動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
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つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2012.09.29_16:37



天井のシミが動く


布団にはいってウトウトしていた撲に
猛烈な尿意が襲ってきました。
ボーッと朦朧とした意識の中で、寝る前に飲んだ紅茶を悔やみつつ、

“起きてトイレに行こうか” 
“我慢して寝続けようか” 

布団の中で悩んでいました。

しかし、ついに我慢の限界がきました。
出来るだけ、眠気が飛ばないように
薄目を開け、電気をつけました。
「オヤッ」
天井に何か黒いシミが
あれ!動いたような。
いや確かに何か黒い物体がいる。
そして、うごいている。
ラッキー
“クワガタ”だ。
のわけないか・・・・。

撲は布団の横においてあるティッシュの箱を掴み、
天井の黒い物体に投げました。
顔に向かい落ちてきた箱を巧なフットワークでうまくよけた撲、
しかし、よけた顔の鼻に何かがポトリ、
それはすぐにサワサワサワと撲の顔の上を軽快に走り逃げていきました。
顔で触れた感覚から大きさは3cmを超えていることがわかります。
それから2時間、奴をついにカラーボックスの裏に追い詰めました。
丸めた新聞でバシン。
奴はお尻から液体をだしながらついに息絶えました。
その死体をティッシュでくるみごみ箱へ捨てました

黒光りする1匹の虫 

それは、悪名高きゴキブリです。
「一匹いれば30匹」の言葉どおり、
翌日には、大小ゴキブリが6匹。
撲とゴキブリの仁義なき闘いが勃発しました。

敵を倒すには敵のことを知らなくてはと

ゴキブリのことを調べました。
チャバネゴキブリの寿命は百五十日、
一生の間に40個程度の卵が入った卵鞘を8個ほど産みます。
つまり5か月で三百二十匹の子供をつくります。
このままの計算でいくと1ペアのゴキブリが
1年後には1千万匹以上になるという恐るべき繁殖力です。
足の速さは秒速約1.5m。
これはゴキブリの大きさを考慮するとチーターの3倍の速度に値します。
そして、驚くべきことに、ゴキブリはなんと頭と尾に2つの脳をもっており、
この2つの脳の間は高速(普通の神経の十倍の早さ)の
巨大な神経線維でつながっています。
そのため脳からの指令は肢までわずか0.045秒で伝わります。
人間が新聞をもった時には、すでに逃げているわけです。
ゴキの食べ物はというと、
肉・魚・ジャンクフードといった人間の食べ物すべて、
そのほか木・紙・ウール・革、はては人間のまつ毛までなんでも食べます。
この恐るべき食性の広さは胃の中に歯のようなものがあるからです。
また、水だけで1か月以上生きることもできます。
もっと凄いことに、放射線にも強く、
ビキニ環礁の水爆実験でも死に絶えなかったそうです。
ちなみにゴキブリだけでなく甲虫も放射線に強いようです。
調査の結果かなり手強い相手と判明。

今回の失敗は、

“ごみ箱に捨てたこと”
ゴキブリが死に際に出した体液には、
集合フェロモンが含まれており、
その匂いを求め、仲間が次々と集まってきたようです。
ゴキブリは、仲間と暮らしたい欲求がとっても強いのです。
見つけても新聞などで潰すのはやめたましょう。
逃げている間に、フェロモンをだし仲間を呼ぶ上に、
つぶれた時に出た体液にもたっぷりフェロモンが含まれています。
潰した時は、死体とともに、
フェロモンのついた使用した武器も外に出しておくことが必要です。

その後の戦いは

まずは大掃除から始めました。
冷蔵庫を動かすとゴキちゃんの糞らしきものが、
カラーボックスの裏には卵がたっぷりくっ付いていました。
次にゴキブリホイホイをしかけました。
こんなにもいたのかとビックリするほどたくさん捕まりました。
これで完璧です。

ゴキブリというと、
以前とある動物園に遊びに行き、
飼育員と飲んでいると、
「フサオマキザルが風邪ひいたから診てくれ」ということで、
閉園後の動物園に行き、懐中電灯を片手にフサオマキザル舎に向かいました。
そして、獣舎の中に入り、懐中電灯で床を照らすと、
撲はウーロン茶しか飲んでいないのに、
床がユラユラと動きました。

もう一度床を照らすと、
「グエッ」
床いっぱいにいる大量のゴキが一斉に動き出したのでありました。

ゴキブリとの闘いを終えてから2週間、

今撲は大好きなビスケットとコーヒーを食べながらパソコンに向かっています。
おっとビスケットのかけらが割れて机の下に、
それを拾おうと机の下を覗くと
あれ、何か2匹の黒い物体が・・・。




<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
 休診日 月曜日



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2012.09.19_10:00

お尻“すりすり”


「先生、うちの子最近、和室の畳にお尻を付けて“すりすり”歩くんだけど大丈夫かな?」
「他にへんな行動しますか」
撲が聞くと
「そう言えば、しっぽを追ってグルグル回ったりもするね」
片岡さんは、5年前に一人娘がお嫁にいくと、
チワワのクリちゃんを飼い始めました。

クリちゃんにいつも可愛いお洋服を着せて、どこに行くのも一緒
トイレにも連れていくそうです。

今では、嫁に行った娘よりかわいい、とまで言う始末。
クリちゃんといる時間の方が、奥さんと一緒にいる時間より長いのは間違いありません。
以前奥さんに、
「御主人、あんなにも“クリちゃん”ばっかり可愛がって、やきもち焼かないの」
と聞くと、
「いいのよ、おかげで私は自由の身、誰にも邪魔されず大好きなパッチワークができるの」
と、

そんな片岡さんは、クリちゃんの変な行動が心配でしょうがない様子。
「はは~、それはお尻に問題がありそうですね」
診察台にあげて、可愛い洋服を脱がせました。
「失礼」
クリちゃんに声を掛け尻尾の付け根をしっかりつかみ、しっぽを上に持ち上げ肛門を見ました。
そして、肛門の横にそっと触れると、
肛門の下、時計の4時と8時ぐらいのところにパンパンに張った袋がありました。
「ああ、これが原因ですね」
この袋は肛門嚢、ここに分泌液が溜まりすぎている様子。
左手でしっぽをつかみ、右手で肛門をティッシュで覆い親指と人差し指でギュウと絞りました。
あれ!
全く出てきません、同じことを何回しても、あれれ・・・出ないおかしいな!
今度はティッシュをはずし、ぎゅっと絞りました。
なにか黒いちいさなゴマのようなものがポロとおちました。

ぴゅー・・・・・・・・

今度はものすごい勢いで、薄茶色の液体が大量に飛び出してきました。
そして、その液体を覗き込んでいた撲は顔でまともにうけてしまいました。

「ぐぇ」

腐る寸前の魚のような生臭いにおい。
肛門に開いている液を出す小さな穴が
液体とウンチが混ざったもので栓をされた状態だったようで、
シャンパンのコルクのように、その栓がポンととれ
いっきにふきだしたのでした。

撲が振り向くと
片岡さんのメガネにも点々とついていました。

肛門嚢って何?
この肛門嚢という袋には、肛門腺からでた液を貯めるための袋です。
この肛門液を出す肛門の出口にある2つの穴から、
ウンチをするとき、ウンチにこの液体を付けます。
ワンちゃんはウンチとともに自分の臭いを残し、ここに撲がいたよという証拠にします。
この液体はワンちゃんごとに微妙に臭いが違っています。
同じ臭いをもつワンちゃんは2頭といません。
そして、ワンちゃんは鋭い嗅覚で、この微妙な臭いの違いを嗅ぎわけることができるのです。
ワンちゃんが散歩中にあんなにも一生懸命臭いを嗅ぐのは、
誰がここにいたのか確認するためなのです。
ワンちゃんたちがお互いにお尻の臭いを嗅ぎ合うのは、肛門にもこの臭いがついているためです。
ワンちゃんは顔をみて誰だったか思い出すのではなく、お尻の臭いで誰だか確認するのです。
初対面の時も、「始めまして今後もよろしく」とお尻の臭いを嗅ぎ合います。
人間は道で会いたくない人とすれ違う時など、
顔をそらしたり、うつむいたり顔を見られないようにしますが、 
ワンちゃんは会いたくない相手とすれ違う時は、シッポを巻き込んで肛門を隠し、
臭いがばれないように、臭いを嗅がれないようにしてさっさと逃げます。


何でクリちゃんはあんな変な格好で歩いたの?
肛門嚢はうまく出せなかったりすると、炎症をおこすことがあり、むずがゆくなります。
痒いため畳に“肛門”を擦り付けていたのです。
しっぽを追いかけていたのではなく、痒い肛門を噛もうとクルクルしていたのです。
もっともっとひどくなると赤く腫れあがり、痛みも激しく、飼い主がお尻を触ろうとするだけで

「ウー」とうなったりします。

さらに悪化すると、痛いためうまくウンチができず、ウンチをしながらうなったり、
そのために便秘なったりします。
そのまま放置すると、化膿して破れ、手術になってしまうことがあります。

あなどるなかれ、痒いお尻
お尻は大事。

<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
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恐るべき生き残り戦略

「箱船計画」の下、
皆神山から採集したクロサンショウウオの卵が無事孵化し、
42匹の幼生の世話をしていました。
毎朝出勤すると、
まずクロちゃんたちに会いにエアコンの効いた涼しい飼育部屋にいきます。

しかし、孵化してから2週間ほどしたある朝のことでした。
「なんか減っていか?」
撲がクロサンショウウオお助け隊のT隊長に尋ねると、
「葉の下に隠れているだけですよ」と。
そうかなと思い葉の下を捜してみるが、
いやいや違う、確実に昨日より減っている。

そして、再び葉の下をのぞいたとき、
衝撃的な場面に遭遇してしまいました。
撲があんなにも愛情を込め、可愛がっているクロちゃんが、

兄弟のクロちゃんを頭から モグモグと食べていたのでした。




サンショウウオが共食いすることは知識として知っていたのですが・・・。
クロサンショウウオは1か所に100以上の卵を産みます。
なぜこんなにもたくさんの卵を産むかというと、

餌が足りない場合は、

“兄弟が食べ物になるようにたくさん産むのです”



早く孵化したものが、遅く孵化した幼生を食べるのです。
そして驚くことに、
後から孵化した弟は、先に孵化した兄が食べやすい大きさでいるために
成長を抑制までするそうです。
さらに、次の幼生が孵化すると、
それまで食べられる側だった幼生の成長が今度は促進され、
食べる側に回ります。
餌の少ない小さな池でも生息できるための恐るべき戦略です。

次の日から撲は共食いを防ぐため、
飼育ケースを増やし、分けて飼育しました。
すると確かに今までに全然大きくならなかった個体がぐんぐん大きくなりました。

兄弟殺しというとイヌワシが有名です。
イヌワシの場合、卵をたいてい2個産みますが、
わざと孵化をずらし、雛の大きさに差をつけます。
そして、親は大きな雛から餌をあげ、兄が満腹になってから下の子に餌を与えます。
十分な餌がないと弟は餌をもらえません。
それどころか餌が極端に少ない時は、

弟を餌として食べることもあります。

イヌワシは小さく弱い2羽を育てるのではなく、
大きく強い1羽を育てる戦略をとるのです。
クロちゃんの共食いの光景は、
生き残るため・遺伝子を残すための戦略のすごさを感じる出来事でした。



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
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2012.09.04_17:50

「環境のカナリア」

「おい見つけたか?」山の上にある池の中で、網をもって何かを探し求める怪しげな中年男が3人、
小雪の舞うひどく寒い2007年3月のある日のことです。
震えながら池の底をさらっていた3人組の1人は撲です。
3人のおじさんの姿は、まるで池に沈めた「盗んだ金塊」をさがしているサスペンスドラマ、
もしかしたら死体もでてくるのでは・・・。そんなわけはありません。
何をさらっていたかというと体長15cmほどのヌルヌルした生き物の
「クロサンショウウオ」を探していたのです。
決して、売って一儲けしようとしていたわけではありません、
れっきとした動物園の仕事なのです。

「たけし君」は撲が飼うひさしぶりのサンショウウオ。
今回は撲とサンショウウオの出会いと恐るべき生態や現状について、経験から書きます。







地球では今まで経験したことのない速さで生き物の絶滅が始まっています。
特に両生類は毎日のように地球上から消えていっています。
両生類が誕生したのは3億5000万年前、
カエルに代表されるように水上と陸上の両方に適応し全世界に生息しています。
そして、現在生息している両生類5743種のうち、半数は個体数が減少しており、
4分の1は絶滅に向かっており、
この状態は「Amphibiancrisis-両生類の壊滅-」と呼ばれています。
両生類は水と陸の両方で生活するため、どちらか一方の環境が汚染・破壊されても生きていけません。
また、毛やうろこもなく、薄い浸透性の皮膚は、汚染物質(農薬、環境ホルモン)を吸収しやすく、
オゾン層破壊による紫外線の増加による影響も、哺乳類をはじめとする他の哺乳類より受けやすいのです。
さらに5年ほど前にツボカビというおそろしいカビが両生類を襲いました。
両生類がこのカビに感染すると皮膚呼吸ができなくなり窒息死してしまいます。
感染力もすさまじくわずか3か月で地域の1群を絶滅させました。
このツボカビによるカエルの激減はオーストラリアと中米がひどく、
オーストラリアの動物園関係者が日本に来た時、田んぼのカエルを懐かしそうに見ていたそうです。
そこでこの緊急保護策として、「両性類の箱舟計画」が立案されました。
これは「ノアの方舟」になぞられて、
消え行く両性類を動物園という船に乗せ、危機が去るのを待つというものです。
まずは世界中のすべての動物園が1種以上の両生類を飼育、
繁殖させ個体数を確保することにより種の絶滅を防ぐことにしました。
現在の動物園は動物を展示して見せるだけではなく、
このような「種の保存」は動物園の大事な役割の1つです。
この一環として、クロサンショウウオを箱舟にのせることにしました。
皆神山のクロサンショウウオは市の天然記念物に指定されていますが、
近年、生息数が減少し絶滅が心配されています。
そこで市の許可を得てクロサンショウウオを保護飼育することにしました。
そして前述のあやしい3人組が出現したというわけなのです。

どうして「カエル(両生類)がいないと困るの?」と思うかもしれませんが、
両生類の減少は自然環境にとってもマイナスなのです。
例えばオタマジャクシ、藻類を餌としているので、
オタマジャクシがいなくなると藻類は異常に増え池を覆いつくし中の酸素量が減少します。
その結果、魚が死んでしまいます。
禽類・ヘビなど両生類を餌としている生き物達もカエルがいなくなると生きていけません。
インドでは、カエルの減少で爆発的に蚊が増え、マラリアの感染が増え人間にも影響しました。
このように生き物達は複雑に絡み合い環境をつくっています。
その1部(1種)が抜けただけで、その微妙なバランスが崩れ、すべての生き物に影響がでます。

両生類は環境汚染に敏感なため「炭鉱のカナリア」になぞらえて

「環境のカナリア」と呼ばれています。

「炭鉱のカナリア」とは昔は炭坑に入る坑夫さんの先頭の人は、
必ずカナリアの入った鳥籠をぶら下げていたそうです。
炭坑はガスがでることが多く、そのガスは目に見えないため、
ガスに敏感なカナリアを連れていき
“カナリアがぐったり”したら、
危険なサインとしてすぐに逃げました。
カナリアはガス探知機の役割をしました。
「環境のカナリア」の両性類が死んでいく地球、
どんなガス(環境破壊物質)が出ているのでしょうか。
そして、現在日本においてただでさえ減りつつある両生類に、
放射能という新たな汚染が襲ってきました。

「環境のカナリア」この両生類が絶滅していくことの意味を考えると撲はおそろしい・・・。


※その後のツボカビはどうなったか?
2008年に日本のカエルを捕まえツボカビの調査をしました。
撲もこの調査に参加しました。
その結果、日本には昔からツボカビが存在しており、
日本の両生類はツボカビ抵抗力があることがわかりました。
よかったよかった。

<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
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