動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2014.04.26_18:58

老化

「お久しぶり、元気そうだね“ゲンちゃん”」
お母さんに抱っこされたゲンちゃんは、
大きなタオル包まれ
タオルからは“舌が出っぱなしの顔”だけ出しています。
ゲンちゃんは僕の声が聞こえると
“何だお前か”という表情で
舌をだしたまま、片目を少し開けました。
狂犬病予防接種の時期、
久しぶりに会うワンちゃんがたくさんきます。

3年前の“ゲンちゃん”
体重13kg
病院にきても、尻尾を下げることもなく、
僕がよんでも、尻尾をふることなど決してしません。
すでに16才は超えていたのに、
ハリのある筋肉、
凛とした立ち姿は
年などを全く感じさせませんでした。

そんなゲンちゃんも19才を超えた今年は、
足の筋肉も落ち、
歩くのもやっとの状態でした。

ワンちゃんは7才ぐらいから、“体の老化”が始まります。
7才というと人の年齢に換算すると40代から50代ぐらい。
『40代から体の老化がはじまる』
しょうがないけど、なんか嫌だな。

犬の老化ってどうなるの?
遊ぶことが少なくなり、寝てばかりいるようになります。
若い頃は、寝ていても
玄関のドアの開く音、
キッチンで袋を開ける音など、
ちょっとした物音がしただけで、
すくっと起き上がり、
いきなりの全速力で走ってきたのに、
老化が始まると、どんな物音がしようが、
名前を呼んでもなかなか起きてきません。
遊ぶことへの興味や、物に対する興味が低下しているとともに、
耳が遠くなっているのです。
ということは、
どんな場所でも静かな快適な環境ということです。
耳が遠くなることはいいこともあるのです。
また寝る場所の変化もあります。
人恋しいのか、
今までの決まっていた寝場所ではなく、
一番好きな人の横で寝るようになります。
もっともっと老化が進むと、
昼夜逆転したりすることもあります。
食欲に関しては、
むら食いをして、食べるのが遅く、食べる量が減ります。
逆に、食べ物に異常に執着したり、偏食をしたり、
極端な食欲増加により、
どんなに食べても、食べ物を要求するワンちゃんもいます。
おしっこに関しては、
膀胱の筋肉が弱まり、
おしっこしたいということを、脳に伝える神経の働きも悪くなり、
粗相をするようになります。
おしっこの切れが悪く、
おしっこをした後に少し漏れることも、
うんちも大変、
うんちをするのは、意外と体力を使います。
排便体勢を長時間続けるのは大変、
それなのに内臓の働きも弱く、
肛門の筋肉の力も落ちているため、
うんちの時間が長くかかり、
うんちが苦痛の時間になってしまいます。
我慢して便秘気味になるワンちゃんもいます。
悪循環。
足腰も弱まり、
階段や段差が大変になります。
あまり動かないといっそう筋肉が落ち、
関節が硬くなってしまうので適度な運動が必要です。
毛質も艶がなくなり、白髪が出始めます。
フケも目立つようになります。
換毛もゆっくりのうえ、
あまり動かないため抜けるべき毛がついたままになっていることが多く、
古い毛がついたままだと皮膚が蒸れてしまい、皮膚病になります。
老犬はブラッシングが必要です。
聴覚のことは、書きましたが、五感も鈍くなってきます。
視覚がほとんどなくなるワンちゃんもたくさんいます。
しかし、人間と違いワンちゃんは五感をバランスよく使い生きているため、
目が見えなくても、聴覚や臭覚をつかうことにより元気に生活できます。
人間の場合は見えなくなるという恐怖心がありますが、
ワンちゃんはそれがないため結構見えなくても平気です。
五感のなかでも臭覚が最後までがんばるようで、
ワンちゃんにとって臭覚が一番大事なようです。
歯は歯石や歯垢がたまり、歯肉炎になり歯がなくなります。
歯のケアをすることで歯肉炎を遅らせることはできます。
歯はあるにこしたことはありませんが、
もし、歯がなくても大丈夫。
ワンちゃんは基本的に食べ物を丸呑みします。
歯は食べ物を丸呑みできる大きさに引き裂くためのもの、
もしくは獲物を捕らえる武器のため、
丸呑みできる食べ物であれば歯がなくても大丈夫なのです。
老化すると性格が変わります。
わがままになり、人の言うことを聞かなくなります。
そして、頑固になります。
頑固は老化の一つです。

そういえば最近僕も、
階段上ると膝が痛い。
歯ぐきが赤い。
とっても人恋しい。
おしっこした後、パンツに粗相・・・。
人の言うことは聞かないで、頑固になってきた。
40代は老化の始まり?
僕は犬の年齢に換算すると7才です。
ワンちゃんだって、7才でも元気なこがたくさんいます。
“ゲンちゃんの7才”なんて老化とは無縁、
僕が初めてあった16才の時だって若者のようでした。
老いは年齢ではなく、それまでの生き方です。
ぼくだってまだまだ元気いっぱい~。
あれ、パソコンの字が見えにくい・・・。
大きくしよっと。

19才のゲンちゃん、
歩くことはできません
歯が抜けて舌はでっぱなしですが、
少し開けた瞼から見える、
あの鋭い眼光はまだまだ健在、
威厳すら感じます。
ゲンちゃんはカッコイイ年寄です。





<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

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2014.04.10_18:40

油断

飼い主さんが僕を見ながら・・・。
「だ だ だぃ・・・ 大丈夫ですか?」
僕は
「だだだぃ だぃ・・大丈夫です。」
ひきつった笑顔で答えました。

僕の右手首には、
ネコの“ピーちゃん”が噛みついています。
そして、真っ赤な液体がタラタラとたれています。
その状態のまま、僕は“ピーちゃん”の目の治療を続けました。

“ピーちゃん”は半分野良ちゃんの猫
数日前から元気、食欲がないとのこと、
飼い主さんが好物の餌でつって、何とか捕まえ、
洗濯ネットに入れてつれてきました。
洗濯ネットの中では全く動かず、おとなしく、
注射中も微動だにしませんでした。
無事治療を終え、とりあえず ホッ としました。

すると、飼い主さんが
「そういえば最近目ヤニが多いのよね」
と一言。
治療を無事に終え、
最近噛まれることもなく
“いい気に”なっていた僕は、
何気なく洗濯ネットのチャックを開け、
“ピーちゃん”の顔を袋から出しました。
飼い主さんと話をしながら、
そして顔をおさえ、目を診た後、
目に軟膏をつけようとしたとき、
「シャー」の一言とともに、
僕の右手首にカプリ。

今回は完全に僕の失敗。
気のゆるみからの傷です。

臆病な猫ちゃんが病院に来るときは、
洗濯ネットに入れて連れてきてもらうにお願いしています。
洗濯ネットに入った猫ちゃんは、
網のため姿が丸見えなのに、
本人は隠れているつもりのようです。


ネコちゃんは、狭いところが大好き
どう見ても狭く窮屈そうなところに無理くり入り、
とっても無理な姿勢で寝ていることがあります。
足と足の間
頭の上
小さな洗面器の上
植木鉢の中
紙袋の中
帽子の中
体がはみだそうが
頭が下になろうが  関係なし
どう見ても無理な恰好なのに寝ています。
野生時代は、
ネコは自分を守るために、
普段は、敵に襲われにくい、
高い木の上や、
狭い穴で隠れて暮らしていました。
その本能が残っているため、
高い位置にある手すりの上にのったり、
体がぴっちりくっつくような狭いところがあると
ついついハマってしまうのです。
どうも猫ちゃんは“見える、見えない”という、
隠れているということより
挟まれている感覚が安心するようです。
洗濯ネットの中は網が体全体に触れているため、
丸見えでも安心できるのです。


実は僕も狭いほうが安心します。
旅館に泊まっても、部屋の真ん中に寝るより、
部屋の隅で体を丸めて寝るほうが熟睡できるのです。
本当はカプセルホテルが一番安心して寝ることができます。
僕の奥さんは広い部屋の真ん中で
大の字で寝るのが好きなようで、
これは、敵に見つからないようなところが安心する、
狩られる立場“小動物の僕”
敵のいない“猛獣のような奥さん”
“生態の違い”による違いです。

治療を終えたピーちゃん、
僕の手を噛んだまま洗濯ネットに入れると
やっと離してくれました。
この日の一番大変だった治療は
僕の傷の手当でした。





<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日


2014.04.04_19:06

注射


小さな体に大きな目
診察台の上でプルプル震えるチワワの“プー君“。
僕がフィラリア検査のため、
細い腕の“細い血管”に注射針を刺すと、
この大きな目から
一粒の大きな涙がポロリとこぼれ落ちました。
“つぶらな瞳からの涙”
僕が何かとても悪いことをしているような気分に。

4月に入ると、フィラリア検査・狂犬病予防接種など
健康なワンちゃんに注射を打つ機会が増えます
「診察台で“ブルブル”」
「飼い主さんに抱き付いて決して離れない」
「抱っこされたまま恐怖のあまり、
飼い主さんの肩に登り
ついには頭の上にまで登ってしまい、
そのまま注射したことも」

注射嫌い
僕は注射をするのは全く問題ないのですが、
注射されるのは大嫌い。
学生時代の注射をされるアルバイトで嫌いになりました。
詳しくはブログ「町一番の嫌われ者」に書いてあります。
大嫌いというよりも恐怖なのです。
健康診断の採血や、ワクチン注射のために、
並んでいるときなど、
心臓はバクバク、
微妙に震えています。
大人なので、
周りの視線を気にして声をだして泣くことはありませんが、
目が潤んでいるのは間違いありません。

何で『痛い注射』で投薬するの?
治療や予防のために薬物を注射します。
なぜ痛い注射より飲み薬にしないのかというと、
飲み薬の場合、吸収経路でろ過されたり、
他の物質に変質したり、
吸収時に解毒作用で分解されてしまうこともあり、
注射のほうが、確実に吸収されるため注射により投薬します。
また注射のほうが、
効果が早く現れる、
高濃度での利用ができるなどの利点があります。
獣医診療で注射を利用する理由の一番は、
飲ませることが難しいワンちゃんや猫ちゃんにも
薬剤を確実に投与できるからです。
特にほとんどのワクチンの場合は胃腸からの吸収が期待できないため、
注射をすることになります。

ワンちゃんネコちゃんに嫌われないために
僕は結構工夫しています。

★できるだけ素早く針を刺し、抜くときもすばやく。
素早く入れ、素早く抜くと痛みが減ると言われています。
ためらいながら皮膚をツンツンが一番痛い。
★注射する場所を強くつまんだり、圧迫しておき、
 緩めた瞬間に刺します。
 これは皮膚をつまむと、その圧迫刺激が脳に伝わり、
その刺激のため、他の痛みの伝達が一時中断するためです。
 それと針による急な痛みにびっくりして、噛みつかれることも防げます。
★名前を呼んだり、飼い主さんと楽しい話をする。
診察室を楽しい雰囲気にして、リラックスさせます。
 リラックスすると、筋肉が弛緩し痛みを和らげます。
 以前テレビでやっていたのですが、
 予防接種などの皮下注射は
 ボールペンで押された時の痛みより少し強い程度だそうです。
 注射針の恐怖で痛みが倍増していたのでした。
 “痛い痛くない”は、気の持ちようです。
 
飼い主さん
診察室でもし僕がおバカな話をしていた時は、
 バカだなと思わないように、
 ワンちゃんたちをリラックスさせるため、
 僕は治療のために、無理してくだらないお話をしているのです。
 
受付のMさん、
患者さんがいない時の僕のバカ話も、
治療の練習のためにしているのです。
愛想わらいでいいのでつきあってください。

僕の奥さん、
僕のくだらないお話や、おやじギャグ、
これも治療のためにしているのです。
たま~にでいいので、
無視せず相手をしてください。

狂犬病の時期になりました。
できるだけワンちゃんに痛みを和らげるため
頑張って一生懸命くだらない話をします。




<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日



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