動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
プロフィール

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2013.12.20_17:55
プレゼント

🎶「昔 となりのおしゃれなおねえさんは
クリスマスの日 私に言った
今夜 8時になれば サンタが家にやってくる
・・・・・
・・・・・
恋人がサンタクロース プレゼントかかえて
本当はサンタクロース」🎶


またまたやってきた、
恐ろしい季節が・・・・・・・。

12月に入ると小学3年生の娘は
サンタさんにお手紙を書き、枕もとにおきます。
高校三年生の息子も 『サンタはいる』 と言い
12月に入るとサンタにわたしといてと、
家の奥さんに手紙をわたします。
現実的な欲しいものが第三候補まで書いてあります。
一人暮らしの大学生の娘もサンタにあてたメール
家の奥さんに送ってきました。
今年は奥さんまでサンタあてに手紙を書いていました。

そして、サンタあての手紙はまとまって僕のもとにやってきました。

人間以外にも、異性にプレゼントを贈る生き物がいます。
子供を産めるのは雌だけ、雄はどんなに頑張って子供を産むことはできません。
その為、雄は自分の遺伝子を残すためには、
自分の子を産んでくれる雌を探す必要があります。
雄は精子を次々と作り出せるので、
自分の遺伝子をたくさん残こすため、
できるだけたくさんの雌と交尾をします。
それに比べ、雌は卵子の数は決まっているため、
雌はたくさんの雄と交尾するより、できるだけ優秀な精子をもった雄と交尾をしたいのです。
そのため雄はたくさんの雌と交尾するため、
自分が優秀だということをアピールする必要があります。

『クジャク』のように自分を着飾って雌の興味をひくもの。

『オットセイ』のように力によって雌を引き付けるもの。

『ハヤブサ』のようにプレゼントを渡すことによって雌に近づくものがいます。
ハヤブサは、恋の季節になると、雌は「キィーキィー」と鳴いて雄に餌を要求し、
雄は雌の気をひくためにせっせと獲物を捕らえプレゼントします。

『オランウータン』の雌は、雄が持っている餌に手を出してその時の雄の反応をうかがい、
相手がタイプかどうかためします。
雄が乱暴にしたり、餌を奪い返したりすると、この雄はダメだと離れていきます。
他の雄には強くても、雌にはやさしい雄のほうがモテルのです。
雌は、雄のもっている餌を奪うことによって、お付き合いするかどうか決めるのです。

『チンパンジー』は肉を雌にプレゼントします。
プレゼントを贈ると、雄はその雌と交尾できる可能性は2倍に跳ね上がるそうです。
人間も一緒?

草原で普通に見られる徘徊性のクモ『アズマキシダグモ』は、
ハエなどの獲物を捕まえてもすぐ食べずに、
糸で丁寧にラッピングして、雌にプレゼントします。
雌が餌を受け取り食べ始めると、雄は食べている雌の下に潜り込んで交尾を始めます。
食べている間交尾ができるため、大きな餌をプレゼントすると、
交尾の時間も長くなり、多くの卵を受精させることができます。
もし餌を持たずに接近すると雌はあっさりと逃げてしまいます。

羽をもつ小さなハチの一種『ガガンボモドキ』の雌は、
一番大きな餌をプレゼントとした雄を選びます。
大きな餌をもらった雌は、食べながら20分ほどの交尾を許します。
餌が小さかったりすると、交尾を拒否したり、5分程しか交尾を許しません。
5分では、交尾はできても精子を送り込むには短すぎます。
雌はプレゼントはもらうけど、
「小さな餌しか捕まえることのできない甲斐性なしの遺伝子はいらない」ということなのです。
その上、雌はしたたかで大きな餌を持ってきた雄がその雌を独占できるわけではなく、
とりあえずその雄の卵を2から3個産み、
また次の雄が大きなプレゼントをもってくるのをまちます。
交尾期の雌は雄のプレゼントで生きていきます。
しかし、雄の中にも強者がいます。
雌にプレゼントを与えて交尾を始め、目的の精子を送り込むと、
そのプレゼントを取り上げてさっさとその場を立ち去ります。
次の雌にそのプレゼントをあげるのです。
もっとびっくりすることに、雌のふりをする雄がいるのです。
なんのためかというと、
雌と間違って近づいた雄のプレゼントを奪い取るためです。
その雄は、お気に入りの雌のところにそのプレゼントを持っていくのです。
生き物たちにとって
それぞれ‟プレゼント“には大事な意味があるのです。



僕もサンタに手紙を書きました。
欲しいものは「優しい言葉」と「お休み」と「カメレオン」です。
僕のサンタはどこにいるの・・・・・?

🎶僕がサンタクロース プレゼントかかえて
本当はサンタクロース🎶





よろしくお願いします。



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日
   
年末年始のお知らせ 
     12月29日(日)午後 から 1月4日(土)午前まで休診となります。
       ※1月4日(土)の診療は午後1時からとなります。


 


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2013.12.15_17:13

助平じじい


山の斜面の途中に座り込む『勘太郎』
そおーと僕が近づくと、
彼は僕に気づき、ゆっくりと立ち上がります。
そして、逃げようと歩き出しました。
しかし、小さな石がゴロゴロころがる急な斜面では、
勘太郎の痛い足ではうまく踏ん張れず、
足を滑らし80kgを超える巨体が山の斜面を滑り落ちていきました。

『勘太郎』は12歳、体重80kgを超え、
長さ70cm、何本にも別れた立派な角を持つ、
動物園では一番大きく威張っていた雄のニホンジカ。
山の斜面で展示していました。

ニホンジカの角は雄だけにあり、
春には抜け落ち、毎年生え変わります。
春から初夏に生え始めた角は、
秋にはりっぱな大きな角になり
その角を岩や木にこすりつけて、
角に被っている皮膚を剥き、先端を尖らせます。
秋はシカたちにとって恋の季節、
雄のシカは雌を奪い合います、
その時にこの角を武器として使い戦います。
雄同士の戦いの末、命を落とすこともあります。
動物園ではこのような事故を防ぐため、毎年冬になる前にこの角を切り落とします。
山の斜面に作った足場の悪いニホンジカ舎で、
僕たち2本足の人間には、
4本の足で自由に駆け回るニホンジカを捕まえるのは至難の業。
そのため麻酔で眠らせてから、捕まえて、角をノコギリで切り取ります。
しかし、麻酔といってもちょっと眠くなり座り込む程度にしかきかせないため、
ウトウトしたシカを4人ほどで力ずくで倒します。
ウトウトしていてもシカも必至です。
暴れるシカとともに山の斜面を転げ落ち、毎年怪我人がでました。
麻酔は麻酔銃を使用します。
麻酔銃の役は僕でした。
ものすごい速さで逃げるシカにあてるのは結構難しく、
せっかくいい位置に追い込んだシカを、
緊張のあまりはずしてしまい、みんなに怒られることもしばしば。
麻酔液と注射筒を無駄になってしまうため、はずすたびに大きな損失です。
ちなみに一回失敗すると数千円の損失です。
毎年シカの角切りは僕にとってちょっと憂鬱な仕事でした。
角切りを終えると、繁殖を防ぐため、雄と雌を別々の放飼場に入れます。

この年の夏あたりから、勘太郎の様子が少し変でした。
座っている時間が長くなり、
あんなに威張っていたのに、他の雄シカに追われることもありました。
12歳というと人間に換算すると80歳以上。
毛の艶も悪く、少し痩せてきた様子。
どうも足が痛い様子。
担当者と僕は『勘太郎』を捕まえて、診察することにしました。
その為に、僕はそーと近づいたのですが、
『勘太郎』は山の斜面を滑り落ちてしまったのです。
慌てて僕と担当は、ひっくり返ってばたばたしている『勘太郎』を抑え診察しました。
蹄の炎症と関節炎です。
痛みと炎症を抑える治療をしました。
勘太郎には「できるだけ動かず安静にしているように」と伝えました。
しかし、その後も足の状態は悪くなるばかり、
ついに立つことができなくなってしまいました。
残念ながらこれ以上治療法がありません。
今まで威張り散らしていたせいか、
今までの恨みか、
他の雄たちが、立てない勘太郎を、
寄ってたかって、角でつつきました。
このままでは命が危ない状態でした。
立てなければ交尾はできないだろうと、
雌の放飼場に移すことにしました。

雌の放飼場にいた6頭の雌は、遠巻きに「勘太郎」を見ていました。
いじめることもなくホッとしました。
しかし、立てない限り「勘太郎」の命は2週間、
とっても厳しい状態には変わりありませんでした。

翌日の朝1番、病院に担当のNさんがやってきました。
こんな時間にくるのは、よくないことに違いありません。
勘太郎がだめだったのか・・・・・・。
しかし、Nさんは笑いながら、
「いさちゃん、すぐ勘太郎見に来て」
※いさちゃんとは、僕のことです。
笑いながら?
いそいでニホンジカ舎に行くと、
勘太郎は立ち上がり雌を追いかけていました。
他の雄にいじめられても逃げられないほど痛かった足はどうしたの?
勘太郎には僕がおこなうどんな治療より、
雌に囲まれることにより、自分で足を治したのでした。
勘太郎はただの“助平じじい”でした。

僕たち獣医師は病気を治しているのではなく、
「生きようとする力」を
ほんのちょっと手助けをしているだけなのです。

翌春、勘太郎にそっくりなニホンジカが生まれました。




 









よろしくお願いします。



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日
 


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