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動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
プロフィール

つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2018.12.18_17:32
その話は『 後ほど』

「先生助けて~」
タオルに包まれ
顔面血だらけの猫ちゃんが運ばれてきました。
すぐに診察室に入ってもらいました。
真っ黒でまるまる太った猫ちゃんが
診察台の上でタオルにくるまれ、震えていました。
「お名前は?」
飼い主さんにたずねます。
「“さくら”」
「5年前にね、花が散り始めた桜の木の下で
段ボールに入って捨てられていて・・・。
その時ひたいに
桜の花がくっついていたのが可愛くて・・・。」
「名前の由来は“後ほど”聞きます、どうしました。」
「杏ちゃんとケンカしたの」
「杏ちゃんは雄のネコちゃんで家に来て10年は経つかな・・・。
完熟の杏を近所の人からもらったから、
ジャムを作っている時に家にきたから・・・。」
「名前のことは“後ほど”聞きますから・・・・。」 
「いつケンカしたの?」
「30分ほど前」
「“さくら”が寝てばかりで寂しそうだったので
杏のいる部屋に連れていったの、
そしたらいきなり“杏”がシャーって怒って、
さくらの頭を左右の手で
それぞれ1発それぞれ1発づつ“パンチ”、
杏ったら、頭を下げたサクラの頭を
さらに続けざまに5発、殴ったのよ、
杏は普段からちょっと暴れん坊でね、
爪も切らしてくれないし・・・。
その時、止めようとしたあたしの足もパンチしたの・・・。」
「見て、ちょっと赤く傷になってしまったの・・。」
飼い主さんはおもむろに自分のズボンのすそをあげだし、
僕にパンチされたところを見せようと・・・。
「飼い主さんの足の傷はまた“後ほど”診ますから、
まずはさくらちゃんを診察します。」
さくらちゃんの顔の血液を拭きとってみると、
右目の上がぱっくりと裂けていました。
杏ちゃんの爪が見事に食い込んだ様子。
すぐに傷口を洗浄し、縫合しました。

治療終了後飼い主さんと“後ほど”の話をたっぷりと聞きました。
飼い主さんの話をざっくりまとめると、
さくらちゃんは推定5歳の去勢済みの男の子。
人と食べることは大好きだけど、
杏ちゃんのことは苦手の様子。
とってものんびりや。
杏ちゃんは推定10歳の不妊済みの女の子、
家族のなかで、息子さんにだけ懐いていて、
息子さんが会社から帰ってくると
お膝の上にのってゴロゴロ。
しかし、他の人にはいっさい触れさせないとのこと。
さくらちゃんのことは大嫌いな様子。
5LDKの大きな家に住んでいて、
普段はそれぞれ別の部屋で暮らしている。
そんな、さくらちゃんと杏ちゃんを、
飼い主さんは、いつも寝てばかりで退屈そう、
離れ離れで寂しそうと思い、
時々、今までも杏ちゃんの部屋に
さくらちゃんを連れていっていたそうです。
そのたびにサクラちゃんはパンチをされていた様子。
今まで怪我をしたことはなかったらしく、
こんな傷は初めてといっていました。
「いつもは、しばらくすると仲良くなるの?」
僕がきくと、
「パンチの後は、杏は、タンスの上に行ってしまい、
さくらは反対側の本棚の隙間に隠れてしまうの、
そこから引っ張り出すのが大変」
全く遊ぶどころか近づきもしなかった。

猫はひたすら眠る。
猫は一日のうち16時間以上寝てすごします。
特にお年寄りの猫はトイレとゴハン以外は
ほとんど寝て過ごします。
これはネコの本能。
完全肉食の猫は狩りをして餌を得ていました。
狩りはとっても体力を使うため、
エネルギーを温存するために寝て過ごします。

猫は一人が落ち着く
猫は本来、単独行動する動物です。
ネコ科のなかでライオンだけは群れをつくって生活します。
そんなライオンでも血のつながらない雄同士は一緒にいません。
野良猫たちも、生まれて半年ぐらいすると母親から離れ、
一人での生活を始めます。
猫たちは待ち伏せ型の狩りをするため、
仲間といるより一人の方が気配を消しやく、
狩りがしやすいのです。
そのため、仲間と一緒にいて助け合って暮らすより、
自分のペースで気ままに安心する場所で
自由に暮らしたいのです。
猫は一人でも寂しくありません。

ただし、家ネコは1万年前に野性を捨て
人間と一緒に暮らし始め、
狩りの代わりに
人からゴハンをもらうようになりました。
狩りの能力を、人に甘える能力に変えてきました。
ゴロゴロ喉を鳴らす、
ごろっとお腹を出してニャ~、
頭をスリスリ
つぶらな目でこちらを見ながら顔を傾げる、
ざらざらした舌で顔を舐めてくる、
全てこれは、狩りの代わりに、ゴハンを得るための戦略です。
他の猫に甘えてもご飯をもらえないので、
一人が好きなのです。
でも人間と暮らして長いので、
人間たちは、
猫同士でくっついて寝ていると
可愛く思いゴハンをもらいやすくなる、
他の猫とくっつくとあったかいなどの理由で
他の猫と仲良くする子もいます。
あくまでも戦略です。

さくらちゃんと杏ちゃんは同じ部屋にいることはストレス。
杏ちゃんは本来の狩りをする、
猫の本能を持っているネコちゃん。
1人縄張りでじっと獲物を待ちたいのです。
その縄張りにさくらちゃんが入ってくると、
その縄張りを守ろうとパンチをして追い出します。
さくらちゃんが杏ちゃんの部屋に入るということは、
自分の縄張りで獲物を待っているところに、
じゃまものが来たことになります。

さくらちゃんと杏ちゃん、それぞれの部屋があるのでしたら、
それぞれの安心する場所で、
別々に暮らさせてください。
寂しくありません。
一緒にしてもストレスを感じるだけ、
一緒にするのはやめましょう。
相性が悪い猫同士同じ部屋で飼わなければならない時は、
段ボールなどで隠れる場所を作ったり、
高い場所に逃げる場所をつくるなどすると、
ストレスを減らすことができます。

杏ちゃん、さくらちゃんが初めてやってきた時の話、
息子が家出した時の話
旦那さんの行動があやしい話
などなど、“後ほど”の話はもりだくさんでした。
しかし、これは個人情報保護法のため、
残念ながらここでは書けません。







臨時休診のお知らせ

12月23日(日)午後休診となります。

午前中は診療します。

年末年始休診のお知らせ

12月30日(日)~ 1月4日(金)は休診となります。


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2018.11.22_19:21

『Bohemian Rhapsody』

白いタンクトップにパツパツのパンツに太い皮のベルト
ピアノの前に座ったフレディ、
鐘の音を模したメロディを奏でる

♫ ママ~~~~~ ジャス キルダマ~ン ♫
 
これが大画面から流れた時、
僕も1985年のライヴ・エイドの75000人の観客の1人となった。
感極まった僕は涙が止まりません。

見てきました
“Queen”の
『ボヘミアン・ラプソディ』
天才の苦悩、孤独、葛藤、そして本当の仲間たち、
後半は泣きっぱなし、
泣いたことが妻にばれないように、
エンドロールが終わるまでに、涙を拭きとり、
終わるとともにトイレに駆け込み心を落ち着かせ、
涙の跡がないか確認しました。
妻も僕の顔も見ないで、会話もせずトイレに駆け込みました。
バカだな、泣いたことがわかっても恥ずかしくないのに。
僕はこの感動の時間を愛する奥さんと共有できとっても幸せでした。

映画の後はおしゃれなイタリアンのレストランでランチ。
僕は天才の孤独、家族の大切さなどを力説し、
映画の余韻を楽しんでいました。
妻は、朝コーヒーを飲みすぎたせいか後半トイレに行きたくなって困った
話をしていました。
映画を見に行く時はコーヒーを控えるは とのこと。
あれ?

映画に出てくる猫がいいんです。
フレディはツアーでお留守番の猫たちに
電話をかけるほど愛猫家。
多い時は10匹の猫たちと暮らしていました。
周りの取り巻きの人間は
Queenのフレディ・マーキュリーと付き合う。
人間はお金と名声をと特殊なセクシャアリテイを通して付き合う。
時には嫉妬や妬みも・・・。
しかし猫たちは違います。
ただフレディが大好きで、抱っこしてもらいたい、
撫でてもらいたい、一緒にいたいだけなのです。
捨て猫も含め、彼の生活にはいつも猫がいました。
Queenの最後のアルバムに収録されている、
「Delilah愛しきデライラ」は、
最愛の猫“デライラ”ちゃんに捧げる曲です。
お金も名声もセクシャアリティも関係ありません。
もしかしたら猫だけがフレディの唯一の理解者だったのかもしれません。

夜、久しぶりの休日、
珍しく中学生の娘と一緒に夕ご飯を食べました。
昼間の感動が続いている僕は娘に、
Queenのカッコよさなどを熱く語っていると、
娘が妻に向かい一言、
「どんな映画だったの?」
我が愛する妻は、
「ゲイだったから孤独だった男の話よ。」
え! そんな映画だったの、
あんなに感動していた僕は何だったの。







<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 〒143-0012 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日


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お父さんのパジャマ

鍵のかかっていないマンションの玄関を開けた。
「こんばんは」
診療終了後、僕は佐藤さんの家へ向かいました。
往診依頼です。
「先生どうぞー」
何回か通っている僕は、
玄関で靴を脱ぎ、廊下の一番奥にある居間に向かいました。
居間のドアを開けると、
お母さんが、大きな窓の前に置いてあるソファーの横に座っていました。
お母さんは、にこっと微笑み、ソファーの上のネコの耳をモミモミしていました。
木枠でできた少し大きめのソファーの上
“ミーちゃん”はいつものように丸まっていました。
ソファーの上にはクッション、
その上にはご主人の藍色のシワシワのパジャマ、
そして、その上に痩せて骨と皮だけのミーちゃんがいました。
弧を描くようなヘの字の目、安心しきって幸せそうな顔のミーちゃん。
時々動くお腹が生きている証です。
その場で、聴診、元気なことを確認し、
背中にたっぷりの輸液をしました。

ミーちゃんと僕の出会いは5年ほど前、
お父さんが、ウンチが出ないということで、
8kgのおデブネコのミーちゃんを病院に連れてきたのです。
証券会社勤務だったお父さん、
定年を迎え自宅で金融のコンサルタントをしていました。
コンサルといっても夫婦2人の佐藤さん、
近所の人たちの定年後の相談程度の仕事でした。
ミーちゃん同様、お父さんも見事に太っていました。
現役時代は日付が変わってから家に帰ることが多い激務だったらしく、
不規則な食事とお酒でこんな体が出来上がったと言っていました。
みーちゃん、浣腸をするとびっくりするほど大量のウンチが出ました。
その後、消化性のいい便秘猫用ゴハンを処方、
おやつを一切やめてもらいました。
ダイエット指導をしました。
その後、お父さんとともに、時々病院に来ました。
2人とも少しづつではありますが、痩せてきました。

20年前の大雨の夜、も
お父さんが酔っ払って帰宅時、
びしょ濡れでやせこけた猫がマンションの植え込みの前にいたそうです。
お父さんを見て小さな声でミャーと鳴きました。
耳はカットされていました。
不妊手術されていた証拠です。
それがミーちゃんです。
今まで動物など飼ったこともなく、興味もなかったお父さん、
何故か運命を感じそっと抱きあげ家の中に入れました。
洗面所に行き自分のバスタオルを持ってきて、
目ヤニと鼻水、泥だらけの体を拭いてあげました。
そして、冷蔵庫の中から牛乳を出し自分で電子レンジで温めました。
家に帰ると全く何もしない、
靴下は脱ぎっぱなしのお父さん、
家のことは、すべてお母さんがやっていました。
どちらかというと神経質で、きれい好きな人なのに、
何もしないお父さんが、
スーツを着たまま汚れたミーちゃんのお世話をしていたのには
驚かされたとお母さんは言っていました。

佐藤家にきたミーちゃんは
朝は玄関マットの上で、きちんと前脚をそろえて、お父さんを見送り
夜、ミーちゃんが、玄関に行きマットの上に座ると、
1分ほどで玄関のドアが開き
お父さんが帰ってきました。
ミーちゃんには家に帰ってくるお父さんの足音がわかるようでした。
お父さんはスーツを脱ぎ、食事をします。
ミーちゃんはお父さんの横に座り、
ミャーと甘える声でお父さんのおかずをねだります。
他人とのお鍋は嫌がるほど潔癖気味なのに、
ミーちゃんには自分のはしでおかずをあげていました。
食事を終えると、
お風呂に入り、藍色のパジャマに着替え
ソファーに座り、
大きな窓から見える、羽田から飛び立つ飛行機を見ながら
焼酎のお湯割りを飲み始めます。
ミーちゃんは、お父さんの太ももにピョンとのり、
ゴロゴロ。
お父さんの右手はグラス、左手はミーちゃんの耳をモミモミ、
3杯目を飲み終わる頃には二人でうとうとしている毎日でした。
休みの日も、お父さんは用事がない時は一日中藍色のパジャマのまま
ソファーでお酒を飲んでいました。
膝にはミーちゃんでした。

2年前、お母さんが買い物から帰ってくると
ミーちゃんが今まで聞いたことのない程の大声で
みゃーみゃーと鳴きながら、
玄関に来ました。
お母さんの姿を見ると、
走って居間に向かいました。
そして、ソファーに座っているお父さんに飛び乗りました。
しかし、お父さんは全く動きませんでした。
天国に行ってしまったのでした。

お父さんがいなくなってから、
ミーちゃんは家の中を、
ミャーミャー鳴きながらいつまでもいつまでも
お父さんを探しました。
お母さんが抱っこしてもすぐに飛び降りてしまいます。
49日も済ませ、
お母さんはお父さんの荷物整理をしていた時、
お父さんが着ていたパジャマが出てきました。
まだ洗濯もしていなかったので、
洗濯かごに入れると、
ミーちゃんがピョンと洗濯かごの中に入り、
中でゴロゴロ、そしてパジャマをフミフミ。
ひとしきりフミフミをした後は、小さく丸まって静かに目を閉じました。
お母さんが何度追い出してもピョン・・・。
そして、ゴロゴロ、フミフミ・・。
何回か、お母さんに追い出されると
ミーちゃんは今度はパジャマのズボンをくわえて
窓際のソファーに行きました。ソファーに飛び乗ると、
パジャマの上ですやすや。

あれから2年、パジャマは薄汚れ、
ミーちゃんの目はほとんど見ず、骨と皮だけの体になりました。
そんなミーちゃん、
トイレとゴハン以外はソファーの上でお父さんと一緒にいます



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 〒143-0012 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
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 休診日 月曜日




おっぱいのじかんでちゅよ~

「み~ み~」
小さな箱から 僕を呼ぶ声がします。
日にちが変わろうとする真夜中、
彼は、僕が部屋に入ってきたのに気付いた様子。
「み~ちゃん、オッパイの時間でちゅよ・・・。」
誰もいない病院の中、
40後半のひげ面の親父の幼児言葉が響きます。
たくさんのタオルの中から小さな み~ちゃんが顔を出しました。
かすかに右目だけを開けます、左目はまだ開いていません。
み~ちゃんは、約生後1週間の雄の子猫。
病院に来て4日目。
ごみ捨て場で捨てられていたのを拾われ、病院にやってきました。
病院に来た時のみ~ちゃん、
お腹はぺったんこ、痩せて、皮と骨だけ、
顔は目ヤニと鼻水でぐちゃぐちゃ、
呼吸も弱く、
体温も下がり、
鳴き声は今にも消えそうに小さく、
息が漏れるような 「ピ~」 
とても危険な状態でした。
ありがたいことに、拾った方が元気になったら飼ってくれるとのこと。
1日目のみ~ちゃんは飲む力も弱く1回で飲む量は1~2ml、
それも30分もかかりました。
小さな体に注射針を刺し点滴もしました。
赤ちゃんの生命力はすごい、
3日目になると、乳首をくわえると力強くチュウチュウと吸えるようになりました。
お腹が空くと大きな声で「み~ み~」僕を呼びました。
1回で飲む量も増えひとまず安心です。
これで僕の母親はおしまい、
新しいお母さんのもとにいきました。

僕は今までいろいろな仔たちにミルクをあげて育てました。
生まれてすぐお母さんが死んでしまったキリン。
赤ちゃんなのに、僕より大きいキリンは、
僕が脚立に乗って、両手で大きな哺乳瓶を持ちあげて哺乳です。
長い首がドクンドクンと動きミルクが入っていくのがわかります。
1回で3リットル以上飲みました。
飲み終えた後、とっても柔らかい上唇に触れるのが楽しみでした。
お腹が空いた時の僕を見る目、
大きな瞳がウルウルしていてかわいかった。

ほぼ同じ時期にお母さんに育児放棄されてしまった
チンパンジーのアサコと
オランウータンのフジコ、
二人を一緒に育てました。
オムツをつけた二人はいつもくっついていました。
抱っこしながら順番にミルクをあげます。
最初は陽気で元気いっぱいのアサコ、
乳首をくわえると、すぐにグビグビと飲み始めます。
半分くらい飲むと、ウトウト途中で寝てしまいます。
ほっぺをツンツンして再び飲ませました。
次はのんびり屋なのに気難し屋のフジコ、
乳首が上手くくわえられないと、
両手で頭をかかえ ピ~ピ~
足はバタバタ、
ヒステリーをおこします。
やっとうまくくわえても飲むスピードがゆっくり、
途中で乳首がずれると、再び ピ~ピ~。
飲み終えるまでに40分以上かかることもありました。
飲み終えたフジコを肩に抱き上げ背中を トントン ゲップをさせます。
フジコはせっかく飲んだミルクを
ゲップとともに僕の背中に吐き出すことも度々ありました。

コウモリ、小さな注射筒に特製乳首をつけ、少しづつ飲ませます。
ちょっとでも多く入ると鼻から “ぷしゅ”ミルクを吹き出します。
体重はわずか2g、1回で飲む量もほんの少し、
3時間間隔の哺乳でした。
怪獣のような顔でもミルクを飲んでいる時は 天使 に見えます。

ツキノワグマ、哺乳瓶の乳首がうまく口に入らなかったり、
お腹が空きすぎて焦っていてうまく飲めないと 
ヒステリーをおこし、
噛みついてきます。
上手く乳首が口に入るまでは恐怖の時間、
腕は傷だらけで苦労しました。

レッサーパンダ、とにかく可愛い。
お腹が空いて僕を呼んでいる時、
飲んでいる時、
飲み終わって寝ている姿、 
とにかく全てがまるでぬいぐるみ、
誰もがメロメロになります。

楽なのは牛、僕の姿を見ると、
べ~べ~ と鳴きながら寄ってきて、
大きな哺乳瓶の乳首に食いつき、いっきに飲み干してくれます。
ちなみに、母牛のミルクは人間が飲み、
仔牛は粉ミルクで育つのです。

ノウサギ、これもかわいい、
日本の野山に住んでいるトウホクノウサギは、
生まれた時から毛が生えています。
この毛がふわふわ。
このウサギは、草むらに隠して子育てをするため、
母親は天敵に見つからないように、できる限り仔ウサギに近づきません。
そのため哺乳の回数が極端に少ないのです。
腹もちがいいようにとっても濃いのが特徴です。
いっぱい飲むと、柔らかいお腹がプクッと膨れます。


哺乳の期間は動物たちによって様々です。
犬は1か月、猫も1か月、
母親がいる時は半年ぐらいまでフードを食べながらオッパイを飲む仔もいます。
人間で約1年、
長いのはチンパンジー5歳ぐらいでもオッパイを飲む仔も結構います。
短いのは寒い極地に住むアザラシ、ズキンアザラシなどわずか4日間だけ。
そしてこのミルクには秘密があり脂肪分は40%以上あるそうです。
人間が飲んだらすぐに下痢しそう、
ちなみに人間の母乳の脂肪分は3.5% です。
寒いところに住むアザラシは脂肪分を貯めこむ必要があり、
このように濃いミルクとなりました。
僕のお腹の脂肪、決して怠けているからついているわけではありません。
冬の寒さに耐えられるように今から貯めているのです。

フラミンゴは鳥なのに仔にミルクを与え育てます。
そのうえお父さんもミルクをあげます。
どうやってあげるかというと、
鳥にはオッパイがないため口からミルクをだします。
このミルクは喉の奥にある“そのう”という器官でつくられます。
成分はタンパク質と脂肪のほかに羽の色のもとの色素も入っています。
この色素があるため赤いミルクとなります。
おもしろいことに、この色素を仔にあげている時は、
親の羽の色がだんだんと薄くなります。
 
“み~ み~ ”元気な声が聞こえます。
「あっ!み~ちゃんだ」
新しいお母さんのもとに行ってから1週間、
み~ちゃんの元気な声が病院中に響きました。
診察台に乗せると、ピカピカのキャリーバックから小さなピンクの肉球が見えます。
入り口を開けると、恐る恐るピンクの鼻と口の小さな顔が飛び出しました。
僕の顔を見て、首を傾げながら ミャ~ 
素早く抱きかかえた僕は、み~ちゃんの顔に僕の顔をスリスリ、

「み~ちゃん、いい子でちゅね~」

病院中に僕の声が響き渡りました。
その後、受付からは失笑が・・・。




<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

9月の臨時休診のお知らせ
 9月21日(月)~22日(火)は休診とさせていただきます。
 



2015.06.04_15:28

魔法のクリップ

「ポッキー~」
コンビニに弁当を買いに病院の階段を降りた僕は、
道路の反対側を、お母さんと散歩していたヨーキーの“ポッキー”を見つけました。
僕はいつものように大きな声で呼びました。
いつものポッキーなら、僕の声を聞くなり尻尾をフリフリ、
抱っこ抱っこのはずなのに。
この時のポッキーは尻尾をお尻の間に挟み込み、
腰を下げ僕から逃げようと必死、
小さな体の中のどこにあんな力があるのか、
びっくりするほどの力で飼い主さんを引っ張りました。
4月、5月、6月は狂犬病、フィラリア予防の時期、
間違いなく病院からは恐ろしいオーラが出ています。
ワンちゃんたちは病院に近づこうとしません。
病院だけではなく、僕からも危ないオーラがでていて、
僕の姿を見るなり逃げる子が多いこと・・・・。

フィラリア検査のための採血は、飼い主さんから離れた奥の診察室で行います。
採血台の上に乗せるとほとんどの子は、緊張のあまり全く動かず、
素早く気づかないうちに血を採ることができます。
キャバリアの“パット”は、
こんな状況なのに、僕の顔を舐めまくり尻尾をフリフリ、
注射針が刺さり血を採っている間も尻尾をフリフリ、
こんな子もたまにいます。

採血が難しいのはネコちゃん、
ワンちゃんは前肢に触れられることになれているので、
比較的すんなり注射できるのですが、
ネコちゃんは、前足を持っただけで振りほどこうとすることが多く、
その上、僕の手を“ガブ”ということも、
また、採血中に動いたりすると、
血管壁が薄いため、ちょっと傷つけただけであっという間に出血、
血管の周りが腫れ上がってしまいます。

そんなネコちゃんをおとなしくさせる秘密の方法があります。
ネコちゃんの首の後ろにクリップをつけるのです。
どうもこれは、母猫が子猫を移動するときに
首の後ろをくわえて移動することに関係があるそうです。
移動の時は危険がいっぱい、できるだけ敵に気づかれず素早く移動する必要があります。
くわえられた子猫は、背中を丸め、呼吸もゆっくり、目を細め、
時にはゴロゴロのどを鳴らしたりします。
この時の子猫は、とってもリラックスして気持ちのいい状態の様です。
あまりの気持ちよさのため“じっと”することで
母猫が運びやすくなり、素早く移動できます。
そこで、僕は猫の治療の時は首をくわえて治療をしています。
しかし、これでは猫を虐待しているように見えてしまうのと、
とてつもなく顎が疲れてしまうので、
くわえる代わりにクリップで皮膚をつまむことにしています。
するとネコちゃんは魔法をかけられたように、
目を細め、身体を丸めその場でゴロっと横になります。
母親がくわえるのと、同様な効果が得られます。
恐怖で動かないのではなく、とっても気持ちいいようです。
それも子猫だけではなく、老猫でも効果があります。
ただし、興奮していたり、怖がっている時は効果がありません。

ネコちゃん以外にも、
レッサーパンダも同様な効果がありました。
多分ライオンも自分の子供をくわえて運ぶので同様な効果があると思いますが、
残念ながら試みたことはありません。
人間はどうかと思い、
家の奥さんが怒っている時、僕は奥さんの首をつまんでみました。
すると何と!
ピタッと怒鳴り声がとまりました。
すごい効き目です。

その後、彼女の手のひら僕が頬に向ってきましたが。
怒りで興奮していたからきかなかったのかな・・・?

2足歩行の僕たち人間は、自分の子を移動するときは、抱っこやおんぶです。
首の後ろをくわえることはありません。
首の後ろをくわえる、つまむことには全く意味がないのです。
人間の赤ちゃんは抱っこして歩き回ると同様な効果があります。

今後奥さんが怒っている時は、
“抱っこして、歩き回ります”



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
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