動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2014.05.28_13:12

ツバメ

田んぼに水が張られると、
お婆ちゃんは、いつも玄関を開けっ放しにしました。
お爺ちゃんはいつも「不用心だ」と文句を言っていましたが、
お婆ちゃんは毎日、陽が昇るとともに玄関を開け、
陽が沈み暗くなるまで開けっ放しでした。

お婆ちゃんの家には5月になると
毎年ツバメがやってきました。
そして、玄関、それも外ではなく、
家の中に巣をつくりました。
お婆ちゃんはそんなツバメのために、
朝日とともに起き、玄関を開け、
夕方ツバメが帰ってくると、玄関を閉めました。

ツバメが来ると、
小学生だった僕にお婆ちゃんは、
「これで今年も我が家は安泰だ」と言いました。
「ツバメは幸せな家にしか巣をつくらないんだよ」
と教えてくれました。
お婆ちゃんはツバメがやってくるのを毎年楽しみにしていました。
お爺ちゃんはというと、
ツバメが来るたびに臭いだのうるさいだの
文句ばかり言っていました。

ツバメは頭から背中にかけて光沢のある黒に近い藍色、
お腹は白、首は濃赤、
長く細い尾羽はV字に切れ込んでいます。
流線型の姿は、100㎞以上のスピードが出せるうえ、
ものすごいスピードから、いきなり切り替えすこともできます。
高い位置を飛んでいたかたおもうと、
いきなり急降下、田んぼの水面すれすれを飛んだりもします。
飛ぶ姿は美しく、とってもカッコよい鳥です。

ツバメは春になると東南アジアから日本にやってきます。
そして日本で繁殖をします。
日本にやってきたツバメは、
まず子育てのための巣をつくる場所を探します。
カラスなど他の鳥からの攻撃や、
蛇や猫などの天敵から、
卵や雛を守るために、
人がいつもいるところや、人の出入りが多いところに巣をつくります。
ツバメは、人間を利用するのです。
確かにお婆ちゃんの家の玄関は、
一番危険な夜は、戸が閉まり安全で、
昼間餌をとりに行っている間は、
お婆ちゃんが卵や雛を見守ってくれるので、
最高に安全な場所です。

ツバメは帰巣本能によって毎年同じ巣に帰ってくるそうです。
お婆ちゃんがいうには、毎年家にくるのは、
“ピー子”と“ピー吉”がだと言っていました。
しかし、大きくなった巣立ちのツバメを“ピー子”とよんでいたので
ちょっとこの話は怪しかったですが。

僕が中学生になった時、
お婆ちゃんが体調を崩ししばらく入院することになりました。
中学校の帰り、
お婆ちゃんに頼まれたタオルをとりにお婆ちゃんの家に行ってみると、
玄関が開いていました。
玄関の中に入ると新聞が敷いてあり、
上で「ピ~ ピ~」と雛が鳴いていました。
どうやらお爺ちゃんが、玄関を開けているらしいのです。
家事などはいっさいしない、
頑固で無口、
ツバメの文句ばかりいっていた、
そんなお爺ちゃんがツバメのお世話をしているなんて・・・・。
雛が落ちないようにと
ツバメのために棚まで作ってありました。
お婆ちゃんが入院するときは“ピー子とピー吉”2羽だったに、
退院して家に帰ると、全部で5羽になっていました。

僕が大学生の時、お婆ちゃんとお爺ちゃんは
伯父さんと一緒に住むことになり、
お婆ちゃんの家は空き家となってしまいました。
夏休み、空き家のお婆ちゃんの家に行ってみると、
玄関の外の軒下に作りかけのツバメの巣がありました。
残念ながらツバメはいませんでした。

ツバメがどうやら最近減っているようです。
昔ながらの縁側や軒のある家が減っているため?
田んぼが減って餌の虫がいないため?
冬を越すための東南アジアの環境の悪化のため?
僕の子供の頃はあちこちの家でツバメの巣がありました。
しかし、今はあまり見なくなりました。
幸せな家にしか“巣”をつくらないツバメが、
日本から減っているということは、
日本から幸せが減っているの?
もし地球上からツバメが減っているとしたら・・・・。

信州の家の前の棚田に水が張られました。
翌日にはさっそくつがいのカルガモがやってきました。
カエルも鳴きだし、
夜も賑やかになりました。
そして、今年最初のツバメが飛んでいました。
あのツバメ僕の家に巣をつくってくれないかな。





<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

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2014.05.15_15:15

佐村河内?

“ポンポン ポンポン”
誰かが僕の肩を叩きます。
誰もいないはずの夜中の入院室、
『たまちゃん』の点滴を交換していた時のことでした。
びっくりして振り向いても当然誰もいません。
再びたまちゃんの点滴交換をしていると、
“トントントントン”
今度は僕の頭を・・・。
びっくりして振り向くと、
隣のケージの隙間から、
『ルイちゃん』の手が伸び 、
ネコパンチをしていたのでした。
あれ、何でルイちゃんは僕の肩の位置がわかるの
ルイちゃんは子供の頃、
左右両方の眼球を摘出していました。
全く目が見えないはずなのに?
ルイちゃんは適当に手を伸ばしていたわけではありません。
間違いなく僕の肩をめがけて手をのばしていました。
「もしかして、見えている。『佐村河内?』」
いやいや眼球がないのだから、見えるわけがない。

点滴交換を終えてから、ルイちゃんをケージから出してみました。
まずは“猫じゃらし”をプルプルしてみると、
先端の所をピンポイントで猫パンチを繰り出します。
ルイちゃんのお尻のほうでプルプルしてみると、
やっぱり素早く猫パンチ。
間違いなく見えている。
ルイちゃんはみんなを騙している。
本当は見えているのに、見えないふりをしている。
もしかしたら、
摘出した眼球以外にももう一つ目をもっているのでは、
第三の目があるのでは?

第三の目
昆虫や魚の一部やトカゲの仲間には、
『頭頂眼』と呼ばれる第3の目をもつものがいます。
この目は頭のてっぺんにあります。
とくにトカゲの仲間のカナヘビの第三の目には、
他の目と同じように、水晶体や網膜があります。
しかし、鱗におおわれていて外部から見ることはできません。
また像を捕らえる機能がないため、物を見るということはできません。
この目の機能は、はっきりわかっていないのですが、
太陽などの光を感じて、体温の調整やホルモンの調整を
していると考えられています。

人間にも
古代文明の時代、
眉間の上に第三の目がある、
「三つ目族」が存在していました。
現在もその子孫が世界各地で
ひっそりと存在しています。
彼らは特殊な能力を持ち、
普段は確か絆創膏で隠していたような・・・。
これは手塚治虫先生の名作漫画「三つ目がとおる」に詳しく書かれています。
僕は、これは実話だと信じています。

実際僕たち「三つ目族」ではない人にも、
脳の上のほうに「松果体」という8ミリほどの大きさで、
概日リズムを調整するホルモンを分泌する内分泌器をもっています。
※概日リズム:朝起きて、夜眠るなど人間が本来もっている1日で行う生理的現象のパターン
この松果体には目の光受容器細胞に似た機能があり
松果体細胞は進化において、目の網膜の細胞と起源が同じという説もあります。

第三の目ではないのですが、
ニシキヘビには、唇のところにくぼみに「ピット器官」と呼ばれる器官があります。
このピット器官は動物が発する赤外線を感知し、
ほんの少しの温度差で獲物を捕らえることができます。
全くの暗闇でも獲物の体温だけで、正確に位置大きさがわかります。

コウモリは暗闇の中、超音波をだすことによって、
獲物や障害物の位置や距離を知ります。

僕たち人間は見る・視覚に頼って生きていますが、
他の生き物は、第三の目だけではなく
視覚以外の感覚が非常に発達しています。
犬などは視覚より臭覚のほうが大事なようです。

ルイちゃんは入院室で突然ジャンプをして
高さ120cmのステンレスの流し台、
幅わずか5cmほどの上に
飛び乗りました。
ルイちゃんは絶対見えている。
もしくは人間が想像もつかない、特殊能力があるのでは?

実は僕も奥さんが近づいてくると、
背中が ゾクゾク として視覚ではなくわかるのです。
僕が得た自己防衛のための特殊能力です。




<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
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