動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
プロフィール

つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2017.06.07_16:07

‟ペンギンだ~”

診察台の段ボール、
ふたを開けると、
クリクリした黒くまん丸な目と目が合いました。
頭のてっぺんにはフワフワの産毛が、
段ボールから出た顔を見て、
「ペンギンだ~」
看護師さんが大喜び・・。
違うよ、日本にはペンギンいないから、それとペンギンは飛べないから。

僕は東京都の傷病野生鳥獣保護活動(指定病院)をしています。
病院には時々傷ついた野性鳥獣がもちこまれます。
今回のクリクリ目のカワイイ鳥は「ハイイロミズナギドリ」の幼鳥、
渡りの途中に何らかの事情で衰弱したものと思われます。
まずは身体を温めることから始め、栄養剤を注射しました。
2時間ほどすると段ボールから飛び出すぐらい元気が出てきました。
大きなけがもなく、バランスよく羽ばたくことができました。
さあ餌です、近所のスーパーで、マグロ・アジ・カツオのお刺身を買ってきました。
まずはマグロの刺身を嘴に押し込みました。
切り身の魚は食べたことないためか、
マグロを食べたことないためか
“プッ”と吐きだしました。

次は嘴を無理やり大きく開き、喉の奥まで刺身のアジを押し込みました。
一度は吐こうとしましたが、うまく吐けなく、目をパチパチさせながら飲み込みました。
ガッツポーズの僕です。
それから2切れほど同じように食べさすと、
よほどおいしかったのか、3切れ目から嘴の前に持っていくと
自分からパクッと食いつきました。
アジは積極的に食べます。
マグロは少し押し込むといやいや食べます。
カツオに関しては、嘴を左右に振り外に掃き出しました。
しょうがないので残ったカツオとつまとわさびと生姜は僕のおやつとなりました。

保護動物で一番困るのは餌です。
先日保護された小型のフクロウは基本的に虫を食べます。
まずはコオロギをあたえるのですが、
結構な量を食べるのと栄養のバランスもちょっと不安。
そこで冷凍ヒヨコを買ってきてあたえました。
小さなフクロウは狩りがしやすいので虫を食べているため、
ヒヨコでも問題なく食べることができます。
鶏のむね肉などでもいいのですが、
栄養のバランスを考えると内臓なども食べる必要があります。
全てを食べることができるヒヨコは完全栄養食となります。
また、栄養にはなりませんが骨や羽毛も食べることも大事。
骨や羽毛などの消化できないものは胃の中でまとめて、プッと吐き出します。
この吐き出したものはペリットと呼ばれます。
この行動は胃腸の掃除と動きをよくして健康維持となります。
野性のフクロウの観察をするのが僕の趣味ですが、
フクロウのいる場所を探すときは、
大きな木の根元に落ちているペリットを探します。
ペリットは僕にとっては宝物、
家に持ち帰り解体してみるとネズミや蛇の骨が出てきます。
その骨を見ながら前の夜に起きた事件(狩り)を想像するのが大好きです。

一度ヨタカが保護されたことがあります。
ヨタカは夜行性で、飛びながら大きな口を開けて飛んでいる虫を食べるため、
虫を地面においても食べません。毎回口に大量の虫を押し込みました。
えらく大変でした。

保護されて大変なのは虫しか食べない生き物です。
餌となる虫も飼っておかなければなりません。

東京都内にも
人間に見つからないようにこっそりと、
野生動物が生息しています。
“ハヤブサ”はビルの間を颯爽と飛んでいます。
渡りの途中だと思いますが、小さなフクロウ“アオバズク”は港区で保護されました。
メジロやムクドリもちょくちょく保護されます。
ゴジラが上陸してきた呑川ではヘビの青大将が泳いでいました。
たまには、空を眺めたり、地面を見たりしてみてください。
思わぬ生き物に遭遇できますよ。

クリクリ目のカワイイ鳥は元気に飛んでいきました。





<休診のお知らせ>
6月18日(日)午後は院長研究会出席のため休診となります。

<お知らせ>
TABICA(たびか) 主催
僕が上野動物園を案内するツアー

『一味違う動物園めぐり。
サルに注射された獣医師から学ぶ
「動物の不思議な生態」』

7月30日(日)開催決定!

開催日時:7月30日(日)9:30~11:30
開催場所:上野動物園
参加費:2000円 入園料別
申し込み・問い合わせ: TABICA(たびか)
               ☎03-6869-0775      
               https://tabica.jp/travel/702
               


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 〒143-0012 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日

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2014.09.20_15:58
おめでとう繁殖賞

“長野市茶臼山動物園、ハクバサンショウウオ日本で初めての繁殖、
 日本動物園協会より「繁殖賞」を受ける“
とっても嬉しいニュースがありました。
 
ハクバサンショウウオは、1975年に発見され、1987年に新種として発表されました。
体長10cmほどの小さなサンショウウオ、生息域が非常に狭く、
長野県の白馬の限定された地域に生息しています。
長野県のレッドデータブックでは、
最も絶滅の恐れが高い『絶滅危惧ⅠA類』に分類されている希少種、
白馬村の天然記念物です。

成体は森の中の落ち葉の下や、倒木の下に住み、
ミミズやダンゴ虫、クモなどの小さな生き物を食べています。
雪が解け春になると、水が湧き出ている湿地や、小さな沢で産卵します。
産卵地は柔らかい流れや綺麗な水が必要のため、湧き水が出ているところが最適です。
秋までには手足が生えそろい上陸します。
白馬村は観光地、スキー場、別荘・ペンションなどの開発により
生息地に道路がつくられました。
短い足は遠くまでの移動が難しく、
また、道路の側溝に落ちると脱出することができません。
産卵地と生息地の分断、他の個体群との接触がなくなり、
急激に生息数が減っています。

現在の動物園は動物たちを見せて楽しんでもらうだけではなく、
「種の保存」という大事な役割があります。
300年前の地球は4年に1種、
100年前は1年に1種の生き物が絶滅していました。
しかし、現在の地球は1時間に4種の生き物が消えています。
人間が今のままの生活を続けていると、
100年後には地球上の生物種の半分はいなくなってしまいます。
絶滅を防ぐには環境の改善が大事ですが、
とりあえずその前に、ものすごいスピードで減っている生き物の
個体数を増やしておく必要があります。
動物園の「種の保存」とはこのように絶滅の危機のある生き物を
人間の手で飼育し増やすことです。
とりあえず絶滅だけは防ぐことができます。
そして、増えた生き物は、生息環境を改善し
再び野生に復帰させることを目標としています。
実際アメリカバイソンやカリフォルニアコンドルは「種の保存」活動により
絶滅を免れました。
動物園は現在の『ノアの箱舟』を目指しています。

茶臼山動物園はハクバサンショウウオの種の保存活動をしていたのでした。
僕が以前勤務している時に、環境省の許可のもと
ハクバサンショウウオの成体と卵を採集し研究をはじめました。
飼育の担当をしていた僕の最初の仕事は、
室温を15度に設定した飼育部屋で彼らにあいさつです。
みんなが元気かの確認と、水温のチェック。
卵から孵化すると、
今度はそのこたちのために餌となる小型の甲殻類を育てます。
孵化した時、足が生えた時の感動は今でも忘れられません。
僕がかかわったのは、初代の孵化までです。

あれから数年、あの子たちが卵を産み、無事孵化したのでした。
もし、あのこたちの子孫が再び白馬の沢に放される時がくれば
どんなに素晴らしいことでしょう。

二ホンウナギも国際自然保護連合が「絶滅危惧ⅠB類」に指定しました。
とっても美味しく人には欠かせないウナギは、食べるためではありますが、
飼育研究が進められています。
トキやコウノトリ・ツシマヤマネコも種の保存のために飼育研究が進められています。
1時間に4種が消えている現在、
地球上から人知れず消えようとしている生き物がたくさんいます。
保護活動もされていますが、あまり力が及んでいないのが現状です。

ハクバサンショウウオの日本で初めて飼育下での繁殖。
そのほんの少しですが、係わることができたのは僕の喜びです。



<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日





2014.04.26_18:58

老化

「お久しぶり、元気そうだね“ゲンちゃん”」
お母さんに抱っこされたゲンちゃんは、
大きなタオル包まれ
タオルからは“舌が出っぱなしの顔”だけ出しています。
ゲンちゃんは僕の声が聞こえると
“何だお前か”という表情で
舌をだしたまま、片目を少し開けました。
狂犬病予防接種の時期、
久しぶりに会うワンちゃんがたくさんきます。

3年前の“ゲンちゃん”
体重13kg
病院にきても、尻尾を下げることもなく、
僕がよんでも、尻尾をふることなど決してしません。
すでに16才は超えていたのに、
ハリのある筋肉、
凛とした立ち姿は
年などを全く感じさせませんでした。

そんなゲンちゃんも19才を超えた今年は、
足の筋肉も落ち、
歩くのもやっとの状態でした。

ワンちゃんは7才ぐらいから、“体の老化”が始まります。
7才というと人の年齢に換算すると40代から50代ぐらい。
『40代から体の老化がはじまる』
しょうがないけど、なんか嫌だな。

犬の老化ってどうなるの?
遊ぶことが少なくなり、寝てばかりいるようになります。
若い頃は、寝ていても
玄関のドアの開く音、
キッチンで袋を開ける音など、
ちょっとした物音がしただけで、
すくっと起き上がり、
いきなりの全速力で走ってきたのに、
老化が始まると、どんな物音がしようが、
名前を呼んでもなかなか起きてきません。
遊ぶことへの興味や、物に対する興味が低下しているとともに、
耳が遠くなっているのです。
ということは、
どんな場所でも静かな快適な環境ということです。
耳が遠くなることはいいこともあるのです。
また寝る場所の変化もあります。
人恋しいのか、
今までの決まっていた寝場所ではなく、
一番好きな人の横で寝るようになります。
もっともっと老化が進むと、
昼夜逆転したりすることもあります。
食欲に関しては、
むら食いをして、食べるのが遅く、食べる量が減ります。
逆に、食べ物に異常に執着したり、偏食をしたり、
極端な食欲増加により、
どんなに食べても、食べ物を要求するワンちゃんもいます。
おしっこに関しては、
膀胱の筋肉が弱まり、
おしっこしたいということを、脳に伝える神経の働きも悪くなり、
粗相をするようになります。
おしっこの切れが悪く、
おしっこをした後に少し漏れることも、
うんちも大変、
うんちをするのは、意外と体力を使います。
排便体勢を長時間続けるのは大変、
それなのに内臓の働きも弱く、
肛門の筋肉の力も落ちているため、
うんちの時間が長くかかり、
うんちが苦痛の時間になってしまいます。
我慢して便秘気味になるワンちゃんもいます。
悪循環。
足腰も弱まり、
階段や段差が大変になります。
あまり動かないといっそう筋肉が落ち、
関節が硬くなってしまうので適度な運動が必要です。
毛質も艶がなくなり、白髪が出始めます。
フケも目立つようになります。
換毛もゆっくりのうえ、
あまり動かないため抜けるべき毛がついたままになっていることが多く、
古い毛がついたままだと皮膚が蒸れてしまい、皮膚病になります。
老犬はブラッシングが必要です。
聴覚のことは、書きましたが、五感も鈍くなってきます。
視覚がほとんどなくなるワンちゃんもたくさんいます。
しかし、人間と違いワンちゃんは五感をバランスよく使い生きているため、
目が見えなくても、聴覚や臭覚をつかうことにより元気に生活できます。
人間の場合は見えなくなるという恐怖心がありますが、
ワンちゃんはそれがないため結構見えなくても平気です。
五感のなかでも臭覚が最後までがんばるようで、
ワンちゃんにとって臭覚が一番大事なようです。
歯は歯石や歯垢がたまり、歯肉炎になり歯がなくなります。
歯のケアをすることで歯肉炎を遅らせることはできます。
歯はあるにこしたことはありませんが、
もし、歯がなくても大丈夫。
ワンちゃんは基本的に食べ物を丸呑みします。
歯は食べ物を丸呑みできる大きさに引き裂くためのもの、
もしくは獲物を捕らえる武器のため、
丸呑みできる食べ物であれば歯がなくても大丈夫なのです。
老化すると性格が変わります。
わがままになり、人の言うことを聞かなくなります。
そして、頑固になります。
頑固は老化の一つです。

そういえば最近僕も、
階段上ると膝が痛い。
歯ぐきが赤い。
とっても人恋しい。
おしっこした後、パンツに粗相・・・。
人の言うことは聞かないで、頑固になってきた。
40代は老化の始まり?
僕は犬の年齢に換算すると7才です。
ワンちゃんだって、7才でも元気なこがたくさんいます。
“ゲンちゃんの7才”なんて老化とは無縁、
僕が初めてあった16才の時だって若者のようでした。
老いは年齢ではなく、それまでの生き方です。
ぼくだってまだまだ元気いっぱい~。
あれ、パソコンの字が見えにくい・・・。
大きくしよっと。

19才のゲンちゃん、
歩くことはできません
歯が抜けて舌はでっぱなしですが、
少し開けた瞼から見える、
あの鋭い眼光はまだまだ健在、
威厳すら感じます。
ゲンちゃんはカッコイイ年寄です。





<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
 休診日 月曜日


2012.03.23_23:10

どんだけ入るの?


小学生の僕は学校から帰ると、まずカラの餌箱にひまわりの種を一掴み入れました
「コロン」は僕の足音を知っているので、ケージの近づいた時には、
すでに餌箱の前でまっていました。
そして、ひまわりを入れると、餌箱の前ですくっと立ち上がり、
小さな手でせっせと口の中に詰め込みます。
その速さは、早送りのテープを見ているようでした。
餌箱がカラになると次はキャベツを手渡します。
両手で器用にもち
 “シャキシャキシャキ” 軽快な音をたて、周りから齧り始めます。
ある程度小さくなると、最後は一気に口の中に両手で押し込みます。
この時の顔の大きさは、すでに倍以上の大きさになっています。
最後は小指の先ほどの人参 
“カリカリカリカリ” あっという間に小さくなり、
やっぱり最後は両手で口の中に押し込みます。
両頬はこれでもかというぐらいにパンパンに膨れ上がっていました。

そして、 スタスタ とケージの隅に作ってある、
刻んだ新聞紙を敷き詰めた部屋に帰っていきました。
そこで、まず人参、次にキャベツ、ひまわりの順で口から出し始めました。
今度はテープの逆回しを見ているようでした。
すべて出し終わると、その上にせっせと新聞を上にかぶせて隠してしまいました。
僕はいつも、この一連の作業を正座しながら、ランドセルを背負ったまま覗き込んでいました。

コロンはマルマル太ったゴールデンハムスター

僕の最初のペットです。
前も書きましたが、この頃はハムスターの餌といえば、ひまわりの種でした。
おかげですごいデブでした。
ひまわりの種はいっぱいあげちゃだめですよ。

小学生の僕はどうしても気になっていることがありました。
いったいあの頬袋にどれくらいひまわりがはいるのだろう?
ある時僕は実験してみました。
いつもは餌箱に入れるひまわりを手でひとつずつ渡し、数えてみました。
結果は何と87個でした。88個目を渡そうとした時はさっと後ろを向き、
刻んだ新聞紙の部屋にヨタヨタと帰っていきました。
その後も観察を続けると、部屋の中で、両手で頬をおしながら舌を器用に使い
口から一個ずつ取り出しました。出てきた数はなぜか85個、
2個は両頬にひとつずつしまっておいたようです。

もう一つ実験をしました。
僕の口にはどのぐらいの“かっぱえびせん”が入るのか?
なぜ“かっぱえびせん”か というと、この日のおやつだったからです。
ルールは噛まずに折らずに口の中に詰め込むです。
一本ずつ丁寧に入れます。横にしたり縦にしたり結構難しかったことを覚えています。
何回か挑戦し、最高は29本でした。
しかし、噛まずに無理やり押し込むため、口の中には細かい傷ができ、
“かっぱえびせん”の塩がしみました。
その後は異常にのどが渇き、コーラをがぶ飲み
食べ過ぎ飲み過ぎでお腹を壊してしまいました。
あんなに好きだった“かっぱえびせん”あれ以来食べていません。

ハムスターの祖先は地下に巣をつくり
夜中にこっそり出てきて天敵に見つからないようにしながら、餌を探して歩き回ります。
一回の外出で、できるだけいっぱいの餌を運ぶために
運搬方法としてほお袋を使うようになりました。
その結果あんなにも伸びて大きくなる頬袋をもつようになりました。
ペットのハムスターには天敵がいないので、
隠れて食べる必要もなく、餌を運ぶ必要もないのに、
本能で、餌を見るとついつい頬袋にいっぱい詰みたくなるようです。
ちなみにライオンやトラのように強い動物は
その場で食べればよく、運ぶ必要がないため頬袋がありません。

ニホンザルには頬袋があります。
ニホンザルの場合は群れで生活しているため、
運ぶというより他の仲間に取られないために、口の中に餌を詰め込みます。
動物園で観察していると、
強いニホンザルは取られることがないためか、
自分の周りに餌をかき集めるだけで、口の中に詰め込まずその場で食べます。
弱いニホンザルは、口の中に目いっぱいつめこみ、両腕にも餌を抱えて、
2足歩行で取られない場所に移動します。
お尻を少しつき出し、不器用に歩く姿は、
歩き始めたばかりの人間の赤ちゃんがおもちゃを抱えて歩く姿によく似ていて
結構かわいいです。

ある時、サル山を観察していると、
いつまでたっても一か所で止まったままのおじいちゃんサルがいました。
せっせと餌を口のなかに詰め込んでいるのですが、一向に動く気配がありません。
変だなと思いよく見ると、詰め込む度に頬から何かがこぼれていました。
双眼鏡で見てみると、頬に穴が開いていて、そこからこぼれていました。
口の中に入れた量と同じだけ頬から外にこぼれていました。
このサルさんは自分で穴が開いているのに気付いていないようで、
いつまでも口の中に詰め込んでいました。
どうやらケンカにより頬に穴が開いていたようです。
ほおっておいたら、
永遠に減らない餌を、永遠に入る口の中に詰め込み続けていそうでした。
しようがないので、捕まえて、頬の穴をふさぐ治療をしました。

「ハムスターの口から何か赤いものがだらりと出ている」という病気があります。
何かとは頬袋です。頬袋脱という病気です。
口から詰め込んだ物を、ハムスターが自分で取り出す時に、
それが頬袋に引っかかり、頬袋が反転し餌と一緒に口から飛び出してしまうことがあります。
自分で戻せればいいのですが、長時間出しっぱなしになっていると自分で噛んだり、
踏んだりして傷がついたり、腫れたりします。
そうなると壊死したり戻らなくなることがあります。
そんな時の応急処置は、
濡らした綿棒でそっと押し戻してください。
無理やりやってはダメですよ、頬袋に穴が開いたら大変です。
戻らなかったり、すぐにまた出てしまうときは病院に連れてきてください。
予防としては炊いたお米や、うどん、パスタなど粘着性のある食べ物は、
頬袋からうまく出しにくいため、あげないでください。

現在の僕、たった今、気になったことがあります。
このブログをかきながらリッツを食べているのですが、
リッツを噛まずに丸いまま、僕の口に何個入るかな?


「ぐぇ ぐぇ ゲフゥー ゴフゥー」
パソコンのモニターに16枚のリッツのかすが張り付いています。
残念 




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2011.12.14_18:58


冬眠?
雪が舞う12月のある朝。
小学生の僕は、目覚まし時計を止め、
2段ベットの上段で布団のぬくもりを楽しんでいました。
「コロン死んでいるわよ」
「早く起きなさい」

母が、ベットの横から顔をのぞかせて、
僕の耳元で怒鳴りました。
「え~」
いきなり僕の目はぱっちり、
ベットから飛び降り、コロンのところに走りました。
コロンはケージの隅で、きざんだ新聞紙の中で丸まっていました。
あわてて抱き上げ、手のひらにのせました。
あー動かない。
そんな僕の後ろから、母が
「ほら、寿命ね。昨日まであんなに元気だったのにね・・」
母の冷静な言葉と態度に怒りを感じながらも
コロンが心配で、母の相手などしていられません。
コロンをそっとなでてみますが、動きません。
今度は強く突っつきますが、やっぱり動きません。
普段なら暴れて、指に噛みつき、絶対僕の手の上になんて乗らないのに。

コロンゴールデンハムスター
僕がおこずかいで買った初めてのペット。
毎日毎日せっせとひまわりをあげ、まるまる太っていました。
30年以上前の当時は、ハムスターの餌の基本はひまわり、
あとは残りものの野菜でした。ハムスター用フードなど存在していませんでした。
巣材は新聞紙、そしてお家は鳥用のかご、お皿に水を入れ飼っていました。
今のように軽く安全なヒーターもありません。

右手に新聞紙、くわえタバコで便所からでてきた父が、
ほら貸してみろと僕の手から、コロンを取り上げました。
「“やわらかい”だいじょうぶだ」
石油ストーブ前に座り込み、コロンの体をゴシゴシこすりだしました。
15分程たったでしょうか、後ろ足がぴくっと動きました。
父はコロンを僕に渡し
「あとは任せた」
新聞とともに再び便所に戻りました。
僕はストーブの前で、必死に体をこすり、息を吹きかけました。
すると、コロンのお腹がゆっくりと大きく膨らみ、呼吸を始めました。
次に、前足も動かし僕の手の上をゆっくりと動きだしました。
「あ、危ない」
落ちそうになり、あわてて抑えた僕の親指を
コロンはカプリと
ひと噛み

完全復活です。

ゴールデンハムスターは冬眠するの?
images_convert_20111214193324.jpg 寝ているヤマネ

日本に生息するげっ歯類のヤマネは、冬になる前にできるだけたくさんの餌を食べ、
体の中に脂肪として貯めこみます。
そして、巣の中でまるくなって、何も食べずに貯めた脂肪をエネルギーとして春まで眠って過ごします。

ゴールデンハムスター(野生)は、
寒くなると体には脂肪を貯めこまず、巣に餌をため込みます。
そして、できるだけお腹が空かないように寝て過ごします。
どうしてもお腹がすいたら、起きて貯めておいた餌を食べます。
時々うんちやオシッコもします。冬眠というより、冬籠りです。

冬眠ですごいのは熊、冬眠中に寝たまま出産するのです。
このこともすごいのですが、生むかどうかをお腹の空き具合で決めます。
森のどんぐりが不作でお腹が空いている時は妊娠を途中でやめてしまうのです。
お腹がいっぱいかどうかで妊娠を継続しようかどうかをきめるのです。
すごいでしょう。 

コロンは、はたして冬籠りだったのでしょうか。
冬籠りするためには、それなりの準備が必要なのですが、
コロンは寝場所を用意する、餌を貯めるなどの準備はおろか、
冬に向かって籠るぞという心構えがありませんでした。
冬籠りというよりも、急な寒さによって体が動かないよーという状態だったのです。
冬眠というより、低体温症という病気だったのです。
あのままほおっておいたら死んでいました。
父が低体温症のことを知っていたかどうかはわかりませんが、あの対処は正しかったのです。
ただし、もう少しゆっくり暖めるほうが体に優しいのですが。
やわらかいというのも正しい判断、もし死んでいたら体は硬直しています。

このように、冬に動かないハムスターはほとんどが低体温症、病気ですよ。
冬にはヒーターなどを用意しましょう。
冬籠りの心構えのあるハムスターはほとんどいませんから。
どうしても冬眠させたい方は、
ハムスター本人にが冬眠する心構えがあるか確認してからにしてください。


            〈五十三次どうぶつ病院  獣医師 北澤 功〉

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