピィちゃんは巣立ち雛だったのです。
ピィちゃんは飛ぶ練習をしていたのです。
地面から飛び立つのはテクニックが必要、
ピィちゃんは地面でバタバタしていたのではなく、
飛びだとうとしていたのですが、
まだ上手に飛べなかったのでバタバタとなってしまったのです。
そこを陽菜ちゃんに拾われたのでした。
お母さんがいなかったのは、
お母さんはその時も木の上か、空にから“ピィちゃん”をみていました。
しかし、その時間帯公園には人間がたくさんいた上に、
ピィちゃんを見ようと
陽菜ちゃんの周りに友達や、散歩に来ていた大人が集まっていたため、
ピィちゃんのお母さんは怖くて近づけなかったのです。
巣はなかった、
雀の巣は子育て専用、
天敵に見つからないように作ってあるため、
僕たち人間には簡単には見つけることはできません。

僕が公園に連れて行った時は、
早朝で僕以外誰もいませんでした。
僕は気配を消して立っていたのでお母さん雀の警戒心も薄れていました。
お母さんはピィちゃんを捜していたため、
ピィちゃんの姿を見つけ呼んだのでした。
地面から飛び立つのとは違い、
手の上のように高い位置から飛ぶのは楽のようで、
バタバタなしで飛べたのでした。
今の季節、鳥が落ちていたと保護されるケースのうち、
健康な巣立ちの雛の場合が結構あります。
そっとその場においておいたほうがいい時も多いのです。
それでも、猫が心配、車が心配と思われるかもしれませんが、
僕たち人間は雛の体を大きく育てることはできますが、
餌のこと、天敵のことなど、生きていく術を教えることは出来ません。
本当の意味での成鳥にすることができるのは、親だけなのです。

フクロウは木の洞に巣をつくります。
雛は羽も生えそろわず全く飛べないのに巣から飛び出します。
地面の雛に親はせっせと餌をはこんだり、
雛は鋭い爪とくちばしを使って、木を登り巣に戻ります。
フクロウの雛は全く飛べないのに地面にいても普通なのです。

日本に生息するニホンノウサギは、
生まれたての仔ウサギを草むらに隠し育てます。
母親は1日に数回、授乳のための数分だけしか仔に近づきません。
目立つ親が近づかないことで敵から逃れる戦力を取るのです。
この草むらに隠れている仔ウサギは隠れているつもりなので決して動きません。
草むらに隠れていた、隠していたウサギを我々人間がみつけると、
「一人ぼっちでかわいそうに」と、
助けてあげようと連れてきてしまうことがあります。
これは母ウサギからみたら“誘拐”になってしまうのです。
ニホンノウサギの乳は、少ない回数の哺乳ですますためにとっても濃いのです。
人間の手によって育てるのは濃度が難しく下痢をすることが多くとっても大変。
うまく大きくなったとしても生きていく方法は教えられないため、
放獣(野生にもどすこと)しても自分の力で生きていくことはほとんどできません。
僕が以前育てたノウサギの“ピョン”は、
草原に離したとたん、鷹に襲われてしまいました。

ペットとして飼っているウサギはニホンノウサギではなく、
ヨーロッパアナウサギです。
ヨーロッパアナウサギの出産子育ては穴の中でします。
またニホンノウサギの赤ちゃんは目も開き毛が生えて生まれてきますが、
ヨーロッパアナウサギの赤ちゃんは目は閉じて、毛がない状態で生まれます。
ニホンシカも仔を草むらで隠します。

これからは巣立ちの季節もし地面でバタバタしているひな鳥を見つけたら、
できるだけ早くそこから離れてください。
それでは道の真ん中にいたらどうしたらいいの?
答えは簡単、そっと抱き上げて近くの安全な場所に移してください。
だけど人間の匂いがつくとお世話しないのでは、
全然平気です。
親子の絆は少しぐらい匂いがついたって「大丈夫」
必ず親鳥は雛の世話をします。
手にとって連れて帰ると“誘拐”になってしまいますよ。
もし巣立ち雛を連れてきてしまった時は
できるだけ早く見つけた場所に返してください。
きっとお母さん雀がさがしていますよ。


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日


2014.06.08_17:29

腋下抱接

今年は5月というのに30度を超える暑い日々が続きました。
そして6月に入ると気温は下がりいきなりの大雨、梅雨に突入。
最近の気候は極端、何かおかしい?
地球はどこへ向かっていくのだろう・・・・。

宮尾さん家の庭には小さな池があります。
宮尾さんは僕より20歳年上、僕の人生の師匠でありお友達。
この池には、この梅雨の雨を待ちに待っている生き物がいます。
入梅して“しとしと”と雨が降り出すと、
池から、米粒ぐらいの黒い小さな生き物が何百いや、何千匹が
次々と上陸してどこかに消えていきます。
この小さな生き物は大人になると体長17cmにもなる
日本固有種では最大のカエル、「ヒキガエル」です。
ちなみに日本にいるもっと大きなウシガエルは、
人間の手によって外国からつれてこられた外来種です。
この小さなヒキガエルたちはこの池で産卵されたものです。
春になると、どこからかヒキガエルがこの池に集まってきます。
カエル合戦で有名なようにたくさんの雄が、池にやってきた雌を奪い合います。
雄は、雌を見つけるとすかさず背中に乗ります。
ヒキガエルは体外受精。
雌は後ろから雄に抱きしめられると、
“キュン”となり思わず卵を産んでしまうのです。
これを「腋下抱接」と呼びます。
卵は直径2ミリほどでゼリー状の透明な管の中にぎっしり詰まっており、
この管の長さは3メートル近くにもなります。
卵の数は数千から2万近くにも。
雄はすかさずその卵に精子かけ、受精させるのです。

僕たち人間の男子諸君、いい雰囲気になったらそっと後ろから
女の子を抱きしめてください。
女の子は“キュン”となりますよ。
もしかしたらあまりの“キュン”で卵を産んでしまうかも⁉
抱きしめたのに振り払われたら、やり方がダメなのです。
やみくもに抱きしめてもだめです。
腋下抱接にもテクニックがあります。
女の子の脇の下を固く抱きしめる刺激により、産卵がはじまるのです。
脇の下がポイントです。

宮尾さんの池では産卵後10日ほどで
3ミリほどのオタマジャクシがでてきました。
(場所や気温によって孵化の時期が違います。)
大人のヒキガエルと比較してあまりにも小さなオタマジャクシです。
一般にカエルの大きさはオタマジャクシの大きさと反比例するといわれています。
(ウシガエルは例外で、オタマジャクシの頃から巨大です)
オタマジャクシはプランクトン、藻、魚の死骸など
食べられそうなものは何でも食べます。
死んだフナに何百というオタマジャクシが群がっている姿は
かなりギョッとします。
始めに後肢、そして前肢がでて6月の初旬にはすっかりカエルの姿になって
雨の降るのを池の中でじっとまちます。
晴れた日に池からでると、
ものの数分で脱水状態を起こして死んでしまうからです。
そして、待望の雨の日に池から一斉に旅立ちを始めます。
この時の池の周りは、
数百、数千匹の体長1センチにも満たないカエルたちに覆われ歩くのも大変。
しかし、この中で元気に生き延びこの池に帰ってこられるのはほんの数匹です。

ヒキガエルはまたの名を“ガマガエル”、
なぞの万能薬「がまの油」を出します。
これは皮膚から出す毒液のこと。
この毒の鎧を着ていることにより、
肢が短く、ピョンピョン飛ぶことが苦手でも生きていけるのです。
実際「がまの油」は、1匹あたりで2ミリグラムとるのがやっと。
効能は「やけど・あかぎれ・痔・歯痛・・」
成分の中にはコカインの90倍の麻酔作用、強心作用、血管収縮作用
さらに最近抗がん作用もあるという報告もあります。

大雨の日に、
僕は奥さんがキッチンで料理しているところを、
後ろから近寄りそっと抱きしめました。
奥さんは包丁を持った肘で、
僕の脇腹を思いっきり“ドン”と、
そして、トラのような目で僕を睨みつけました。
あまりの痛さで僕が“ギャッ”。
僕の“腋下抱接”は
雌が“キュン”ではなく雄が“ギャッ”でした。



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
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